マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問42 (マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問8)
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問42(マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
- 開口部に取り付けるサッシの遮音性について、日本産業規格(JIS)で音響透過損失に応じて4段階のT等級が定められており、T値は大きいほど遮音性能が優れている。
- 床衝撃音には、子どものとび跳ねのような重量床衝撃音と硬くて軽い物体が落下したときに発生する軽量床衝撃音があり、床の遮音性に対する評価はそれぞれLHとLLで表す。
- すべてのマンションの室内には、1時間当たり換気回数が0.5回以上となるような機械換気設備の設置が原則として求められている。
- シックハウス対策として、日本産業規格(JIS)及び日本農林規格(JAS)で定められたF☆☆☆☆等級の内装仕上げ材はホルムアルデヒドを発散しないため、使用面積の制限なく用いることができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問のポイントは、室内環境に関する各種の基準の名称とその内容、特に値が大きい方と小さい方のどちらが優良なのか、を正確に理解することです。
(適切)JISで規定された遮音性試験の方法に従い、周波数帯ごとの音の遮りやすさ(音響透過損失)をdBで評価して、その測定結果に基づいて4段階のT等級が決まります。T1が一般的な断熱サッシのレベルで、T4が最高等級になります。<T値は大きいほど遮音性能が優れている>という本肢は適切です。
(適切)床衝撃音の説明も評価基準も本肢の通りなので、適切です。小さく添えられたHはHeavy(重量)、LはLight(軽量)の意味です。L値は、JISが方法を規定した試験に基づき、遮音されたことにより実際に下階で聞こえる音の大きさを示しています。値が小さいほど、遮音により音が小さくなった=遮音性能が高い、ということになります。
(適切)本肢の<1時間当たり換気回数が0.5回以上となるような機械換気設備の設置>は建築基準法で義務付けられた内容で、適切です。シックハウス症候群対策として、ホルムアルデヒドなどの化学物質を室内に滞留させない狙い。実際のマンションでは24時間換気システムが標準装備となっています。
(適切でない)本肢は<ホルムアルデヒドを発散しないため>という理由付けが不適切です。F☆☆☆☆等級がJISやJASで定められていて<使用面積の制限なく用いることができる>のは正しいです。ただし、それは、ホルムアルデヒド放散量が極めて少ないためで、全く<発散しない>わけではありません。
一般に、数値が大きいほど、良いイメージがありますよね。L値のように、小さいほど優良という「逆パターン」は確実に覚えておきたいところです。
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02
マンションの室内環境に関する問題です。
適切
本肢の通りです(マR2-41-1)。
本肢のようなT値は、
下記の頭文字を指しています。
T:Transmission loss(透過損失)
要するに、屋外から屋内へ音が伝達(透過)する際に、
音量がロス(損失)すればするほど、
遮音性能が優れているといえます。
適切
本肢の通りです。
本肢のようなL値、
2文字目の「H」「L」、
そして試験で頻出のD値については、
それぞれ下記の頭文字を指しています。
L:floor impact sound Level(床衝撃音レベル)
H:Heavy(重量)
L:Light(軽量)
D:sound pressure level Difference(音圧レベル差)
ちなみに、JIS(日本工業規格)によると、
床の遮音等級はL値で示し、
値が小さいほど遮音性が高く、
界壁の遮音等級はD値で示し、
値が大きいほど遮音性が高いです(マH27-40-1)。
どちらかと言えば適切
住宅等の居室には、
1時間当たり換気回数が0.5回以上となるような機械換気設備の設置が求められています(建築基準法施行令20条の8第1項1号イ(1))。
なお、「居室」とは、
居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいいます(建築基準法2条4号)。
したがって、「すべてのマンションの室内」に本肢のような設備の設置が求められているかについては疑義があります。
とはいえ、「原則として」求められてはいるので、
本肢は「どちらかと言えば適切」です。
不適切
たしかに、JIS(日本産業規格)でのF☆☆☆☆(エフフォースター)等級に適合する建材は、
建築基準法によるシックハウス対策に係る制限を受けることなく内装仕上げに用いることができます(マH28-42-3)。
しかし、必ずしも「ホルムアルデヒドを発散しない」わけではないため、
