マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問21 (マンションの管理に関する法令及び実務 問21)

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問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問21(マンションの管理に関する法令及び実務 問21) (訂正依頼・報告はこちら)

建築基準法(昭和25年法律第201号)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 共同住宅の屋上広場の周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
  • 10階建ての民間共同住宅において、当該住宅の共用部分に設置された住人の移動の用に供する政令で定めるエレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
  • 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものであっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。
  • 延べ面積が1,000m2である共同住宅の昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

建築基準法(以下、単に法と略します)による諸規制の問題です。

選択肢1. 共同住宅の屋上広場の周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

(正しい)法施行令第126条は「屋上広場……の周囲には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない」と定めています。同内容の本肢は正しいです。

選択肢2. 10階建ての民間共同住宅において、当該住宅の共用部分に設置された住人の移動の用に供する政令で定めるエレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

(正しい)法第12条第3項は、昇降機(エレベーター)などの特定建築設備等に関して「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」に検査をさせて「その結果を特定行政庁に報告しなければならない」と定めています。同内容の本肢は正しいです。

選択肢3. 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものであっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。

(誤り)法第63条は「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる」と定めています。本肢の共同住宅にも適用されますから<隣地境界線に接して設けることができない>というのは誤りです。

 民法第234条第1項は、建物の築造に関して、隣地との「境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない」と制限をかけています。法第63条は、これを緩和していることになります。

選択肢4. 延べ面積が1,000m2である共同住宅の昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

(正しい)建築基準法施行令第126条の2は一定規模の建物に排煙設備の設置を義務付ける一方、「次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りではない」と例外を認めています。その第3号が「階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分」と定めており、乗降ロビーの部分には<排煙設備を設けなくてもよい>という本肢は正しいです。

まとめ

建築基準法は広大な宇宙です。過去問で出題された項目(特に数値)を確実に覚え、それ以上は手を広げないのが得策です。

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02

建築基準法に関する問題です。

選択肢1. 共同住宅の屋上広場の周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

「屋上広場」又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、

安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければなりません(建築基準法施行令126条1項)。

選択肢2. 10階建ての民間共同住宅において、当該住宅の共用部分に設置された住人の移動の用に供する政令で定めるエレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

原則として、「特定建築設備等」の「所有者」は、

これらの特定建築設備等について、

定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は「建築設備等検査員資格者証」の交付を受けている者に検査をさせて、

その結果を特定行政庁に報告しなければなりません(建築基準法12条3項)。

 

上記の「特定建築設備等」とは、

「昇降機」及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいいます(建築基準法12条3項括弧書)。

とりわけ、「人又は人及び物を運搬する昇降機」を「エレベーター」といいます(建築基準法施行令16条3項1号)。

 

また、「所有者」と管理者が異なる場合においては、

管理者にも上記の報告義務があります(建築基準法12条1項括弧書)。

 

なお、「建築設備等検査員資格者証」の種類は、

下記の四つとされています(建築基準法施行規則6条の5第2項)。

①建築設備検査員資格者証

②防火設備検査員資格者証

③「昇降機等検査員資格者証」

選択肢3. 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものであっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。

防火地域又は準防火地域内にある建築物で、

外壁が耐火構造のものについては、

その外壁を隣地境界線に接して設けることができます(建築基準法63条)。

選択肢4. 延べ面積が1,000m2である共同住宅の昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

共同住宅等の用途に供する特殊建築物で延べ面積が500m2を超えるものには、

排煙設備を設けなければなりません(建築基準法施行令126条の2第1項)。

ただし、階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該「昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分」を含む。)その他これらに類する建築物の部分については、

排煙設備を設けなくてもよいとされています(建築基準法施行令126条の2第1項3号)。

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03

本問は、設備等に関する安全確保のための建築基準法の規定の知識を網羅的に問うものです。
建築基準法がらみは細かい話が多い上に、数字は憶えていないとどうしようもなく、いやらしい問題が多いです。
苦痛だとは思いますが、憶えるしかありません。

選択肢1. 共同住宅の屋上広場の周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

「誤っているもの」ではありません。

 

共同住宅の屋上広場の周囲には、転落防止のために、1.1m以上の高さの手すり壁、柵、金網などを設置しなければなりません。
 

数字は憶えるしかありませんが、設定当時の成人男性の平均身長と人体の重心位置を基に、安全マージンを取った数字です。

 

建築基準法施行令第126条第1項「屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。」

 

