マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問41 (マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問7)
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問41(マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
- 杭基礎のうち、摩擦杭は、建築物の重量が比較的重く強固な地耐力が期待される地盤に採用され、建築物の上部荷重はすべて杭周面と土の摩擦力により支持される。
- 外壁は、非耐力壁であっても雨や日射の遮断性、風圧力や衝撃からの安全性、耐用年限まで性能を維持する耐久性や耐火性の機能が求められる。
-
鉄骨造のラーメン構造において、小梁(こばり)は床荷重(固定荷重及び積載荷重)を支持しており、その荷重を大梁(おおばり)に伝えている。
- 地上部分にある建築物のある層に作用する地震力は、その層が支える荷重に、地震活動の地域性や地盤の種類、建築物の剛性や高さ等の影響を考慮して算出される「地震層せん断力係数」を乗じて求められる。
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この過去問の解説 (3件)
01
長期修繕計画の工事内容の妥当性を判断する際などに必要になるマンションの構造に関する知識が問われています。
(適切でない)本肢は<建築物の重量が比較的重く強固な地耐力が期待される地盤に採用>されるという説明が適切ではありません。杭基礎の範囲内で言えば、支持杭が採用されるケースです。
摩擦杭の特徴として主に<杭周面と土の摩擦力により支持される>という点は妥当です。軟弱地盤が厚い場合、言い換えれば、支持層となる硬い地盤が非常に深い位置にある場合、その硬い地盤まで杭の先端を到達させることはせずに<杭周面と土の摩擦力>を利用する仕組みだからです。
(適切)建築基準法第20条は「建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のもの」としなければならない、と構造耐力について規定しています。これは構造耐力に直接関わる「耐力壁」だけでなく、非耐力壁を含む外壁についても構造上の安全性の観点から適用されます。また、マンションは特殊建築物に該当し、規模(階数・延べ面積)等によっては耐火建築物(建築基準法第27条)としなければなりません。これらの規定を総合すると、本肢は適切です。
鉄骨造のラーメン構造において、小梁(こばり)は床荷重(固定荷重及び積載荷重)を支持しており、その荷重を大梁(おおばり)に伝えている。
(適切)本肢の構造において、<小梁>は床スラブにかかる荷重を直接支える役割を持ち、その荷重は次に大きな大梁へと伝達され、最終的に柱→基礎へと流れていきます。同趣旨の本肢は適切です。なお、小梁が直接支える<固定荷重及び積載荷重>とは、前者が床自体の重さ、後者は床の上に乗る家具や居住者の重さです。
(適切)現在の耐震設計法では、ある階の重量に、その階の<「地震層せん断力係数」を乗じて>、その階に<作用する地震力>すなわち、地震荷重を求めます。この係数は、標準層せん断力係数を基準にして以下の構成要素を掛け合わせます。
・地震地域係数=<地震活動の地域性>により変わる
・振動特性係数=<地盤の種類>や建物の固有周期により変わる
・分布係数=<建築物の‥高さ>により変わり、上階ほど大きい
本肢はこれらを網羅しており、適切な内容です。
正解肢については、杭基礎と対比される「直接基礎」も含めて、まずは以下のように、ざっくり押さえましょう。
・浅いところに硬い地盤 → 直接基礎
・深いところに硬い地盤(杭先端が届く) → 支持杭
・硬い地盤が遠すぎる(杭が届かない) → 摩擦杭
「支持杭と摩擦杭の違い」で画像検索すると、分かりやすい図解が多数出てきます。
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02
マンションの構造に関する問題です。
不適切
杭基礎のうち、摩擦杭は、
建築物の重量が比較的「軽く」強固な地耐力が「期待できない」地盤に採用され、
建築物の上部荷重は杭周面と土の摩擦力により支持されます。
よって、本肢は不適切です。
なお、支持杭は、
杭の先端を安定した支持層に到達させ、
主に杭先端の支持力によって上部荷重を支えるものです(マH30-40-1)。
適切
本肢の通りです。
なお、建築物は、
自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとしなければなりません(建築基準法20条1項)。
したがって、外壁は、
非耐力壁であっても風圧力や衝撃からの安全性の機能が求められるといえます。
また、雨や日射の遮断性、
耐用年限まで性能を維持する耐久性や耐火性の機能も一般的に求められるものなので、
本肢は適切です。
鉄骨造のラーメン構造において、小梁(こばり)は床荷重(固定荷重及び積載荷重)を支持しており、その荷重を大梁(おおばり)に伝えている。
適切
本肢の通りです。
梁には大梁と小梁があり、
一般に小梁の支える床荷重は、
大梁に伝達されます(管H14-25-4)。
なお、建築物に作用する「固定荷重」は、
躯体、仕上げ材料等、建築物自体の重量をいいます(マH25-42-3)。
これに対し、建築物に作用する「積載荷重」は、
人、家具、調度物品等、移動が比較的簡単にできるものの重量をいいます(マH25-42-4)。
適切
建築物の地上部分の地震力については、
当該建築物の各部分の高さに応じ、
当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとされています。
その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和に当該高さにおける「地震層せん断力係数」を乗じて計算しなければなりません(建築基準法施行令88条1項)。
したがって、本肢は下記の式に言い換えることができるので、適切です。
地震力
=その層が支える荷重×地震層せん断力係数
=(固定荷重+積載荷重)×地震層せん断力係数
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03
本問は、マンションの建物本体、つまり、基礎と躯体に関する知識問題です。