本肢は不適切です。
ちなみに、第一種~第三種ホルムアルデヒド発散建築材料のうち、
夏季において毎時「0.005mg/m2を超える量のホルムアルデヒドを発散させないもの」として国土交通大臣の認定を受けたものについては、
これらの建築材料に該当しないものとみなされます(建築基準法施行令20条の7第4項)。
疑義が生じる選択肢もありましたが、
過去問演習を通じて知識が定着していれば、
消去法で正解に導ける問題だったといえます。
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03
本問は、室内環境に関して遮音と換気(空調)ついて基本的な知識を問う問題です。
I.遮音性については、記号とその数字の意味を憶えておく必要があります。
数字はその意味を考えればすぐに判ります。
すなわち、音をどれだけ伝えるかという指標なら小さい方が優れていますし、音をどれだけ減衰させるかを表すなら大きい方が優れています。
これは、音の原因と関連があります。
記号は、実のところ余り深い意味がないので憶えにくいです。
こじつけで憶える方が早いかも知れません。
遮音性には3つの種類があります。
①床の遮音性
②壁の遮音性
③開口部設備の遮音性
です。
①床の遮音性は、L値で表します。
このLはLevelのLであり、あまりに一般的過ぎて憶えようがありません。Lの横棒を床に見立てて、縦棒が床に掛かる衝撃だからLとでも憶えた方が早いと思います。
L値には2種類あります。(1)重量床衝撃音に対する遮音性を示すLHと(2)軽量床衝撃音に対する遮音性を示すLLです。
HはHeavyなので「重」、LはLightで「軽」なので憶えやすいでしょう。
床衝撃音は、床に何か物が当たって生じた音がどれだけ下階に伝わるのかという話なので、伝わる音が小さい方が性能が高いことになります。
つまり、数字は小さい方が優良です。
ついでに床衝撃音の性質についても書いておきます。
(1)重量床衝撃音は、大きな重量物が落下した時に生じる音で、子供が飛び跳ねる音などが典型です。
これは、建物の構造自体を揺らして伝わる音なので、遮音材ではほとんど防げません。
床に厚いカーペットなどを引いても構造を揺らすほどの衝撃はほとんど減衰しないのです。
床スラブ(建物の床の構造になっている部分)の厚さなどで遮音性が決まってしまい、後付けの部材で性能を向上させるのは困難です。
LH等級は、45~60程度が実際の建物では現実的な数字です。
大雑把に、
という感じです(正確な話は、JISを見てください)。
なお、5刻みなのは、この数字がdB由来(dBそのものではありません)であり、5dB程度の違いがないと人間の耳ではほとんど違いが判らないからです。
(2)軽量床衝撃音は、軽量なものが落ちた時の音です。例えば、スプーンを落としたなど。
こちらは、衝撃を吸収できる床材で低減することができます。
LL等級は、40~55程度が実際の建物での現実的な数字です。
大雑把に、
という感じです(正確な話は、JISを見てください)。
こちらの数字もLHと同様です。
なお、ΔL値という指標があります。
これは、ある床材が、それを設置するとどれだけ床衝撃音を低減できるかという指標です。
どれだけ低減できるかという指標なのでL値とは異なり、数字が大きい方が優れています。
もっとも、数字自体はL値のように実際の音の大きさを表しているのではなく階級を表しているだけです。
一応、ΔLHとΔLLがありますが、重量床衝撃音は床材ではそれほど対策できないので、ΔLHはあまり意味がありません。
ΔLHは1~4が、ΔLLは1~5があります。
LL値は建物の構造によって違いが出るため、床材単体の性能指標としては正確ではありません。
そこで、純粋に床材単体の性能指標としてΔLL値を用います。
管理規約のリフォーム基準は従来のLL値を使用していることも多く、リフォーム時に使用すべき床材自体の要求性能が必ずしもはっきりしません。
ですから、必要なLL値基準を実現するのにΔLL値でどの程度の床材を使用するべきか、おおよその目安があります。
※ΔLL-1は床材による遮音性能はほぼなし
これはあくまでもおおよその目安です。
LL値が実際の建物の遮音性能を表すのに対して、ΔLL値はあくまでも床材単体の遮音能力を表すにすぎませんから、建物及び施工品質によって同じΔLL値の床材を使用しても実際のLL値は異なります。
そのせいもあって、実際の音の大きさを基準にしたdB由来の数字ではなく単純な1~5という数字を使用しています。
なお、ΔLHについては、
です。
最大でも3dBなので人間の耳には違いがほぼ判りません。
②壁の遮音性は、D値で表します。
壁の向こうとこちらの音の差(Difference)という意味です。こちらはL値よりは憶えやすいと思いますが、何なら、壁に当たった音の波を図案化したらDっぽい形になるとでも憶えれば良いと思います。
Dの縦線が壁で曲線部分がそれを透過した音のようにも"見えなくもない"というこじつけです。
D値は、壁の向こうの音をどれだけ減衰させたかを表すので、減衰が大きい、つまり、数字が大きいほど優れていることになります。
