マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問11 (マンションの管理に関する法令及び実務 問11)
問題文
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その一部が滅失(区分所有法第61条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)した区分所有建物を取り壊す旨の区分所有者集会における決議(この問いにおいて「建物取壊し決議」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の規定によれば、誤っているものはどれか
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問11(マンションの管理に関する法令及び実務 問11) (訂正依頼・報告はこちら)
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その一部が滅失(区分所有法第61条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)した区分所有建物を取り壊す旨の区分所有者集会における決議(この問いにおいて「建物取壊し決議」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の規定によれば、誤っているものはどれか
※ 令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる設問文及び解答選択肢を一部修正しました。
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区分所有者集会を招集するための通知と、その招集通知の通知事項について説明を行うための説明会を開催するための通知は、一括して発出することができる。
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区分所有者集会の招集通知においては、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、建物の取壊しを必要とする理由、建物の取壊しをしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳、並びに建替えに要する費用の概算額を通知しなければならない。
- 区分所有者集会における建物取壊し決議において、建物の取壊しに要する費用の分担については、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
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区分所有者集会において建物取壊し決議に賛成した各区分所有者、取壊し決議の内容により取壊しに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者は、当該決議の内容により取壊しを行う旨の合意をしたものとみなされる。
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この過去問の解説 (3件)
01
本問のテーマである大規模一部滅失後の建物取壊し決議は、2026年4月1日に施行された<区分所有法及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法>、いわゆる被災マンション法の改正で、法体系が抜本的に変わりました。
改正前は、被災マンション法に定められていましたが、改正後の区分所有法(以下、単に改正法と略します)に「第64条の8」が新設されました。被災時の特別法である被災マンション法からは削除し、平時でも適用される一般法である区分所有法に「引越し」した形です。
「第64条の8」は第3項に準用規定があり、建替え決議の条文を読み替えて準用しています。以下の解説では、単に「第3項で準用する改正法第〇条」などと表記することがあります。
区分所有者集会を招集するための通知と、その招集通知の通知事項について説明を行うための説明会を開催するための通知は、一括して発出することができる。
(正しい)集会招集通知は会日の2か月前までに発しなければなりません(第3項が準用する改正法第62条第6項)。集会に先立ち会日の1か月前までに開催が義務付けられている「説明会」の通知は、会日の1週間前までに行う必要があります(第3項が準用する改正法第62条第8〜9項)。計算上は、説明会通知は集会通知よりも後で構わないことになります。
しかし、国交省が法改正に合わせて26年3月に公表したマニュアル『マンション除却事業の解説』では、説明会通知に関して「集会の招集通知に併せて記載することが望ましい」と明記されています。2つの通知を<一括して発出することができる>という本肢は正しいです。
※『マンション除却事業の解説』
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001993400.pdf
区分所有者集会の招集通知においては、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、建物の取壊しを必要とする理由、建物の取壊しをしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳、並びに建替えに要する費用の概算額を通知しなければならない。
(誤り)本肢の集会招集での通知事項について、第3項で準用する改正法第62条第7項は<建物の取壊しを必要とする理由、建物の取壊しをしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳>は定めていますが、<建替えに要する費用の概算額>は含まれていません。従って誤りです。
(正しい)本肢の<建物の取壊しに要する費用の分担>については、第3項で準用する改正法第62条第5項において「各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない」と定められています。本肢は正しいです。