 

制定時からに日本人の平均身長は伸びていますが、もともと余裕のある数字なので改正しなくても問題はほぼないことと、改正により生じる既存不適格の問題の対応が必要なためそのままになっています。
実務レベルでは、1200㎜で設置することは一般的にあります。

選択肢2. 10階建ての民間共同住宅において、当該住宅の共用部分に設置された住人の移動の用に供する政令で定めるエレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

「誤っているもの」ではありません。

 

マンションのエレベーターは定期的に一級建築士、二級建築士又は昇降機等検査員資格者証を受けている者の検査を受けて、所有者又は管理者がその結果を特定行政庁に報告しなければなりません、

 

建築基準法第12条第3項「特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第12条の3第2項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」


なお、冒頭の「10階建て」の部分には意味がありません。たとえ2階建てであっても検査報告義務があります。
細かく問題文を解析すると、

・10階建て → 特に意味はありません。
・民間 → 条文上、「国等の建築物に設けるものを除く」とあります。
・共同住宅において、当該住宅の共用部分に設置された → 戸建て又は共同住宅の専有部分内のものは、建築基準法施行令第16条第3項第1号かっこ書きの「使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるもの」として平成28年国土交通省告示第240号により除外されます。
・住人の移動の用に供する → 荷物用のエレベーターも検査対象なので、本問の解答には影響ありませんが、規定上は種類が分けてあります。
所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。) → 報告義務がある者は規定上は所有者が原則で管理者は例外ですが、実際上は管理者が一般であり、いない場合に所有者と思って構いません。
・定期に → エレベーターの定期検査は6ヶ月~1年で特定行政庁が定める期間(建築基準法施行規則第6条第1項柱書)ですが、実際には例外なく1年と思って間違いありません。
一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証のうち昇降機等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせて → 検査資格はたまに出ます。
・その結果を特定行政庁に報告 → 報告先もたまに出ます。

となります。

結構緻密な書き方をしています。

 

 

なお、この定期検査は、自主点検(保守点検)とは違います。
通常の物件においてはほぼ毎月、リモート又は実地でエレベーターの定期点検を行っています。
「検査」は法文上の用語で、法令の規定に基づく義務として行う場合。
「点検」は検査以外のもの(法令に基づく努力義務のものも含む)。
という使い分けがあります。

選択肢3. 防火地域又は準防火地域内にある共同住宅で、外壁が耐火構造のものであっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。

「誤っているもの」です。よってこの肢が正解です。

 

防火地域または準防火地域内にある共同住宅の耐火構造である外壁は、隣地境界線に接して設けることができます。

 

建築基準法第63条「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」


この話は、有名な判例があります。
民法第234条第1項では建築物は境界線から50㎝以上離さなければならないことになっています。
この規定と建築基準法第63条の規定の適用関係について争いとなった最判平成元年9月19日では、建築基準法第63条は民法第234条第1項の特則であるとして建築基準法が優先して適用されるとしています。

 

民法第234条第1項「建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。」

 

最判平成元年9月19日裁判例結果詳細 | 最高裁判所
「建築基準法65条(当時。現行法では第63条。筆者註)は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、
これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当」

選択肢4. 延べ面積が1,000m2である共同住宅の昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

「誤っているもの」ではありません。

 

共同住宅の階段、エレベーターシャフト、エレベーターホール等には排煙設備は不要です。

 

建築基準法施行令第126条の2第1項「法別表第1(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物(共同住宅は(二)項。筆者註)で延べ面積が500平方メートルを超えるもの(略)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
(第1号及び第2号略)
三 階段の部分昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
(第4号以下略)」

 

延べ面積が500㎡を超える場合、排煙設備の設置が必要なので延べ面積1,000㎡であれば排煙設備が必要です。
しかし、本肢の部分は、適用除外です。


階段とエレベーター周りに排煙設備が不要なのは、もともと火元になることが少なく、煙が発生する原因区画となりにくいところ、排煙設備を設けると却って他から煙を引き込むことになりかねないからです。
階段、エレベーター等の避難路として使用する場所に、わざわざ煙を引き込む可能性のある設備はない方が良いということです。

 

なお、階段等に可燃物を置いたせいで火元になることがあるのは実際には頻繁にある話ですが、そこまで気にしたらキリがありません。
それは建物の設計において考慮するべき問題ではなく、消防法をはじめとする防火のための行為の規制で対処するものであるということです。

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