マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問27 (管理組合の運営の円滑化 問3)

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問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問27(管理組合の運営の円滑化 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模なマンション(単棟型)の理事会の組織や運営に関する次の記述のうち、マンション標準管理規約(単棟型)及びマンション標準管理規約(単棟型)コメント(令和7年10月17日改正)によれば、適切なものはどれか。

令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる設問文及び解答選択肢を一部修正しました。

<参考>

  • 理事会の中に部会を設け、当該部会に分担された業務については、部会の決議により理事会の決議に代えることができる。
  • 監事は、理事が不正の行為をし、又は当該行為をするおそれがあり、遅滞なくその旨を報告する必要があると認めるときは、直ちに理事会を招集することができる。
  • 共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち特定の事項については、災害等により総会の開催が困難な場合でなくても、理事会の決議により行うことができる旨を規約で定めることができる。

  • 区分所有者が共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある専有部分の修繕を実施する際は、理事の過半数の承諾を得ることなく、書面又は電磁的方法による理事会決議に基づき、理事長がその承認又は不承認をすることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

大規模マンションでは、総会や理事会の運営効率化が必要になります。大規模になればなるほど、全員が集まって決めることが難しくなるからです。効率化のための仕組みや、その「限界」が、本問では問われています。

選択肢1. 理事会の中に部会を設け、当該部会に分担された業務については、部会の決議により理事会の決議に代えることができる。

(不適切)20名を超える役員が頻繁に集まって話し合うのは現実的ではありません。本肢のように<理事会の中に部会を設け>る狙いは、標準規約第35条関係コメント⑥によると「各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行う」ためです。

 つまり、部会はあくまでも調査・検討する機関に過ぎません。<部会の決議により理事会の決議に代えることができる>とする本肢は不適切です。同コメント⑥は「部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある」とクギを刺しています。

選択肢2. 監事は、理事が不正の行為をし、又は当該行為をするおそれがあり、遅滞なくその旨を報告する必要があると認めるときは、直ちに理事会を招集することができる。

(不適切)本肢の<理事が不正の行為をし、又は当該行為をするおそれ>があると認めるとき、標準規約第41条は監事に「遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない」と義務付けています(第5項)。その報告のために必要と認めるとき、監事は「理事長に対し、理事会の招集を請求することができる」と第6項は認めています。<直ちに理事会を招集することができる>わけではないので、本肢は不適切です。

 なお、監事の請求があった日から5日以内に招集通知が発せられない場合、つまり理事長が放置した場合には「その請求をした監事は、理事会を招集することができる」と第7項は定めています。

選択肢3.

共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち特定の事項については、災害等により総会の開催が困難な場合でなくても、理事会の決議により行うことができる旨を規約で定めることができる。

(適切)理事会の議決事項16項目を列記した標準規約第54条第1項は、第15号で「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」を挙げていて、その具体的内容は第54条関係コメントの①で説明されています。その上で同コメント③は「①のほかにも、共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である 」としました。同趣旨の本肢は適切です。 

選択肢4. 区分所有者が共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある専有部分の修繕を実施する際は、理事の過半数の承諾を得ることなく、書面又は電磁的方法による理事会決議に基づき、理事長がその承認又は不承認をすることができる。

(不適切)本肢の議案に関して <理事の過半数の承諾を得ることなく>という箇所が不適切です。標準規約第53条第2項は「理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる」と規定しています。

 本肢の<共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある専有部分の修繕>を行うには標準規約第17条により理事長の承認が必要で、その「承認又は不承認」は標準規約第54条第1項第5号で理事会の議決事項となっています。理事会は本来、理事本人が出席して議論のうえ議決権を行使すべきです。しかし例外的に、本肢のような<専有部分の修繕>等は、前述の通り「書面又は電磁的方法による決議」が認められています。多数の申請が予想され、結論も急がれるためです。

まとめ

設問文の<200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模なマンション>というフレーズは随分、具体的ですよね。これは、標準規約第35条関係コメント⑥から引用しているからです。

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02

適切なのは、共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち、特定の事項を理事会の決議で行えるように規約で定めることができるという記述です。

大規模なマンションでは、すべての管理事項を総会で決めると、迅速な対応が難しくなることがあります。そのため、重要性が比較的低い特定の管理事項については、規約で定めることにより、理事会の決議に任せることができます。

選択肢1. 理事会の中に部会を設け、当該部会に分担された業務については、部会の決議により理事会の決議に代えることができる。

適切ではありません。

200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、理事会だけで詳しい検討を行うことが難しくなる場合があります。

そのため、理事会の中に部会を設け、それぞれの部会に業務を分担させることが考えられます。

ただし、部会の役割は、担当する事項について調査や検討を行うことです。理事会の決議事項について最終的に決定するのは、理事全員で構成される理事会です。

したがって、部会の決議を、そのまま理事会の決議に代えることはできません。

選択肢2. 監事は、理事が不正の行為をし、又は当該行為をするおそれがあり、遅滞なくその旨を報告する必要があると認めるときは、直ちに理事会を招集することができる。

適切ではありません。

監事は、理事が不正な行為をしている場合や、そのおそれがある場合には、遅滞なくそのことを理事会に報告しなければなりません。

報告のために理事会を開く必要があるときは、まず、理事長に理事会の招集を請求します。

その請求から5日以内に、請求の日から2週間以内の日を開催日とする招集通知が出されなかった場合に、監事が自ら理事会を招集できます。

したがって、監事が最初から直ちに理事会を招集できるわけではありません。

選択肢3.

