マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問28 (管理組合の運営の円滑化 問4)

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問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問28(管理組合の運営の円滑化 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

理事長及び理事会の権限に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。
  • 住戸内の間取りの変更工事につき、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがないものとして、理事長は、理事会の決議を経ずに承認した。
  • 理事会の決議により、法令違反をしている理事長の役職を解き、当面は副理事長が理事長の職務を行い、次の理事会で理事長を選任することとした。
  • 共用部分である排水管の取替工事で住戸内に立ち入らなければならないが、転居の届出を行わなかった所在不明の区分所有者がいるので、理事長は、理事会の決議を経て、その者の探索を行い、その費用は後日その区分所有者に請求することとした。
  • 管理費等の滞納者からの支払額が納入すべき管理費等の全額に満たなかったので、管理組合は、理事会の決議により、弁済期が先に到来している管理費等から順に充当した。

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この過去問の解説 (1件)

01

理事長及び理事会の権限に関する問題です。標準管理規約(以下、標準規約と略します)は第38条第2項で、理事長は「区分所有法に定める管理者」と規定しており、幅広い権限を持ちます。独断専行を許してしまうと、理事会が形骸化してしまいますから、一定の事柄には理事会の決議が必要、と歯止めがかけられています。

選択肢1. 住戸内の間取りの変更工事につき、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがないものとして、理事長は、理事会の決議を経ずに承認した。

(適切でない)本肢の工事は標準規約第17条や第54条に照らして理事会決議が必要なので、<理事長は、理事会の決議を経ずに承認した>という本肢は、適切ではありません。

 <住戸内>、つまり専有部分の工事に関して標準規約第17条は、第1項で「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの」では、理事長の承認を必須としました。対象となる「影響を与えるおそれのあるもの」の具体例として、第17条関係コメント②は「床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等」を挙げています。本肢の<住戸内の間取りの変更工事>も対象となります。

 この標準規約第17条第1項の理事長の承認について、同条第3項は理事長に「理事会の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない」と義務付けました。これに対応して標準規約第54条第1項第5号は「第17条……に定める承認又は不承認」を理事会の議決事項と定めています。

選択肢2. 理事会の決議により、法令違反をしている理事長の役職を解き、当面は副理事長が理事長の職務を行い、次の理事会で理事長を選任することとした。

(適切)本肢は、標準規約第35条第3項「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議によって、理事のうちから選任し、又は解任する」に則っていますから、適切です。<当面は副理事長が理事長の職務を行>うことも、副理事長について 「理事長が欠けたときは、その職務を行う」と定めた標準規約第39条に沿っています。

選択肢3. 共用部分である排水管の取替工事で住戸内に立ち入らなければならないが、転居の届出を行わなかった所在不明の区分所有者がいるので、理事長は、理事会の決議を経て、その者の探索を行い、その費用は後日その区分所有者に請求することとした。

(適切)本肢は、2024年改正で新設された「区分所有者の所在等の探索」の規定(標準規約第67条の2)がテーマです。

 マンションを巡って建物と居住者の「2つの老い」が進む中、相続に伴う専有部分の空き家化や、連絡先が不明な「所在等不明区分所有者」が増えています。これを放置したままでは、総会の成立や決議が困難になって必要な修繕が進まなかったり、管理費の滞納が生じて修繕資金が不足したりします。<共用部分である排水管の取替工事で住戸内に立ち入らなければならない>が、できないという本肢は、必要な修繕が進められない前者のケースです。

 標準規約の24年改正は解決策として「誰がどこに住んでいるか、連絡がつくか」を管理組合が把握する仕組みを設けました。まず、組合員資格の得喪やその変更、つまり区分所有者が誰なのかを、管理組合に届け出るよう第31条で義務付けました。さらに、これを補完するため「第31条に違反し必要な届出を行わない」区分所有者を探す仕組みが第67条の2です。

 改正の説明を終えて、本肢に戻ります。<転居の届出を行わなかった所在不明の区分所有者>は第31条違反です。この無届けにより排水管取替工事が滞っている本肢の状況は、第67条の2の「敷地及び共用部分等の管理に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがある場合」に当たります。従って理事長は、第1項により「理事会の決議を経て、区分所有者の所在等を探索すること」や、第2項により「探索に要した費用について……、当該区分所有者に請求すること」ができます。

 本肢の理事長は<理事会の決議を経て>探索や費用請求を決めていますから、標準規約第67条の2の通りで、適切です。

選択肢4. 管理費等の滞納者からの支払額が納入すべき管理費等の全額に満たなかったので、管理組合は、理事会の決議により、弁済期が先に到来している管理費等から順に充当した。

(適切)本肢の<滞納者からの支払額が納入すべき管理費等の全額に満たなかった>という状況は、管理組合から見れば「収納金が全ての債務を消滅させるのに足りないとき」に該当します。この場合、標準規約第60条第5項は「管理組合は、理事会の決議により定める弁済の充当の順序に従い、その弁済を充当することができる」と定めています。

 本肢は<弁済期が先に到来している管理費等から順に充当>するという充当の順序を、<理事会の決議により>設定していますから、適切です。

まとめ

本問は、覚えた基礎知識で正答すべき問題ですが、本試験本番では緊張のあまりド忘れすることもあるでしょう。本問のように「適切でないもの」を選ぶ設問の場合、こんな発想も一案です。

 A)必要な理事会の決議を欠いていたケース

 B)理事会決議をしたが実は不要だったケース

この二つを比べたとき、どちらの方が不適切でしょうか? 決議対象がどんな案件であるかを問わず、明らかに、B)よりもA)の方が「適切でないもの」と考えることができます。

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