マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問38 (マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問4)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問38(マンションの建物及び附属施設の構造及び設備 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

長期修繕計画に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
  • 長期修繕計画では、計画修繕工事を円滑に実施するために、計画修繕工事に要する費用を長期に渡って予測している。
  • 予防保全とは、計画的に点検を行い、建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止することであり、事後保全とは破損、故障などのトラブルが発生した後に交換、修繕を行うことである。
  • 長期修繕計画の見直しは、マンション管理組合の理事会や専門委員会により検討し、区分所有者に向けて説明会等を開催した上で、総会で決議を行うことが望ましい。
  • 長期修繕計画における大規模修繕工事は、建物の初期の性能を回復することに努め、初期性能を超える改良工事は実施しないことが原則である。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

長期修繕計画作成ガイドライン(以下、単にガイドラインと略します)に関する問題です。

選択肢1. 長期修繕計画では、計画修繕工事を円滑に実施するために、計画修繕工事に要する費用を長期に渡って予測している。

(適切)ガイドラインは「長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的」で、「①将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする」ことを冒頭に掲げています。本肢の<計画修繕工事に要する費用を長期に渡って予測している>は同趣旨であり、適切です。

 ガイドラインは、上記①を根拠に「②積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする」こと、さらに①と②に基づいて「③長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る」ことを目的としています。

選択肢2. 予防保全とは、計画的に点検を行い、建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止することであり、事後保全とは破損、故障などのトラブルが発生した後に交換、修繕を行うことである。

(適切)ガイドラインは「長期修繕計画の作成の前提条件」に関するコメントで、「マンションの建物及び設備の状態を良好に保つためには、日常的又は定期的にその状態‥‥を把握し、適切にその処置(消耗品の交換、 作動調整、補修など)を行」うことが必要と指摘しています。本肢の<計画的に点検を行い、建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止すること>は同趣旨の記述であり、一般に<予防保全>と言います。これと対になるのが<事後保全>で、本肢は全体として適切な内容です。

選択肢3. 長期修繕計画の見直しは、マンション管理組合の理事会や専門委員会により検討し、区分所有者に向けて説明会等を開催した上で、総会で決議を行うことが望ましい。

(適切)ガイドラインは「長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順」の中で、「既存マンションの場合は、長期修繕計画の見直し及び修繕積立金の額の設定について、理事会、専門委員会等で検討を行ったのち、専門家に依頼して長期修繕計画及び修繕積立金の額を見直し、総会で決議します」と大まかな流れを例示しました。さらに「長期修繕計画の周知」では、管理組合に対し「総会の開催に先立ち説明会等を開催し、その内容を区分所有者に説明する」ことを求めました。

 本肢は、この2か所の記述に沿った内容であり、適切です。

 

選択肢4. 長期修繕計画における大規模修繕工事は、建物の初期の性能を回復することに努め、初期性能を超える改良工事は実施しないことが原則である。

(適切でない)ガイドラインは「長期修繕計画の作成の前提条件」として、「建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持、回復させる修繕工事を基本」としつつも、「区分所有者の要望など必要に応じて、建物及び設備の性能を向上させる改良工事を設定する」としています。<初期性能を超える改良工事は実施しないことが原則>ではないので、本肢は適切ではありません。

まとめ

長期修繕計画については次の数字は必ず押さえておきましょう。

・長期修繕計画及び修繕積立金の額の設定は5年程度の一定期間ごとに見直す。

・計画期間は、30年以上で、かつ、大規模修繕工事が2回以上含まれる期間。

参考になった数21

02

長期修繕計画に関する問題です。

選択肢1. 長期修繕計画では、計画修繕工事を円滑に実施するために、計画修繕工事に要する費用を長期に渡って予測している。

適切

修繕工事及び改修工事を適時適切に、

また「円滑に実施するために」は、

長期修繕計画を作成し、

この計画を踏まえて計画修繕工事を実施することと、

「計画修繕工事に要する費用」に充当するため、

この計画に基づいて修繕積立金の額を設定し積み立てることが不可欠です(長計GLコ2章1節)。

 

なお、具体的な計画期間は、

30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とされています(長計GL3章1節5)。

選択肢2. 予防保全とは、計画的に点検を行い、建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止することであり、事後保全とは破損、故障などのトラブルが発生した後に交換、修繕を行うことである。

