マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問34 (管理組合の運営の円滑化 問10)
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マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問34(管理組合の運営の円滑化 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
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この過去問の解説 (3件)
01
仕訳問題のキーワードは、発生主義の原則です。現金や預金といった「お金」が動いたタイミングで仕訳をする現金主義という考え方もありますが、マンション管理組合の会計では、発生主義が原則です。当期に発生した費用・収益は、その時点で仕訳により会計帳簿に記録(=記帳)します。そうでないものは別の勘定科目を用いて記帳し、当期の費用・収益ではないことを明確にします。
(不適切)本肢のポイントは<修繕工事は同年4月に実施することとなった>という文末です。令和6年度決算期末の時点では、工事は実施されていませんから、同年度決算では修繕費(費用)を計上できません。前払金が20万円増えた(ことにより計50万円になった)という次の仕訳が適切です。
(不適切)本肢は、誤った仕訳を修正するために必要な仕訳が問われています。現状は3万円全額が管理費収入に計上されていますが、正しくは2万円なので、帳簿上は1万円多くなっています。修正するには1万円減らさなくてはなりません。
そして、その1万円は正しくは駐車場使用料なので、「◯◯?」は駐車場使用料収入です。
本肢は貸借が逆になっており、不適切です。
(不適切)本肢で未計上なのは<3月に実施した植栽保守に要した費用7万円>です。3月までの当期に実施したので、当期の費用です。
<帳簿上の残高より預金残高証明書の金額が7万円少なかった>のは、現実には預金から支払い済みなのに、それが未計上で帳簿上の残高に反映されていないためです。「◯◯?」は現金預金ということなります。
本肢は貸方の未払金が不適切です。未払いのままなら、預金残高は減っていないはずだからです。
(適切)本肢でまず着目すべきは<令和6年3月分から令和7年5月分までの15か月分>の部分です。15か月ということは、当期(令和6年4月~令和7年3月)の12か月分より多いわけです。
1)まず、当期の12か月分(24万円)は当期の管理費収入です。
2)残りの3か月分(6万円)のうち、<令和6年3月>の1か月分(2万円)は本来、前期の収入です。管理組合の目から見れば前期末の時点で、収入として発生はしているが入金はされていない、つまり未収金でした。
参考・前期の令和5年度決算
今回の入金で、この未収金が解消されたことになります。つまり以下の仕訳です。
3)最後に残る2か月分(4万円)は、令和7年4~5月分、つまり来期の収入に計上すべきものです。当期末の時点では、まだ収入として発生はしていないが、前払いで受け取ったお金、つまり前受金です。
以上の1)~3)を合せると以下の仕訳になります。本肢は適切です。
本問は各選択肢で全く別の場面が問われています。仕訳に不慣れな方にとってはハードルが高いかもしれません。本試験の本番では、全50問を俯瞰したうえで、本問は捨てて、より確実に得点可能な問題に時間を回すという戦略も考慮に入れるべきです。
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02
令和6年度に何が「発生」したのか、
それが正確に計上されている選択肢が正解となります。
なお、「現金預金」等のようなキャッシュは、
下表の「資産」にあたります。
「資産」が増えたらホームポジションである借方へ、
減ったら反対側の貸方へ、
それぞれ計上されるということを意識しましょう。
【貸借対照表】
|負債
資産|――
|正味財産
【損益計算書】
費用|
――|収益
利益|
【勘定科目】
資産:現金預金、未収金、前払金
負債:未払金、前受金
費用:修繕費、保守費
不適切
たしかに、「現金預金20万円の減少」という出来事は、
令和6年度に発生しています。
しかし、修繕工事は令和6年度時点ではまだ行われていないので、
少なくとも「修繕費」が発生するのは不適切です。
【令和○年度それぞれの仕訳】
⑤前払金300,000|現金預金ナド300,000
⑥前払金200,000|現金預金200,000
