マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問19 (マンションの管理に関する法令及び実務 問19)
問題文
マンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの再生等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)の規定によれば、正しいものはどれか。
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問19(マンションの管理に関する法令及び実務 問19) (訂正依頼・報告はこちら)
マンション建替事業に関する次の記述のうち、マンションの再生等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)の規定によれば、正しいものはどれか。
※ 令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる設問文及び解答選択肢を一部修正しました。
<参考>
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マンション再生組合の総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、マンションの再生等の円滑化に関する法律に特別の定めがある場合を除くほか、総組合員の議決権の過半数で決する。
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マンション再生組合は、都道府県知事等による組合の設立認可の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
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再生前マンションについて借家権を有していた者は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、再生後マンションの部分について借家権を取得する。
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マンション建替事業の事業計画においては、再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸の状況、その区分所有権及び敷地利用権の価額、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画等を記載しなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
マンションの再生等の円滑化に関する法律(以下、再生等円滑化法と略します)は、区分所有法に基づいて成立した建替え決議などを、実現するための仕組みを定めた法律です。令和8年(2026年)4月1日施行の法改正により法律名が変わっており、改題しています。
マンション再生組合の総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、マンションの再生等の円滑化に関する法律に特別の定めがある場合を除くほか、総組合員の議決権の過半数で決する。
(誤り)マンション再生組合の総会について定めた再生等円滑化法第29条第1項は「総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず」と定足数を定めました。本肢はこの点は正しいのですが、議事について<総組合員の議決権の過半数で決する>とした点が誤りです。同条第1項は「出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる」と定めています。
マンション再生組合は、都道府県知事等による組合の設立認可の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
(正しい)建替え事業の主体となるマンション再生組合は、都道府県知事等の認可を受けて初めて成立します(再生等円滑化法第13条)。このため、再生等円滑化法第14条第2項は、認可の「公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない」と定めました。同内容の本肢は正しいです。
再生前マンションについて借家権を有していた者は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、再生後マンションの部分について借家権を取得する。
(誤り)本肢は<権利変換期日において>の箇所が誤りです。権利変換期日の時点では、まだ工事は行われておらず再生後マンションは実在しません。本肢の借家権のみならず区分所有権も、建物に関する権利は、再生後マンションの「建築工事の完了の公告の日」に移行します(再生等円滑化法第71条第3項)。
マンション建替事業の事業計画においては、再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸の状況、その区分所有権及び敷地利用権の価額、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画等を記載しなければならない。
(誤り)事業計画の内容を定めた再生等円滑化法第10条は、本肢の<再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸の状況>や<再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画等>を明記しています。しかし<区分所有権及び敷地利用権の価額>は含まれていませんので、本肢は誤りです。