試験で必要な建物知識は、①建物本体の知識と、②水光熱(給排水、電気、ガス)設備、空調、防火、エレベーターなどの設備の知識、さらに③内外装仕上げの知識があります。
大体、まんべんなく出題されるので、一通り全部きちんと押さえておく必要があります。
「適切でないもの」です。よってこの肢が正解です。
摩擦杭は、建築物の重量が比較的軽く、強固な地耐力のない軟弱な地盤が厚く、強固な地盤が深くて杭が届かない場合に採用されます。
普通に考えても、強固な地盤に杭が達している支持杭の方が摩擦で止める摩擦杭よりも耐荷重で有利なのは想像できるでしょう。
基礎の種類について軽く触れておきます。
基礎には
①直接基礎
(1)フーチング基礎
(あ)独立基礎
(い)連続基礎(布基礎)
(う)混合基礎
(2)べた基礎
②杭基礎
(1)支持杭
(2)摩擦杭
があります。
①直接基礎とは、固い地盤が浅いところにあり、そこに直に基礎を設置するものです。
(1)フーチングとは、英語のfootingのことです。
建物の下部に足を設けて基礎の上に置くということです。
肢は台形あるいは逆T字型で底面が広くなっていて荷重を分散させる構造になっています。
最も簡易なものが(あ)独立基礎です。
柱の直下にフーチングがあります。
お寺の縁の下などを眺めると柱の直下に基礎石(礎石-そせき-)がありますが、あれが独立基礎です。
点で支える基礎です。
フーチングを壁に沿って繋げて間取りのそのまま基礎にしたようなものを(い)連続フーチング又は布基礎と言います。
線で支える基礎です。
(う)混合基礎とは、複数の形式の基礎を併用したものです。
フーチング基礎だけでなく杭基礎を併用することもあるのでその意味では純粋な直接基礎とは限りません。
原則的には避けるべきですが、地盤面が異なる場所に建物を建てる場合に採用することがあります。
(2)べた基礎は、建築物の全平面にわたってフーチングを繋げたもので建物の平面投影図そのままの形状の基礎です。
面で支える基礎です。
②杭基礎は、地盤が柔らかく固い地盤が深いところにある場合に使います。
長い杭を打ち込んで固い地盤まで通すものを(1)支持杭と言います。
杭の底面で支持する構造です。
独立基礎が地中深くの地盤面まで非常に長く伸びたものと思えば良いです。
建物が比較的軽量の場合は、硬い地盤まで杭を通さずに、杭の側面と土壌との摩擦によって支える(2)杭基礎にすることもあります。
杭が短いのでコストは下げられますが、液状化などで不同沈下が起こる危険性はあります。
また、硬い地盤が深すぎて杭が届かない場合にも摩擦杭を使用することがあります。
60mを超えるような深さになると、現状では杭が打ち込めません。
もちろんこれより浅い場合であっても、コストその他の事情により、摩擦杭を使用することは一般的にあります。
「適切でないもの」ではありません。
耐力壁でない壁であっても外壁は雨等の遮断性、風圧等に対する安全性、耐久性、耐火性が必要です。
常識で考えても、当然でしょう。
外壁が何のためにあるかと言えば、風雨日射火災を防ぐためです。
そしてそれは一時的なものではなく、長期にわたって性能を維持できなければなりません。
外壁のない建物では住めたものではありません。
鉄骨造のラーメン構造において、小梁(こばり)は床荷重(固定荷重及び積載荷重)を支持しており、その荷重を大梁(おおばり)に伝えている。
「適切でないもの」ではありません。
鉄骨造のラーメン構造では、小梁は床荷重を支え、大梁にその荷重を伝えます。
ラーメン構造とはドイツ語のRahmen、英語で言えばframe、日本語なら枠のことですが、柱、梁を剛接合した強固な枠を構成して、建物の骨格とする構造です。
鉄骨造の構造では、縦の柱に横の梁をつなぎますが、柱に繋がって枠を構成し、床の荷重と柱を支えて柱に荷重を伝える役目を果たすのが大梁です。
その大梁の間に渡して床面を支えるのが小梁です。
床面荷重は小梁を通じて大梁に伝わり、さらに柱を経由して基礎、地盤に伝わります。
「適切でないもの」ではありません。
建築物のある層(実体としては、大雑把に特定の階のことだと思っておいてよいと思います)に作用する地震力は、その層が支える荷重に、「地震活動の地域性、地盤の種類、建築物の剛性、高さなどの影響を考慮して決まる地震層せん断力係数」を掛けて求めます。
建築基準法施行令第88条第1項「建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第八十六条第二項ただし書の規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。この場合において、地震層せん断力係数は、次の式によつて計算するものとする。
Ci = ZRtAiCo
(この式において、Ci、Z、Rt、Ai及びCoは、それぞれ次の数値を表すものとする。
Ci 建築物の地上部分の一定の高さにおける地震層せん断力係数
Z その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて一・〇から〇・七までの範囲内において国土交通大臣が定める数値
Rt 建築物の振動特性を表すものとして、建築物の弾性域における固有周期及び地盤の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値
Ai 建築物の振動特性に応じて地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表すものとして国土交通大臣が定める方法により算出した数値
Co 標準せん断力係数)」
つまり、標準せん断力係数(Co)を、
①過去の記録に基づくその地方ごとの地震の特性に基づく数値(Z)
②建築物の弾性域における固有周期及び地盤の種類に基づく数値(Rt)
③地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布に基づく数値(Ai)
で補正したのが地震層せん断力係数(Ci)と定義されています。
建築物の剛性や高さなどは、RtとAiの計算に反映します。
なお、「地震力」とは大雑把に言えば、地面が横に移動して止まった瞬間に一緒に横に動いた建物が移動し続けるために建物に掛かる慣性力のことです。
言い換えれば、横に動いた地面が急停止した時に建物に対して横に曲がる方向に掛かる力です。
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