マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問13 (マンションの管理に関する法令及び実務 問13)
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問13(マンションの管理に関する法令及び実務 問13) (訂正依頼・報告はこちら)
- Aが、Bに対して借入金の全額を弁済した場合、Bの抵当権は消滅する。
- Bが、Aに対して有する貸金返還請求権をCに譲渡した場合であっても、Bを抵当権者とする抵当権はCに移転しない。
- Aが、Bに対して借入金の半額を弁済した場合、Bは、全額の弁済を受けるまで、501号室の全部について抵当権を行使することができる。
- 501号室が火災により損害を受け、Aが自らの加入する火災保険に基づき保険会社に対して保険金請求権を有する場合、Bの抵当権の効力は、その請求権に及ぶ。
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この過去問の解説 (3件)
01
本間のテーマである抵当権の基本的な4つの性質は、絶対に覚えるべき基礎知識です。
(正しい)付従性が問われています。主たる債権が存在して初めて、「従者」である抵当権も存在できるという性質です。Aが<全額を弁済した場合>、主たる債権である<BのAに対する貸金返還請求権>が消滅するので、<Bの抵当権は消滅する>という本肢は正しいです。
(誤り)随伴性が問われています。債権譲渡などによって債権が移転すると「付随」して抵当権も自動的に一緒に移転するという性質です。債権を<Cに譲渡した場合>には、抵当権も自動的にCに移ります。<抵当権はCに移転しない>という本肢は誤りです。
(正しい)不可分性が問われています。たとえ99%まで返済が終わっていても、全額が弁済されるまでは、抵当不動産全体に抵当権が及ぶという性質です。本肢のように<半額を弁済した場合>も、残り半分に債権を担保するために<全部について抵当権を行使することができる>というのは正しいです。
(正しい)物上代位性が問われています。抵当不動産が売却・滅失・賃貸された場合、それに伴って発生する売買代金・保険金請求権・賃料債権などに抵当権が及ぶという性質です。火災被害によって生じた本肢の<保険金請求権>にも抵当権の効力は及びます。同趣旨の本肢は正しいです。
各選択肢は確実に正誤判断できなければならないレベルです。
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02
AがB銀行で住宅ローンを組んだ状況をイメージしましょう。
正
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで「債務」の担保に供した不動産について、
他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有します(民法369条1項)。
この権利を「抵当権」といいます。
そして、裏を返せば、
「債務」がなくなると抵当権も消滅するということです。
これを「付従性」といいます。
したがって、抵当権設定者Aが、
抵当権者Bに対して借入金の全額を弁済した場合、
Bの抵当権は消滅するので、
本肢は正しいです。
誤
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、
他の債権者に先立って「自己の債権」の弁済を受ける権利を有します(民法369条1項)。
この権利を「抵当権」といいます。
仮に、貸金返還請求権のような「自己の債権」を譲渡した場合、
抵当権も移転します。
これを「随伴性」といいます。
したがって、抵当権者Bが、
抵当権設定者Aに対して有する貸金返還請求権をCに譲渡した場合、
Bを抵当権者とする抵当権はCに移転します。
正
抵当権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、
抵当目的物の全部についてその権利を行使することができます(民法296条、372条)。
これを「不可分性」といいます。
したがって、Aが、
銀行Bに対して借入金の半額を弁済した場合であっても、
抵当権者である銀行Bは、
全額の弁済を受けるまで、
抵当目的物である501号室の全部について抵当権を行使することができるので、
本肢は正しいです。
正
抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、
行使することができます(民法304条1項、372条)。
これを「物上代位性」といいます。
したがって、抵当目的物である501号室が火災により損害を受け、
Aが自らの加入する火災保険に基づき保険会社に対して保険金請求権を有する場合、
銀行Bの抵当権の効力は、
その請求権に及ぶので、
本肢は正しいです。
「民法の規定及び判例によれば」と問うておきながら、
判例を用いる必要がないような基本概念についての問題でした。
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03
本問は、担保物権の通有性に関する知識を問う問題です。
通有性とは、担保物権が「通」じて「有」する「性」質のことです。4つの性質があります。
①附従性
附従性とは、担保物権は被担保債権の存在が前提であり、被担保債権のないところに担保物権は成立せず、被担保債権が消滅すれば担保物権も消滅するという性質です。
ただし、成立における附従性は緩和されており、例えば、抵当権は被担保債権の成立前に発生することもあります。