区分所有者集会において建物取壊し決議に賛成した各区分所有者、取壊し決議の内容により取壊しに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者は、当該決議の内容により取壊しを行う旨の合意をしたものとみなされる。
(正しい) 本肢の、みなし合意の仕組みは、第3項で準用する改正法第64条と同趣旨なので、正しい内容です。
改正法は、マンション再生等の円滑化を推進する狙いで、取壊しとともに、建物の更新・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却も合わせて計4つの決議を新設しています。
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02
誤っているのは、区分所有者集会の招集通知に、建替えに要する費用の概算額も記載しなければならないとする記述です。
建物取壊し決議は、建物を取り壊すことを決めるものであり、建替えを行うことまで決めるものではありません。そのため、招集通知に建替え費用の概算額を記載する必要はありません。
区分所有者集会を招集するための通知と、その招集通知の通知事項について説明を行うための説明会を開催するための通知は、一括して発出することができる。
適切です。
建物取壊し決議を行う集会の招集通知は、集会の日の少なくとも2か月前までに発出しなければなりません。
また、招集通知に記載した内容について説明するため、集会の日の少なくとも1か月前までに説明会を開催する必要があります。説明会の開催通知は、説明会の日の少なくとも1週間前までに発出します。
これらの期間を守っていれば、集会の招集通知と説明会の開催通知を同じ書面に記載し、一括して発出することができます。
区分所有者集会の招集通知においては、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、建物の取壊しを必要とする理由、建物の取壊しをしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳、並びに建替えに要する費用の概算額を通知しなければならない。
不適切です。
建物取壊し決議を行う集会の招集通知では、会議の目的と議案の要領に加えて、主に次の事項を通知します。
・建物の取壊しを必要とする理由
・建物を取り壊さない場合に、その建物の効用を維持し、または回復するために必要となる費用の額と内訳
・建物の修繕計画が定められている場合は、その内容
・修繕積立金として積み立てられている金額
建物取壊し決議は、建物を取り壊すことを決めるものであり、建替えを決めるものではありません。
したがって、建替えに要する費用の概算額は、法律で定められた通知事項ではありません。
なお、取壊し決議そのものでは、建物の取壊しに要する費用の概算額と、その費用の分担に関する事項を定めます。
適切です。
建物取壊し決議では、次の事項を定めなければなりません。
・建物の取壊しに要する費用の概算額
・その費用の分担に関する事項
費用の分担方法を定めるときは、特定の区分所有者だけが不当に重い負担を負うことがないようにする必要があります。
そのため、それぞれの区分所有者が持つ権利の価値などを考慮し、区分所有者間の公平を害しないように定めなければなりません。
区分所有者集会において建物取壊し決議に賛成した各区分所有者、取壊し決議の内容により取壊しに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者は、当該決議の内容により取壊しを行う旨の合意をしたものとみなされる。
適切です。
建物取壊し決議に反対した区分所有者に対しては、決議の内容に従って取壊しに参加するかどうかを回答するように催告します。
その後、次の人たちは、取壊し決議の内容に従って建物を取り壊すことに合意したものとして扱われます。
・取壊し決議に賛成した区分所有者
・催告を受け、取壊しに参加すると回答した区分所有者
・取壊しに参加しない区分所有者から区分所有権や敷地利用権を買い受けた買受指定者
これにより、取壊しに参加する人たちの間に、決議の内容どおり取壊しを行うという合意が成立したものとみなされます。
建物取壊し決議では、建物を取り壊すための費用の概算額と、その費用の分担方法を定めます。
集会の招集通知には、取壊しを必要とする理由や、取り壊さない場合に必要となる維持・回復費用などを記載しますが、建替え費用の概算額を記載する必要はありません。
また、政令で定める災害により建物が大規模一部滅失した場合は、政令で定める期間に限り、建物取壊し決議の多数決要件が、区分所有者と議決権のそれぞれ5分の4以上から、それぞれ3分の2以上に緩和されます。
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03
本問は、建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)の取壊し決議に関する基本的な知識を問う問題です。
本問は出題時は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(以下、被災区分所有法)の問題でした。
しかし、2026年(令和8年)4月1日施行改正区分所有法に取壊し決議の規定が設けられたため、被災区分所有法の取壊し決議の規定は削除になり、本問はほぼ区分所有法の問題になりました(被災区分所有法には特に規定がないという意味において被災区分所有法に関係する肢はあります)。
被災区分所有法は、指定災害により区分所有建物が滅失(*)又は大規模一部滅失した場合の特例法です。
改正以前は、区分所有法の規定を補充する形で大規模災害により被害を受けた区分所有建物について、敷地売却や建物の取壊しなどを行うための規定がありました。
しかし、それらの規定が2026年(令和8年)4月1日施行の改正区分所有法に全て、災害に関わらず一般論として規定されたことにより、被災区分所有法は、指定災害時における手続き上の特例を定めるだけの法律となり、区分所有法の補充的な規定は全て削除になりました。