⑦修繕費500,000|前払金500,000
不適切
本肢は誤った仕訳を訂正する問題ですが、
借方と貸方がひっくり返ってしまっています。
まず、「現金預金3万円の増加」という出来事は、
令和6年度に発生しています。
したがって、「現金預金30,000」は、
「資産」のホームポジションである借方に計上されます。
これに相対する形で、
貸方には「現金預金30,000」の内訳が示されるはずです。
誤って計上したとはいえ、
貸方に「管理費収入20,000」「駐車場使用料収入10,000」のいずれも示されていない本肢は少なくとも不適切です。
【本来の仕訳】
本来:現金預金30,000|管理費収入20,000
|駐車場使用料収入10,000
【本肢の訂正仕訳】
当初:現金預金30,000 |管理費収入30,000
訂正:管理費収入10,000|駐車場使用料収入10,000
不適切
たしかに、「植栽保守」は令和6年度に行われているので、
「保守費70,000」は発生しています。
よって、「費用」のホームポジションである借方に計上されている点は適切です。
しかし、これに相対する貸方は少なくとも「未払金」ではないので、
本肢は不適切です。
本肢の通り、
「帳簿上の残高より預金残高証明書の金額が7万円少なかった」とあるため、
「現金預金70,000」という帳簿上の「資産」を減少させる必要があります。
「資産の減少」は貸方に計上されるので、
下記の仕訳が適切です。
【本肢の仕訳】
保守費70,000|現金預金70,000
適切
まず、「現金預金30万円の増加」という出来事は、
令和6年度に発生しています。
よって、借方は適切です。
これに相対する形で、
貸方に内訳が示されます。
本肢では「管理費総額30万円」が入金されていますが、
各年度の内訳は下記の通りとなります。
【令和○年度の管理費収入】
⑤月2万円×(令和6年3月)
=2万円
⑥月2万円×(令和6年4月~令和7年3月)
=24万円
⑦月2万円×(令和7年4月~5月)
=4万円
⑤令和5年度時点では、
「未だ収められていないお金」として、
「資産」のホームポジションである借方に計上されていました。
その資産が減少することになったので、
貸方に「未収金20,000」と計上されます。
⑥令和6年度に発生した「管理費収入」なので、
貸方に「管理費収入240,000」と計上されます。
⑦令和7年度時点では、
「前もって受けとるお金」として、
「負債」のホームポジションである貸方に計上する必要があります。
よって、貸方に「前受金40,000」と計上されます。
したがって、貸方も適切であるため、
本肢は適切です。
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03
マンション管理士の簿記会計の問題は基本的なものでそれほど難しくはありません。
深く学習する意味はほぼないので、典型的ないくつかのパターンを過去問で網羅すれば十分対応できると思います。
仕訳というのは要するに取引の記録です。
いつその取引があったのかということを記録するのが仕訳です。
勘定科目は、結構バリエーションがあるので何を意味しているかが判れば細かい名前の違いは気にしなくていいです。
例えば、マンション管理士試験では「未収金」ですが、管理業務主任者試験では「未収入金」などと細かい違いがあることもあります。
仕訳問題で出るのはほとんどが金銭(現預金)の増減です。
金銭の出入りがない場合には金銭に代わる債権が増減します。
金銭と債権は資産です。
仕訳で、最初に考えるのは現預金(又は債権)が増えたのか減ったのかです。
①現預金(又は債権)が増加したのであれば借方に書きます。
そして、その増加の原因を貸方に書きます。
例えば、管理費が銀行口座に振り込まれたとします。
預金が増えたので借方に預金を書き、その預金の増えた原因は管理費なので相手方(貸方)に管理費を書きます。
これだけです。
現預金が増える原因で特に試験で出るものは、ほぼ「管理費」「修繕積立金」「使用料」の3つだけです。
使用料は何の使用料かによって頭に「駐車場」「専用庭」などと細目が付きます。
管理費と修繕積立金と使用料はまとめて一括引き落としというのはよくあります。
そこでその場合の仕訳は、
という複合仕訳になります。
預金が増えた原因は、管理費であり修繕積立金であり駐車場使用料だということです。
なお、必ずxxxx = yyyy + zzzz + aaaaです。
②現預金が減少したのであれば貸方に書きます。
そして、その原因を借方に書きます。
具体的に言うと例えば修繕費を預金から支払ったとします。