典型的には、銀行の住宅ローンでは、抵当権の登記をした後で実際に金を貸します。
金を貸す前には被担保債権である貸主の貸金返還請求権はまだ存在しません。
貸金返還債務が成立する前に抵当権が存在しないとすると不存在の抵当権について登記ができません。
しかし、金融取引の安全のために先に登記ができるように担保権を被担保債権よりも先に生じることを認めています。
一方、消滅における附従性は緩和されておらず、被担保債権が消滅すれば抵当権が消滅します。
また、抵当権は、債権者及び抵当権設定者との関係では被担保債権とは独立して時効にかかりません。
民法第396条「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。」
②随伴性
随伴性とは、被担保債権が移転すると担保物権も一緒に移転するという性質です。
被担保債権と担保物権の帰属が異なると権利の行使者が異なることになり処理がややこしくなるからと思っておけばいいです。
③不可分性
不可分性とは、被担保債権の一部弁済があっても担保物権には影響せず、全額の弁済があるまで担保物権は目的物全体に効力が及び続けるという性質です。
一部弁済のたびに、担保の入換えをすることになりかねないのは大変だということです。
④物上代位性
物上代位性とは、担保物権の目的物の移転、滅失その他の事由より債務者が取得した債権があれば、その債権に対しても担保物権の効力が及ぶという性質です。
担保物権は目的物の交換価値を把握する権利であり、交換価値が姿を変えた財産にも及ぶということであり、担保物権の効力を強化するためと思っておけばいいでしょう。
なお、担保権の中で、留置権と一般の先取特権には物上代位性がありません。
留置権は留置的効力により、弁済を心理的に強制する程度の効力で十分とされているわけですが、要するに、必要がないと考えられたから程度です。
一般先取特権の場合は、そもそも一般の先取特権は債務者の総財産に及ぶので、物上代位性を認めるまでもなく当然に代替債権にも効力が及ぶからです。
ところで、担保物権の効力として優先弁済効があります。
担保物権の権利者は他の債権者に先んじて優先的に弁済を受けることができるという効力です。
これも留置権だけは事実上の優先弁済効しかありません。
留置権は留置的効力がとにかく最大の効力であり、そのため物上代位性がないことと同じと思って構いません。
留置権は担保物権の中では少々変わりものということです。
「誤っているもの」ではありません。
被担保債権が弁済により消滅すれば抵当権も附従性により消滅します。
したがって、Bに対してAが負う貸金返還債務が弁済により消滅すれば、抵当権も消滅します。
民法第396条「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。」
本条は、時効消滅の規定ですが、被担保債権が時効消滅すれば抵当権も消滅するというのは、被担保債権と命運を共にする、つまり、附従性の存在を前提にしています。
なお、抵当権登記の抹消という後始末が残ります。
余談ですが、被担保弁済により消滅した抵当権の登記を抹消せずに別の債権の担保として流用できるかという話があります(結論だけ言えば、場合によってできます)。
これは、あくまでもほかの債権を担保する抵当権に、消滅した抵当権の登記を流用するという話であって、抵当権が消滅せずに別の債権の担保に供することができるかという話ではありません。
「誤っているもの」です。よってこの肢が正解です。
被担保債権が譲渡により移転すると、抵当権もまた、随伴性により被担保債権の譲受人に移転します。
したがって、BがCに被担保債権であるAに対する貸金返還請求債権を譲渡すれば、抵当権もまたCに移転します。
民法第398条の7前段「元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。」
確定前の根抵当権に随伴性がないことを規定しますが、この反対解釈で確定後の根抵当権には随伴性があることになります。
そして、確定後の根抵当権は抵当権に近くなるので、抵当権にも随伴性があることが前提と解することができます。
「誤っているもの」ではありません。
抵当権は被担保債権の全額の弁済があるまでは、不可分性によりその目的物の全体に効力が及びます。
したがって、Aが債務の半分を弁済したとしてもBは抵当権全部を行使することができます。
もっともこれは、抵当権の効力が目的物全体に及び続けるという話に過ぎず、被担保債権の額は弁済未了の半分だけですから、抵当権実行により優先弁済を受けられるのもその半分になった被担保債権額だけです。
民法第372条「第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。」
同法第296条「留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。」
「誤っているもの」ではありません。
抵当権の目的物が毀損滅失した場合、物上代位性により、目的物の毀損滅失を原因として債務者が取得した債権に抵当権の効力が及びます。
民法第372条「第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。」
同法第304条第1項「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。」
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