本問では出題されていない部分も含め、建替え事業は「組合の設立(知事認可)、組合による売渡し請求、権利変換計画(知事認可)、権利変換、工事、事業完了、清算手続き、組合解散」という流れで進みます。また、再生等円滑化法は建替え等のマンション再生事業以外に、売却事業や除却事業もカバーしており、その流れは微妙に異なります。まず、再生事業の大まかな流れを押さえましょう。
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02
正しい記述は、マンション再生組合は、設立認可の公告があるまでは、組合の成立や定款、事業計画を組合員その他の第三者に対して主張できないというものです。
マンション再生組合は、設立の認可を受けることで成立します。ただし、組合が成立したことなどを周囲の人に正式に主張できるようになるのは、その認可について公告が行われた後です。
マンション再生組合の総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、マンションの再生等の円滑化に関する法律に特別の定めがある場合を除くほか、総組合員の議決権の過半数で決する。
総会は、総組合員の半数以上が出席しなければ、議事を開くことができません。この部分は正しいです。
しかし、通常の議事を決めるために必要なのは、総組合員全体の議決権の過半数ではありません。
法律に特別の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決めます。
つまり、決議の基準となるのは、原則として総組合員ではなく、その総会に出席した人の議決権です。
マンション再生組合は、都道府県知事等による組合の設立認可の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
適切です。
マンション再生組合は、都道府県知事等から設立の認可を受けることによって成立します。
認可が行われると、組合の名称、マンションの名称や敷地の区域、事業を行う期間などが公告されます。
この公告が行われるまでは、組合が成立したことや、定款・事業計画の内容を、組合員その他の第三者に対して主張することができません。
公告には、組合の成立や事業内容を広く知らせる役割があります。
再生前マンションについて借家権を有していた者は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、再生後マンションの部分について借家権を取得する。
不適切です。
一定の借家人が再生後マンションの部分について借家権を取得するのは、権利変換期日ではありません。
再生後マンションは、権利変換期日の時点では、まだ完成していません。そのため、この時点で新しいマンションの部分について借家権を取得することはできません。
原則として、賃貸借の終了を求められた借家人を除き、再生前マンションの借家人は、再生後マンションの建築工事などが完了し、そのことが公告された日に、権利変換計画に従って借家権を取得します。
マンション建替事業の事業計画においては、再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸の状況、その区分所有権及び敷地利用権の価額、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画等を記載しなければならない。
不適切です。
事業計画には、主に次のような事項を記載します。
・再生前マンションの状況
・再生前マンションの敷地や住戸の状況
・再生後マンションの設計の概要と敷地の区域
・事業を行う期間
・資金計画
しかし、再生前マンションの区分所有権や敷地利用権の価額は、事業計画に記載する事項ではありません。
これらの権利の価額は、誰が再生後マンションのどの権利を取得するかなどを決める権利変換計画に定めます。
事業計画と権利変換計画は、名前が似ていますが、役割が異なります。
マンション再生組合の総会は、総組合員の半数以上が出席しなければ開くことができません。ただし、通常の議事は、総組合員全体ではなく、出席者の議決権の過半数で決めます。
マンション再生組合は設立認可によって成立しますが、組合の成立や定款、事業計画を組合員その他の第三者に主張できるのは、設立認可の公告後です。
また、借家人が再生後マンションの借家権を取得するのは、原則として工事完了の公告の日です。区分所有権や敷地利用権の価額は、事業計画ではなく権利変換計画に定める点も押さえておきましょう。
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03
本問はマンションの再生等の円滑化に関する法律(以下、再生円滑化法)の規定に関する基本的な知識を問う問題です。
従前、建替えが中心であったためマンションの建替え等の円滑化に関する法律という名称でした。
ですが、建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)の改正により、建替えに加えて様々な選択肢が増えたことに合わせた改正を行い、併せて区分所有法の「再生」という用語を法令名に使用しています。
マンションの再生等の円滑化に関する法律は、
①マンション再生事業
(1)マンション建替え事業
(2)マンション更新事業
(3)マンション再建事業
(4)マンション一括建替え等事業
②マンション等売却事業
(1)マンション敷地売却事業
(2)マンション除却敷地売却事業
(3)敷地売却事業
③マンション除却事業
④敷地分割事業
の4つの事業を規定しています。
本問は、改正前の出題なので建替えがテーマでしたが、内容は改正後のマンション再生全般に共通な話なので、建替えを再生に置き換えても通用します。
マンション再生組合の総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、マンションの再生等の円滑化に関する法律に特別の定めがある場合を除くほか、総組合員の議決権の過半数で決する。