共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち特定の事項については、災害等により総会の開催が困難な場合でなくても、理事会の決議により行うことができる旨を規約で定めることができる。

適切です。

共用部分の軽微な変更とは、共用部分の形や働きを大きく変えない変更をいいます。

狭義の管理行為とは、変更や保存行為を除いた、共用部分の通常の利用や改良に関する行為です。

災害などによって総会を開くことが難しい場合には、応急的な修繕工事などを理事会で決めることができます。

さらに、大規模マンションなどでは、災害時に限らず、迅速で効率的な管理組合の運営を行うため、軽微な変更や狭義の管理行為のうち、特定の事項を理事会の決議事項として規約に定めることができます。

ただし、理事会に任せる事項を明確にし、監事による監視や、組合員への事前・事後の情報提供など、運営の透明性を確保する必要があります。

選択肢4. 区分所有者が共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある専有部分の修繕を実施する際は、理事の過半数の承諾を得ることなく、書面又は電磁的方法による理事会決議に基づき、理事長がその承認又は不承認をすることができる。

適切ではありません。

専有部分の修繕であっても、共用部分やほかの専有部分に影響を与えるおそれがある場合には、あらかじめ理事長に申請し、承認を受けなければなりません。

理事長は、理事会の決議に基づいて、承認するかどうかを決定します。

この承認については、申請数が多く、迅速な審査が必要となる場合があるため、書面または電磁的方法による理事会決議を行うことができます。

ただし、その方法で決議を行うには、理事の過半数の承諾が必要です。

したがって、理事の過半数の承諾を得なくても書面などによる決議ができるとする点が誤りです。

まとめ

大規模マンションでは、多くの理事が集まってすべての事項を詳しく検討することが難しいため、部会を設けたり、一定の事項を理事会に任せたりする方法が考えられます。

ただし、部会は調査や検討を行う組織であり、部会の決議を理事会の決議に代えることはできません。

監事が自ら理事会を招集する場合にも、原則として、まず理事長に招集を請求する必要があります。

一方、共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち特定の事項は、規約で定めることにより、災害時でなくても理事会の決議事項とすることができます。

また、専有部分の修繕の承認を、書面または電磁的方法による理事会決議で行う場合には、理事の過半数の承諾が必要です。

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03

本問は、理事会に関して標準管理規約(単棟型)の規定の知識を問う問題ですが、割と網羅的に知識を問うだけの問題で、肢相互の関連は薄いです。
ある程度は常識的な判断で解けるので、難易度は低いです。

管理組合においては、基本的及び重要な意思決定は総会(集会)、日常的な意思決定は理事会、決定した意思に基づく又は法令等の規定に基づく業務の執行は理事長(管理組合法人においては、代表権のある理事。監事等の場合もあり)の権限ということは基本的な知識です。


特に意思決定については、総会と理事会の権限であるということは憶えておきましょう。
なお、理事長は、業務執行のための判断はできますが、この判断は意思決定という基本的なものではなく、細目的な事項に関わるものにすぎません。

選択肢1. 理事会の中に部会を設け、当該部会に分担された業務については、部会の決議により理事会の決議に代えることができる。

「適切なもの」ではありません。

 

どんなに大規模な管理組合であるとしても、組合の意思決定機関は総会又は理事会です。

 

標準管理規約(単棟型)コメント第35条関係「⑥200戸を超え、役員数が20名を超えるような大規模マンションでは、理事会のみで、実質的検討を行うのが難しくなるので、理事会の中に部会を設け、各部会に理事会の業務を分担して、実質的な検討を行うような、複層的な組織構成、役員の体制を検討する必要がある。
この場合、理事会の運営方針を決めるため、理事長、副理事長(各部の部長と兼任するような組織構成が望ましい。)による幹部会を設けることも有効である。なお、理事会運営細則を別途定め、部会を設ける場合は、理事会の決議事項につき決定するのは、あくまで、理事全員による理事会であることを明確にする必要がある。」

 

国会の委員会方式のように、理事会の決議事項について事前にある程度検討するための小部会を設けることは、理事会運営の効率化のために有効ではありますが、あくまでも最終的な決定権限は理事会にあります。
国会においても、委員会の決定はあくまでも事前調整、たたき台であって国会(本会議)の議決を経なければ成立しないのと同じです。