預金が減ったので貸方に預金を書き、その原因は修繕費なので相手方(借方)に修繕費を書きます。
これだけです。
この支出の科目は、いろいろ種類があります。
「修繕費」はよく出ますが他にも「什器備品」「消耗品費」などあり得ます。
時々、科目が何かよく判らないことがありますが、判らなくてもたいていは他の部分で正誤の判断ができます。
③後はこの「現金預金」の代わりに債権である(1)「未収金」(2)「前払金」、債務(のようなもの)である「前受金」「未払金」を使う場合が判ればほとんどの問題は解けます。
債権は現預金と同じ資産ですから、現預金に置き換わることがあります。
債務は負債なので現預金(及び債権)の相手方になります。
(1)「未収金」はいずれ現預金が増えるという債権ですが、発生時の仕訳では相手方はほぼ「管理費」「修繕積立金」「使用料」です。
管理組合会計では、主たる収入源はほぼこの3つです。
未収金の仕訳は要するに、滞納が発生した時の処理です。
滞納発生時には、「現金預金」が入ってこない代わりに債権として「未収金」を取得したことになります。
そこで、未収金という債権=資産が増加したので借方に書き、その原因は管理費なので相手方(貸方に)管理費を書きます。
後日、この未収金となっていた管理費が銀行口座に振り込まれると、未収金が預金に変わります。
預金が増えたので借方に書き、その原因は未収金(が現金化した)ということなので相手方(貸方)には未収金を書きます。
これで未収金が消えます。
(2)「前払金」は代金を先に支払って、いずれ何らかの反対給付を受けるという債権です。
反対給付はまだ受けていないので代わりに債権を取得したものとするのです。
相手方勘定は、お金を払うのが普通なのでほぼ「現金預金」です。
現預金が出ていったということですから貸方に現預金を書き、その原因はまだ現実化していないので代わりに前払金という債権を取得したので相手方(借方)に前払金を書きます。
後日、実際の反対給付、例えば修繕を受けたときに、前払金という債権が減少したので貸方に書き、その原因は修繕費なので相手方(借方)に修繕費を書きます。
これで前払金が消えます。
(3)前受金はまだ本来受け取ることのできないはず(つまり、弁済期前)の金銭の支払いを受けたということです。
形式的に債務扱いになります。これはちょっとわかりづらいかもしれません。
原因債権がまだ弁済期にないのに先んじて金銭の支払いを受けているので、原因はまだ現実化しませんから、代わりに「前受金」という負債として仕訳しておきます。
相手方勘定は、金銭が入ってくるのでほぼ「現金預金」です。
現預金が増えたので借方に書き、その原因は前受金を受け取ったことなので相手方(貸方)に前受金を書きます。
後日、弁済期が到来した時に、それが例えば管理費だったならば、
という仕訳を起こします。
これで前受金が消えます。
(4)未払金は対価をすでに受けたにもかかわらず、支払うべき金銭を支払ってない場合に使用します。
まさしく債務です。
対価はすでに受けているので、その時点で仕訳の必要があります。
しかし、代金分の現預金はまだ流出していませんから代わりに負担した債務を「未払金」として実際の支払いの時まで仕訳しておきます。
対価となる債務の負担原因、つまり相手方勘定は、「修繕費」「什器備品」「消耗品」などです。
例えば、
などとなります。
後日、実際に支払いを行ったときに、
という仕訳を起こします。
これで未払金が消えます。
④以上をざっくりまとめると、
です。
試験では費用以外は()内の科目を押さえておけばほぼ足ります。
負債はマイナスの資産と考えることができますから増減の扱いが資産と逆になります。
「費用の発生」とは、「資産の減少」及び「負債の増加」の原因であり、「収入の発生」というのは、「資産の増加」及び「負債の減少」の原因です。
ですから、それぞれ互いの相手方勘定になっています。
ところで「発生主義」云々という設定は、必ず書いてあるお約束です。
これ以外の設定はないと思って構いません。
要するに、実際の取引が発生した時を基準に取引を仕訳するというだけの話です。
問題作成者は、その取引がいつ発生したのかを的確に判断して当期の収入又は支出となるか、翌期以降若しくは前期以前となるかを正しく仕訳できるかどうかを見たいので発生主義でないと都合が悪いのです。
実際問題としても、管理組合会計で発生主義でなく現金主義を使うことは滅多にありません。
さて、発生主義で気を付けなければいけない代表格は、請負契約です。
請負契約の代金支払い義務が生じるのは、特約がない限り仕事の完成時です。
従って、請負の仕事がいつ完了したのかが重要であり、完成した月に当該請負を原因とする代金支払いのための仕訳を起こします。