55~35が実際の建物での現実的な数字です。
こちらも数字は低減できる音の大きさをdBで表したものが由来(現実のdBとは違います)です。
③開口部の遮音については、典型的にはサッシの性能です。玄関扉なども同じ指標を使います。
サッシの遮音性はT値で表します。
Tは伝えるという意味のTransmissionの略(Sound Transmission Loss = 音響透過損失から来ています)です。
これは比較的憶えやすい気もしますが、いざとなったら、Tは横棒がサッシ枠の上部で縦棒がサッシ。もうこじつけでもなんでも憶えればそれでいいのではないかと思います。
T値は1~4の4段階に分かれますが、音の減衰を表すので数字が大きいほど優れています。
D値とは違い単純な1~4という数字になっているのは、サッシの音の透過特性によります。
周波数によっても変わるので、目安です。
II.換気の話は肢の解説程度で十分です。
「適切でないもの」ではありません。
サッシの遮音性についてはJISにより4段階のT等級が定められています。
T値は音響透過「損失」つまり、サッシの外から中へ伝わる音がどれだけ減衰するかという指標です。
ですから、T値が表すのは音を減衰させる大きさであり、数字が「大きい」ほど遮音性が高いことになります。
「適切でないもの」ではありません。
子供が飛び跳ねるような重量物が床に当たる音は重量床衝撃音と言い、LHで表します(Level Heavyから)。
スリッパをはいて普通に歩く程度の軽い衝撃は軽量床衝撃音と言い、LLで表します(Level Lightから)。
「適切でないもの」ではありません。
シックハウス症候群対策として、原則としてすべての建築物に0.5回/h以上(つまり、1時間で部屋の空気の半分が入れ換わる、換言すると2時間ですべての空気が入れ換わる)の換気性能を有する機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が義務付けられています。
建材からのホルムアルデヒドの発散がなくても家具からの発散がありうるため、使用建材に関わらず設置が義務となっています。
昭和の頃の建築物は気密性が低く、自然換気でもそれほど問題がありませんでしたが、平成に代わるころから気密性の高い建築物が増えたためにシックハウス症候群が社会問題化したことを受けて、2003年に規制が始まりました。
機械式換気方式には、
①吸排気両方を機械で強制的に行う第1種換気方式
②給気のみを機械で強制的に行う第2種換気方式
③廃棄のみを機械で強制的に行う第3種換気方式
があります。
②は空気を押し込んで室内の圧力を上げて排気口から空気を押し出すという仕組みなので、室内が与圧状態になり室外よりも気圧が高くなります。
そのため、扉の隙間など給気口以外から空気が入り込みにくく、外部の汚染した空気の計画外流入を防げるので、クリーンルーム、手術室など特殊な場合に使用します。
③は空気を引き出して室内の圧力を下げることで、給気口から空気を吸い込むという仕組みなので、室内が負圧状態になり室外よりも気圧が低くなります。
そのため、扉の隙間など排気口以外から空気が漏れにくく、室内の臭気等の計画外流出を防げるので、トイレなどで使用されます。
住宅用は第1種か第3種を使用するのが通常です。
住宅用の建物外との換気のための機械換気設備は第1種である必要はありませんが、近年の熱交換型、つまり、室内の空気を排出する際に給気する外気との間で熱を移動させて室温の変化を抑えるものは第1種が圧倒的に有利です。
熱交換のために吸排気管を隣接させる必要があるのですが、その取り回しの関係で配管が長くなり空気抵抗が大きくなるため自然吸排気では性能が出せないからです。
単に換気だけの問題なら第3種でも構いません(第2種は住宅ではほとんど使用されません)。
「適切でないもの」です。よってこの肢が正解です。
JIS及びJASのF☆☆☆☆等級の内装仕上げ材は、ホルムアルデヒドの発散が5μℊ/㎡h以下と少ないために使用の制限がありません。
発散が少ないだけであり、発散しないわけではありません。
内装仕上げ材の制限は以下の通りです。
制限なし
(法の規制対象外なので制限がない)
表示なし
(使用禁止なので規格がない)
※第1種は使用禁止となる前には規格が存在したのでJISではE₂、JASではFc₂という表示記号がありました。
これは、居室の内装仕上げ材の制限ですが、天井裏等にも規制があります。
大雑把に、
①建材はF☆☆☆以上を使用する。
②居室と区画して通気しないようにする。
③天井裏も換気できるようにする。
です。
②を満たさない場合、居室の一部として居室と同じ扱いになります。
ですからF☆☆等級も使用できますがその代わりにF☆☆☆等級と合わせて使用面積の制限が発生します。
知識を前提に注意力を試すような問題ではあります。
後ろの方の出題なのでそろそろ受験生の集中力が切れ始めたところを狙っているかのようです。
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