適切

マンションの建物及び設備の状態を良好に保つためには、

日常的又は定期的にその状態(建物各部の不具合や設備等の作動異常など)を把握し、

適切にその処置(消耗品の交換、作動調整、補修など)を行い、

それを記録し、

整理・保管しておくことが必要です(長計GLコ2章1節2二)。

 

このように、「計画的に点検を行い、

建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止すること」を、

「予防保全」といいます。

 

これに対し、「破損、故障などのトラブルが発生した後に交換、修繕を行うこと」を、

「事後保全」といいます。

選択肢3. 長期修繕計画の見直しは、マンション管理組合の理事会や専門委員会により検討し、区分所有者に向けて説明会等を開催した上で、総会で決議を行うことが望ましい。

適切

長期修繕計画の作成などの重要な案件は、

十分な議論が尽くされることが必要です。

そのためには、「理事会や専門委員会における検討」の過程や結果を広報すること、

アンケート調査等の実施により意見聴取を行うこと、

「事前説明会を開催」して説明を行うことが望まれます。

これらにより、区分所有者がその内容を十分理解して「総会に臨むことができ」、

無用な質疑の回避と適切な判断が期待できます(長計GLコ2章3節1)。

選択肢4. 長期修繕計画における大規模修繕工事は、建物の初期の性能を回復することに努め、初期性能を超える改良工事は実施しないことが原則である。

不適切

築古のマンションは省エネ性能が低い水準にとどまっているものが多く存在していることから、

「大規模修繕工事」の機会をとらえて、

マンションの省エネ性能を向上させる「改良工事」を実施することは脱炭素社会の実現のみならず、

各区分所有者の光熱費負担を低下させる観点からも有意義と考えられます(長計GLコ1章1)。

参考になった数3

03

本問は、長期修繕計画の基本的な知識を問う問題ですが、ほぼ常識的に判断すれば解ける問題です。
その意味でサービス問題と言えます。

 

長期修繕計画作成ガイドラインは国土交通省のウェブサイトにリンクがあります。
住宅:マンション管理 - 国土交通省

コメントまで含めると結構な量ですが、本文だけなら10ページ少々なのでせめてそのくらいは目を通しておきたいところです。

余裕があれば一通り目を通しておけば言うことなしです。

選択肢1. 長期修繕計画では、計画修繕工事を円滑に実施するために、計画修繕工事に要する費用を長期に渡って予測している。

「適切でないもの」ではありません。

 

長期修繕計画では、計画修繕工事の費用を長期にわたって予測する必要があります。

長期修繕計画作成ガイドラインでは、長期修繕計画の計画期間は30年以上でかつ大規模修繕工事が2回以上含まれる期間としています。
まさに文字通りに「長期」の計画です。


そして、修繕積立金を適正に積み立てるには、推定修繕工事費を算定する必要があります。
つまり、長期にわたる計画の内容として推定修繕工事費を算定します。
というわけで、計画修繕工事の費用の長期予測をしなければお話になりません。


長期修繕計画作成ガイドライン
「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等
  1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改良工事を行うことも望まれます。
そのためには、次に掲げる事項を目的とした長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定することが不可欠です。
将来見込まれる修繕工事及び改修工事の内容、おおよその時期、概算の費用等を明確にする。
②計画修繕工事の実施のために積み立てる修繕積立金の額の根拠を明確にする。
③修繕工事及び改修工事に関する長期計画について、あらかじめ合意しておくことで、計画修繕工事の円滑な実施を図る。


〈コメント〉
◆修繕工事及び改修工事を適時適切に、また円滑に実施するためには、長期修繕計画を作成し、この計画を踏まえて計画修繕工事を実施することと、計画修繕工事に要する費用に充当するため、この計画に基づいて修繕積立金の額を設定し積み立てることが不可欠です。」


長期修繕計画自体が長期に渡る計画なのですから、その一部である資金計画の基になる工事費用の予測もまた長期に渡るものなのは当然と言っていい話ですから、常識で判断できる内容です。

選択肢2. 予防保全とは、計画的に点検を行い、建物の部分や設備が壊れる前に交換、修繕を行い故障や不具合を未然に防止することであり、事後保全とは破損、故障などのトラブルが発生した後に交換、修繕を行うことである。

「適切でないもの」ではありません。

 

読んで字のごとしです。
予防保全とは、壊れる前に対処する、つまり、事前の対策です。
事後保全とは、故障等が起きた場合に対処する、つまり、事後の対策です。

 