そのため、現在の被災区分所有法の規定は、単棟の滅失と大規模一部滅失、団地内建物の滅失と大規模一部滅失の4つについて、集会の招集、議決数及び期間の特例を定めるのみになっています。
(*)改正前には「全部が滅失」(全部滅失)となっていましたが、改正により表現を整理して、単に「滅失」と言えば建物全体つまり全部滅失のことであり、部分的な滅失が「一部滅失」として区別されています。
なお、本問は取壊しを題材としていますが、取壊しに限らず、建物及び敷地をどうするかという決議(建物更新、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却及び取壊しの4種類の各決議)は、建替えに関する第62条乃至第64条の4を準用しており、基本的な制度設計は概ね同じです。
また、この決議を実行に移す場合の手続きについては、マンションの再生等の円滑化に関する法律の問題になります。
ちなみに、
①建物更新は、躯体の構造部だけを残して内外装及び附属設備類を全部取り払って大規模な作り変えをすることです。
一棟リノベーションなどと言います。
建物の構造(躯体)はそのまま再利用して、陳腐化した設備類を新しくすることでマンションを再生します。
②建物敷地売却は、建物と敷地をまとめてにデベロッパーなどに売却することです。
その後どうするかは買受人が決めます。
買受後に建物は取り壊すことが普通なので、取壊しの費用は一般に売却価格に織り込まれます。
③建物取壊し敷地売却は、建物を取り壊して更地にした上で敷地を売却することです。
②との違いは、建物を誰が取り壊すかです。
先に取り壊してから売却するので取壊しは区分所有者が行います。
そこで取壊し費用の工面が問題になります。
取壊し費用込みの価格で建物と敷地をまとめて売る②方が楽ですが、先に取り壊さざるを得ない事情があることも考えられるので、両方のやり方を規定しています。
④取壊しは、単純に建物を取り壊すだけです。
その後どうするか(再建するか敷地を売却するか等)は先送りにして、とにかく建物を取り壊します。
これは、後処理を先送りにするので、取り壊し後の対応が決まらない可能性があり、リスクの大きい決議になります。
しかし、建物を緊急に取り壊さざるを得ない事情があって、その後の対応を決めるいとまがないのであれば、止むを得ません。
また、建物が滅失してしまった場合も、一定の期間は、区分所有法の第72条以下の規定が適用されます。
従前、建物がなくなると土地の共有関係だけになり区分所有法の規定が適用されなかったので、被災区分所有法で指定災害の場合は規定がありましたが、それ以外では再建等が困難になる問題があったことに対処したものです。
指定災害に限らず、一般的に区分所有法の規定により建物の滅失に対応できるようにしたものです。
この辺の改正点は出題可能性が高いと思いますので、昔の規定はともかく、改正で今どうなっているかだけはしっかり押さえておくのが良いと思います。
区分所有者集会を招集するための通知と、その招集通知の通知事項について説明を行うための説明会を開催するための通知は、一括して発出することができる。
「誤っているもの」ではありません。
指定災害に係る集会の招集通知と当該通知において通知すべき事項に関する説明会の開催の通知は、まとめて一括して発することができます。
被災区分所有法が適用される指定災害に係る集会の招集手続きは、同法に特別の規定がない限り区分所有法の規定によります。
同法には、通知の宛先以外には特別の規定はありません。
ですからそれ以外は通常と同じ手続きです。
そして区分所有法には、集会の目的が説明会の開催を要する場合に、集会の招集通知と説明会の開催通知を一括で発してはならないという規定はありません。
現実的に考えても、取壊しを議題とする集会の招集とそのための説明会の通知はまとめて出せるならまとめてしまう方が、出す方も出される方も楽です。
それをわざわざ禁止して手間を増やす理由がありません。
説明会の段取りに時間が掛かって、招集通知よりも後になるということはあっても不思議ではありませんが、一緒に出せるものを禁止する必要は全くありません。
そもそも、被災マンション法は、大規模災害において被災したマンションの処遇を迅速に決定するための法律であり、手間を増やすのは趣旨に反します。
ちなみに、区分所有法では建物の取壊し決議を目的とする集会の招集手続きは会日の2か月前に発することになっていますが、説明会の開催の通知は1週間前で足ります。
標準管理規約には集会の招集通知と異なり、説明会の開催通知を発する期間を伸ばす定めがないので、区分所有法の原則通りに1週間前であれば法律及び標準管理規約上は問題ありません。
区分所有法第64条の8第3項前段「第62条(第1項及び第4項を除く。)及び第63条から第64条の4までの規定は、取壊し決議について準用する。」
同法第62条「(第1項乃至第5項略)
6 建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、第35条第1項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも2月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。
(第7項略)
8 第6項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも1月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。
9 第35条及び第36条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。
(第10項略)」
同法第35条第1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して、各区分所有者(議決権を有しないものを除く。)に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。」