 

「管理組合の意思決定機関は総会(集会)と理事会のみ。」
これは常識にしてください。

選択肢2. 監事は、理事が不正の行為をし、又は当該行為をするおそれがあり、遅滞なくその旨を報告する必要があると認めるときは、直ちに理事会を招集することができる。

「適切なもの」ではありません。

 

理事が不正の行為をし又はその恐れがあるときは、監事は遅滞なく、理事会にその旨の報告をしなければなりません。


理事会の予定が近ければそのままその理事会で報告すればいいのですが、そうでなければ報告のための理事会の開催が必要です。
しかし、理事会の招集は理事長の権限です。
ですから、まずは理事長に開催を請求します。
それで所定の期間内に招集通知を発しないときにはじめて監事自身が理事会の招集をすることができます。


監事の理事会招集権限は、補充的な権限なのです。

 

標準管理規約(単棟型)第41条「(第1項乃至第4項略)
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。」

 

同規約第52条第1項「理事会は、理事長が招集する。」

 

理事の個人レベルでの不正等であれば、まずは理事会で是正できる可能性があります。
それならばまずは全区分所有者を巻き込まずに問題解決の道を探ります。
通常通りの招集手続きが履めるならあえて監事に招集権限を与える必要はありません。
いきなり大騒ぎする必要はないということです。

 

しかし、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めた場合には、理事会を飛ばして臨時総会の招集ができます。

 

同規約第41条第3項「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。」

 

こちらは、業務執行の不正等であり、理事会ぐるみの不正である可能性も高く、もはや理事会では問題が解決できない事態になっていることを想定しています。
総会の招集も理事長の権限ですが、理事会がまともに機能しない状況ではもはや理事長は当てにできません。
ですから、理事長に招集請求をせずにいきなり監事が招集できる規定になっています。

 

この違いは憶えておきましょう。

選択肢3.

共用部分の軽微な変更や狭義の管理行為のうち特定の事項については、災害等により総会の開催が困難な場合でなくても、理事会の決議により行うことができる旨を規約で定めることができる。

「適切なもの」です。よってこの肢が正解です。

 

共用部分の軽微変更や特定の管理行為については、機動的な対応ができるように、総会開催が困難でなくても、総会の決議を経ずに理事会の決議のみで可能とする旨の規約を設けることができます。

 

標準管理規約(単棟型)コメント第54条関係「①第1項第15号の「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。
(以下略)
①のほか(つまり、災害等により総会の開催が困難である場合のほか。筆者註)にも共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。(以下略)」


総会の開催はおおごとですから、共用部分の変更等であってもすべての事項について総会が必要というのは非現実的です。
ですから、総会が開催できないわけでないとしても、総会を開くほどの話ではないものは理事会で意思決定できるとすることは現実的な選択だというのは常識的に言って正当です。

選択肢4. 区分所有者が共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがある専有部分の修繕を実施する際は、理事の過半数の承諾を得ることなく、書面又は電磁的方法による理事会決議に基づき、理事長がその承認又は不承認をすることができる。

「適切なもの」ではありません。

 

理事会の決議は原則として理事の半数以上が出席した会議において行います。
しかし、すべての議案でそれをやるのは手間も時間もかかるので、一部の日常的によくある事項の決議に関しては、書面又は電磁的方法による決議が可能です。
そして、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕を区分所有者が専有部分について実施する(要するにいわゆるリフォームです)場合はその一つです。

この書面又は電磁的方法による決議を行うためには、理事の過半数の承諾が必要です。

 

標準管理規約(単棟型)第53条第2項「次条第1項第5号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。」

 

同規約第54条第1項第5号「第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認

 

同規約第17条(電磁的方法が利用可能ではない場合)「区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。」

 

同コメント第53条関係「⑥第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第5号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法による決議を可能とするものである」


他の肢にある通り、共用部分の変更について総会に代えて理事会で決定するようにできる場合と同様に、理事会の決議についても常に理事会を開催しなければならにというのは非現実的です。
リフォームの承認など全体に対する影響はそれほど大きくない事項については、理事会を開催せずに書面等による決議を可能にするというのは、常識的に言って正当だと思えるでしょう。

 

とは言え、本来総会の権限である事項を理事会に移譲するには、規約を定める必要があるので総会での特別決議が必要です。
同じように、理事会の決議を理事会開催を省略して行うためには理事会の決議と同じく理事の過半数の承諾が必要です。


もっとも、理事会開催の省略というのは、組合の何らかの意思決定を理事会が行うわけではなく、単に理事会決議のやり方という理事会運営上の内部的手続き的な話なので、理事会の決議ではなく理事の承諾という体裁になってます。
実質はほとんど変わりありませんが、決議ではないので、この承諾を得るために理事会を開催する必要はありません。

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