この保全の態様の区別は、ガイドラインでは特に触れていはいませんが、ほぼ国語の問題です。
その意味で常識で判断できます。


なお、予防保全は故障リスクが下がるので故障による使用不能という事態が減って不便が生じることが少なくなるのですが、その代わりに、先回りして部品交換等を行うためにコストがかかります。
昔は、過剰整備と言われた車検時のディーラーの点検整備も予防保全の一種です。

 

ちなみに、その他に予知保全というものもあります。
予防保全との違いは、単純に先回りで対処するのではなく、故障の予兆を検知して対応するというところです。

選択肢3. 長期修繕計画の見直しは、マンション管理組合の理事会や専門委員会により検討し、区分所有者に向けて説明会等を開催した上で、総会で決議を行うことが望ましい。

「適切でないもの」ではありません。

 

長期修繕計画の見直しに当たっては、理事会、専門委員会などで検討した上で、総会の議決を経るのは言うまでもないです。
総会の議決が適切に行われるように、説明会を開いて内容について区分所有者に知らせるのも当然の前提と言えます。

 

長期修繕計画作成ガイドライン
「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第2節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順
  1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の手順
   新築マンションの場合は、分譲会社が提示した長期修繕計画(案)と修繕積立金の額について、購入契約時の書面合意により分譲会社からの引渡しが完了した時点で決議したものとするか、又は引渡し後速やかに開催する管理組合設立総会において、長期修繕計画及び修繕積立金の額の承認に関しても決議することがあります。
   既存マンションの場合は、長期修繕計画の見直し及び修繕積立金の額の設定について、理事会、専門委員会等で検討を行ったのち、専門家に依頼して長期修繕計画及び修繕積立金の額を見直し、総会で決議します。なお、長期修繕計画の見直しは、単独で行う場合と、大規模修繕工事の直前又は直後行う場合があります。」

 

「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第3節 長期修繕計画の周知、保管
1   1 長期修繕計画の周知
   管理組合は、長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定に当たって、総会の開催に先立ち説明会等を開催し、その内容を区分所有者に説明するとともに、長期修繕計画について総会で決議することが必要です。また、決議後、総会議事録と併せて長期修繕計画を区分所有者に配付するなど、十分な周知を行うことが必要です。


〈コメント〉
◆点検、調査・診断、計画修繕工事などの維持管理の実施に当たっては、これらをなぜ行うのか、どのように行おうと考えているのか、維持管理の必要性、実施方法などに関して区分所有者全員が理解し、協力することが重要です。そのためには、まず区分所有者間で情報を共有することが必要です。
◆特に、長期修繕計画の作成などの重要な案件は、十分な議論が尽くされることが必要です。そのためには、理事会や専門委員会における検討の過程や結果を広報すること、アンケート調査等の実施により意見聴取を行うこと、事前説明会を開催して説明を行うことが望まれます。これらにより、区分所有者がその内容を十分理解して総会に臨むことができ、無用な質疑の回避と適切な判断が期待できます。
◆標準管理規約では、長期修繕計画と修繕積立金の額の変更は、総会議決事項とされています。計画修繕工事の実施や修繕積立金の負担に関して各区分所有者の理解を得やすくするためにも、長期修繕計画を見直したときは、総会で決議を得るとともに、総会の議事録と併せて、戸別配付などの方法により、各区分所有者に(特に総会の欠席者や書面による議決権行使者などに)十分周知する必要があります。」


これも常識的に言って、当然と言える話です。

選択肢4. 長期修繕計画における大規模修繕工事は、建物の初期の性能を回復することに努め、初期性能を超える改良工事は実施しないことが原則である。

「適切でないもの」です。よってこの肢が正解です。

 

建物の初期の性能を回復することはもちろんのことですが、経年により陳腐化した設備を最新のものに合わせるなど性能向上を目的とした改良工事を行うことも当然範囲に入ります。
 

常識的に考えても、どうせ工事をするのですから単に回復だけでなく、可能ならついでに改修した方が費用、工期等の面で明らかに無駄が少なくなります。

 

長期修繕計画作成ガイドライン
「第2章 長期修繕計画の作成の基本的な考え方
 第1節 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的等
  1 長期修繕計画の作成及び修繕積立金の額の設定の目的
   マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するためには、適時適切な修繕工事を行うことが必要です。また、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図る改良工事を行うことも望まれます。」


これも常識的に判断できることだと思います。

参考になった数1