区分所有者集会の招集通知においては、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、建物の取壊しを必要とする理由、建物の取壊しをしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳、並びに建替えに要する費用の概算額を通知しなければならない。
「誤っているもの」です。よってこの肢が正解です。
建物取壊し決議は、建物を取壊すことを決めるだけです。
その後どうするかはまた別の話です。
ですから取壊し決議において建替えをするかどうかは会議の目的ではありません。
建替えが議題でない以上、概算であっても建替え費用を通知する意味がありません。
区分所有法第62条第7項「前項に規定する場合において、第35条第1項の通知をするときは、会議の目的たる事項及び議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。
一 建物の建替えを必要とする理由
二 建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額及びその内訳
三 建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容
四 建物につき修繕積立金として積み立てられている金額」
建物取壊しを会議の目的とする集会の招集通知には、会議の目的たる事項及び議案の要領に加えて、
①建物の取壊しがなぜ必要か
②建物の取壊しをしないとどれだけ費用が掛かるか
③建物の修繕計画があればその内容
④修繕積立金の積立額
を記載しなければなりません。
大雑把に言えば、復旧せずに取り壊す方が良いのはなぜか、特に金銭面での負担を明らかにして判るように説明しろということです。
ところで、決議においては、取壊しの費用の概算額と誰がどれだけ負担するのかということを決める必要があります。
同法第64条の8第2項「取壊し決議においては、次の事項を定めなければならない。
一 建物の取壊しに要する費用の概算額
二 前号に規定する費用の分担に関する事項」
取壊しの費用はあくまでも決議において定めることであり、招集通知に書いておく必要はありません。
しかし、取り壊すか直すかを比較するなら取壊しの方が安いことを示さないと同意は得られないでしょうから、遅くとも集会までには概算額を見積もる現実的な必要性があります。
また、そうしないと決議に定めることもできません。
もっとも、実際には説明会までに見積もらないと集会に出席せずに書面で議決権行使する人の賛成が得られない可能性があるので、遅くとも説明会までには見積を出さざるを得ないとは思います。
「誤っているもの」ではありません。
取壊し費用を誰がどれだけ負担するかを決めるのにあたっては、その当事者である各区分所有者の衡平を図る必要があります。
区分所有法第62条「(第1項乃至第3攻略)
4 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
(第1号及び第2号略)
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
5 前項第3号及び第4号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。
(第6項以下略)」
これは常識的に言っても当然だと思えないとちょっと問題です。
費用の分担について衡平を欠く決め方をして良いわけがありません。
実際上、もめてしまってまとまるものもまとまらなくなります。
何事も金が絡むともめます。
ですから、もめ事を避けるにはできるだけ衡平=当事者が納得できる内容にしなければならないのは、別にマンションの取壊し等に限った話ではありません。
区分所有者集会において建物取壊し決議に賛成した各区分所有者、取壊し決議の内容により取壊しに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者は、当該決議の内容により取壊しを行う旨の合意をしたものとみなされる。
「誤っているもの」ではありません。
①建物取壊し決議に賛成した各区分所有者
②取壊し決議の内容による取壊しに参加する旨を回答した各区分所有者(議決権がなかった人、棄権した人はもちろん、決議の際に反対した人も、気が変わったならそれで構いません)
③取壊しに参加しない人から区分所有権又は敷地利用権を買い受けた買受指定者
の3者は、当該決議の内容により取壊しを行う旨の合意をしたものとみなされます。
区分所有法第64条の8第3項「第62条(第1項及び第4項を除く。)及び第63条から第64条の4までの規定は、取壊し決議について準用する。この場合において、第62条第2項中「前項」とあるのは「第64条の8第1項」と、同条第5項中「前項第3号及び第4号」とあるのは「第64条の8第2項第2号」と、同条第7項第1号及び第2号中「建替え」とあるのは「取壊し」と、第63条第1項、第2項及び第4項から第6項まで、第64条並びに第64条の2第1項中「建替えに」とあるのは「取壊しに」と、第64条中「建替えを」とあるのは「取壊しを」と読み替えるものとする。」
同法第64条「建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。」
①決議賛成者は当然、その決議内容に関して合意していると言えます。
それ以外の人でも、②取壊しに参加する人、③取壊しに参加しない人から権利を取得した指定買受人も、決議自体に賛成した事実はないにしても、決議内容に従う意思で各々取壊しに参加し又は権利を取得しています。
ですから決議賛成者と同視できます。
つまり、この3者全員について形式的には取壊しの合意は存在しないにしても、関係者の合理的意思を考慮すれば合意があったのと変わりません。
そこで、わざわざ新たに合意を取り付ける手間を省いて、みなし規定により合意があるものとして扱う方が便宜ということです。
「みなす」というのは、合意が事実としては存在しないが法律上はあるものとして扱う(法律上の犠牲と言います)という意味です。実体法上の効果として法律上存在するものとして、訴訟法上は反証をもって存在しないことを主張することができないという意味になります。
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