その前後の月に起こす仕訳は試験レベルであれば、(1)仕事の完成前なら報酬の先払いとして前払金の仕訳、(2)仕事の完成後なら未払金を実際に支払った仕訳の二つだと思っておいて構いません。
請負契約は試験では頻出なのでしっかり学習しておきましょう。
「適切なもの」ではありません。
修繕工事の実施は令和7年4月なのですから、令和6年度においてはまだ修繕工事は支出の原因とはなりません。
ですから当該修繕工事に係る現預金の支出は前払金で処理すべきものになります。
よって、正しい仕訳は、
となります。
令和5年度に計上した前払金は工事完了までそのままですから令和7年3月の仕訳において何かする必要はありません。
結果として、令和6年度決算時においては、本件修繕工事に係る前払金の総額が50万円になります。
「適切なもの」ではありません。
修正仕分けの問題ですが、貸借が逆です。
正解は、
です。
全額を管理費としてした誤った仕訳は、
となっているはずです。
一方、本来しなければならなかった仕訳は、
です。
よって、余分に貸方に計上した管理費収入を1万円減らし、本来貸方にあるべき駐車場使用料収入1万円を増やす仕訳が必要です。
したがって、管理費収入1万円を借方に計上することで貸方の3万円と相殺して正しく2万円とし、駐車場使用料収入1万円を正しく貸方に計上する修正仕分けをします。
「適切なもの」ではありません。
預金残高証明書の金額が帳簿上の預金残高よりも少ないということですから、現実に預金が減少しています。
つまり、預金から植栽保守費用をすでに支払ったということです。
まだ支払っていない債務を計上する未払金にはなりません。
よって正しくは、
となります。
なお参考です。
仮に植栽保守の実施が2月以前であり、支払いが3月であった場合には、報酬後払いということになります。
すると2月以前の植栽保守実施月の仕訳として、
3月の報酬支払月の仕訳として、
となります。
「適切なもの」です。よってこの肢が正解です。
管理費30万円が銀行口座に入金されたのですから、まず、借方には「現金預金 300,000」と書きます。
次に相手方となる勘定科目を考えます。
まず30万円のうち、1か月分の2万円は前期の分ですから、前期においてすでに未収金として以下の仕訳がしてあります。
この仕訳の意味は、未収金の残高が2万円増えて、その増えた原因は管理費収入(未納)ということです。
その未収金が預金になったのですから、その分の未収金の残高を減らす必要があります。
そこで、
という仕訳をします。……①
現金預金の残高が2万円増えて、未収金の残高が2万円減ったという意味です。
未収金はいずれ現預金化する債権なので増えると借方、減ると貸方に計上されます。
次に、2か月分の4万円は翌期の分ですから、当期においては前受金として仕訳する必要があります。
となります。……②
現金預金の残高が4万円増えて、前受金の残高が2万円増えたという意味です。
前受金はいずれ現実の受領原因が発生するという意味の負債の一種です。
減ると借方、増えると貸方に計上されます。
なお、翌期になって実際に管理費が発生すると、
という仕訳を起こします。
最後に、残りの24万円ですが、これは当期の分なので当期において通常の仕訳をします。
となります。……③
現金預金が24万円増えて、その原因は「当期の」管理費であるという意味です。
①②③の仕訳を一つにまとめると、
となります。
なお、複合仕訳の複数の科目の順番は特に決まっていませんので気にしなくていいです(実務的には、職場ルールがあると思いますが)。
※こういう形式の仕訳を複合仕訳と言います。複合仕訳は単一の取引でありながら、借方若しくは貸方の一方又は両方が複数の科目に分かれている仕訳です。
複合仕訳は取引単位ごとに仕訳を行うので取引を正確に反映していますが、多少わかりにくい場合もあります。
一般的には複合仕訳を使いますが、使わない記帳が間違いというわけではありません。
ところで余談です。
一般的な実務的には各月ごとに仕訳を行っているので、令和6年4月から令和7年2月までの11か月分はすでに、
という仕訳が各月ごとに全11回分起こしてあって、3月の仕訳は11か月分溜まった未収金と3月分の管理費収入として預金が24万円増えます。
ですから、
となるのが通常だと思います。
もっとも本問設題においては「月ごとに発生主義」とは書いていないので、年次で発生主義として処理したという振り合いでもおかしくはありません。
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