「正しいもの」ではありません。
前段の定足数が総組合員の半数以上というのは正しいです。
しかし、後段の議決数は総組合員ではなく出席組合員の過半数(可否同数の時は、議長が決する)です。
再生円滑化法第29条第1項「総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。」
議事のために定足数を定めておきながら議決数では定足数を満たした出席者数を無視するというのも変な話ですから、知らなくてもおかしいと思えると思います。
議事と議決は別と考えることは理論的には可能ですが、実際上は一続きなのですから、議事の定足数と議決数には関係がある、つまり、定足数を満たす出席者の数が議決数算出の基礎になるのが通常です。
マンション再生組合は、都道府県知事等による組合の設立認可の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
「正しいもの」です。よってこの肢が正解です。
マンション再生組合は登記をすることができません。
そこで再生円滑化法では、公告をもって第三者対抗力を生じる要件としています。
再生円滑化法第14条「都道府県知事等は、第9条第1項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、組合の名称、再生前マンションの名称及びその敷地の区域又は再建敷地の区域、再生後マンションの敷地の区域、事業施行期間その他国土交通省令で定める事項を公告し、かつ、関係市町村長に再生前マンションの名称及びその敷地の区域又は再建敷地の区域、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域その他国土交通省令で定める事項を表示する図書を送付しなければならない。
2 組合は、前項の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員その他の第三者に対抗することができない。
(第3項略)」
再生組合の登記ができない理由は、大雑把に、公告の方が都合が良いからと思っておけばいいです。
登記は割と融通が利かない面があり、手続きが煩雑になるおそれがあります。
もとよりそれほど長期間活動する団体ではありませんから、都道府県知事等の認可と公告をもって登記に代えて不都合はなくむしろ、余計な手間が省けて良いくらいに思っておけば良いと思います。
再生前マンションについて借家権を有していた者は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、再生後マンションの部分について借家権を取得する。
「正しいもの」ではありません。
マンション再生事業(建替え又は更新に限る(*))による再生前マンションについて借家権を有していた者は、建替え事業又は更新事業の工事完了の公告の日に再生後マンションについて借家権を取得します。
権利変換期日ではありません。
(*)「建替え又は更新に限る」理由は、再建及び一括建替等事業は(一部又は全部の)建物が存在しないことが前提であり、再生事業を始める時点において既に「再生前マンション」に相当する建物が存在しないので観念する意味がないからです。
再生円滑化法第71条第3項「被請求借家権者以外の再生前マンションについて借家権を有していた者(その者が更に借家権を設定していたときは、その借家権の設定を受けた者)は、第81条の建築工事又は更新工事の完了の公告の日に、権利変換計画の定めるところに従い、再生後マンションの部分について借家権を取得する。」
そもそも権利変換期日というのは、再生前マンションの権利関係を整理して再生事業を円滑に進めるために再生前の時点に設定するものです。
その時点では再生前のマンションが手つかずで存在している、言い換えれば再生後のマンションは影も形もないのですから、借家権の目的物とはなりません。
ですから権利変換期日の時点で再生後マンションについて借家権を取得することは法論理的にあり得ません。
あくまでも再生後マンションの工事が完了して新たな借家権の目的物が晴れて存在するようになってから、当該マンションについて借家権が認められます。
この問題は、マンション再生の手続きの流れを理解しているか(権利変換期日がどこに設定されるか)ということを知らないと正誤の判断ができません。
組合施工の場合のマンション再生事業の大まかな流れは次の通りです。
①再生組合設立
②売渡し請求
③権利変換計画
④権利変換計画非賛成者に対する売渡請求
⑤権利変換(←権利変換期日)
⑥再生前マンションの明渡し
⑦再生後マンションの完成
⑧組合の清算・解散
この流れは押さえておきましょう。
また、その他の3事業についても出題可能性があるので整理して憶えておきましょう。
マンション建替事業の事業計画においては、再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸の状況、その区分所有権及び敷地利用権の価額、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画等を記載しなければならない。
「正しいもの」ではありません。
マンション再生に係る事業計画に「区分所有権及び敷地利用権の価額」を記載する必要はありません。
再生事業を施行するにあたって必ずしも必要な情報ではないからです。
再生円滑化法第10条第1項「事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、再生前マンションの状況、その敷地の区域及びその住戸(人の居住の用に供するマンションの部分をいう。以下同じ。)の状況又は再建敷地の区域、再生後マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。」
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