マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問10 (マンションの管理に関する法令及び実務 問10)
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問10(マンションの管理に関する法令及び実務 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
- A棟及びB棟の各棟の集会の決議がなくても、団地管理組合の集会において、団地内の建物の一括建替えの決議をすることができる。
- A棟及びB棟を、団地管理組合の規約ではなく、それぞれの棟別の区分所有者の団体の定める規約によって管理している場合には、A棟及びB棟の管理を団地管理組合の定める規約によって行う旨の規約改正をしなくても、一括建替え決議を行うことができる。
- 団地内建物の一括建替え決議を行う場合には、各団地建物所有者は、団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合であっても、団地内建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合に応じて集会における議決権を有する。
- 一括建替え決議の日から2年以内に、A棟の取壊し工事に着手したが、B棟の取壊し工事には着手しなかった場合、同決議に賛成せず、売渡請求権を行使されて区分所有権を失った者は、現在区分所有権を有する者に対して権利の買戻しを求めることはできない。
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この過去問の解説 (2件)
01
区分所有法(以下、単に法と略します)における「団地」の建替えには、①法第69条に基づき団地内の特定の建物を建て替える場合と、本問のように②法第70条により団地内の建物すべてを一括して建て替える場合の2パターンがあります。本問は、団地内建物の一括建替え決議の要件等が問われています。
(正しい)法第70条に基づく団地内建物の一括建替え決議は、団地内建物の全部が区分所有建物であり、その敷地が当該建物の区分所有者の共有に属することなどを前提として、団地管理組合の集会でのみ決議します。<各棟の集会の決議>は要件としていません。同趣旨の本肢は正しいです。
なお、法第69条に基づき特定建物のみを建替えるパターンでは、建替え対象である特定建物の<各棟の集会の決議> に加えて、団地管理組合の集会では建替え承認決議が必要です。
(誤り)法第70条第1項は一括建替え決議の前提要件として次の3つを挙げています。
1)団地内建物の全部が区分所有建物であること
2)団地内建物の敷地が当該建物の区分所有者の共有や準共有に属すること
3)団地内の各建物が団地管理組合の規約によって管理されていること
本肢のケースでは、3)を満たすために<A棟及びB棟の管理を団地管理組合の定める規約によって行う旨の規約改正>が必須です。<規約改正をしなくても>決議を行うことができる、という本肢は誤りです。
(正しい)一括建替え決議を行う際の議決権について法第70条第3項が準用する法第69条第2項は、団地管理組合の「規約に別段の定めがある場合であっても」、当該団地内建物の敷地、つまり建物が<所在する土地>の「持分の価格の割合によるものとする」と定めています。
一括建替え決議の対象となる団地は、前提要件により、敷地が共有されています。議決権は、共有しているものの持分の割合で決まりますから、団地全体で意思決定する際の議決権は、共通の土台である敷地の持分割合によって決まります。
(正しい)本肢の正誤判断の核心は、<A棟の取壊し工事に着手したが、B棟の取壊し工事には着手しなかった場合>には、たとえ一部の建物は未着手であっても団地全体としては着手済みと評価される点です。
着手済みである以上は、「建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合」(法第70条が準用する法第63条第8項)という要件を満たさないので、本肢の<区分所有者を失った者>は再売渡請求権を行使できません。<権利の買戻しを求めることはできない>という本肢の記述は正しいです。
団地一括建替え決議における第63条第8項の「建物」は、団地の建物全部のことか一部で足りるのか。この「建物」の意義を直接、規定した条文や判断した判例は実はありません。
ただ、法第70条を合憲と判断した最高裁判例(平成 21年4月23 日判決、平成 20(オ)1298)は、団地一括建替え決議の制度趣旨に関し「団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し、その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものである」と判示しました。団地全体を一体とみれば<A棟の取壊し工事に着手した>本肢は、第63条第8項の「建物」の取壊し工事に着手した、と評価できます。また、A棟の区分所有者が再売渡請求をできない以上、団地全体でも認めない方が衡平だという考え方もあります。
まとめると、条文や判例に直接の根拠はありませんが、実務や通説によれば、本肢は正しいという結論になります。
団地と聞けば、複数の高層建物が林立する光景が頭に浮かびます。しかし、区分所有法における「団地」とは、共有している土地や附属施設を管理するための「団体」のことを指します。戸建てが混在していても、区分所有法上は「団地」なのです。
まずは、このイメージのズレを解消することから始めましょう。
本問では論点になっていないのであえて触れていませんが、26年4月施行の改正法により、一括建替えの決議要件も変更されています。必ず確認してください。
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02
誤っている記述は、A棟及びB棟を棟ごとの規約で管理している場合でも、規約を改正せずに一括建替え決議を行うことができるというものです。
一括建替え決議を行うためには、団地内のすべての建物が区分所有建物であることや、その敷地が区分所有者の共有であることに加えて、各建物が団地管理組合の規約によって管理されていることが必要です。
適切です。
一括建替え決議は、A棟とB棟のそれぞれの集会で、別々に建替え決議を行う仕組みではありません。団地管理組合の集会で、団地内の建物をまとめて建て替えることを決議します。
ただし、令和8年4月1日施行の改正区分所有法では、団地全体について必要な多数の賛成を得るだけでなく、いずれかの棟で、その棟の区分所有者の3分の1を超える者、または議決権の3分の1を超える議決権を持つ者が反対した場合には、一括建替え決議は成立しません。
各棟で別の決議を行う必要はありませんが、各棟の反対者の割合には制限がある点に注意が必要です。
不適切です。
一括建替え決議を行うためには、A棟とB棟について、団地管理組合の規約によって管理する旨が定められていなければなりません。
A棟とB棟が、それぞれ棟ごとの規約だけによって管理されている場合は、この条件を満たしていません。
したがって、一括建替え決議を行うためには、あらかじめA棟とB棟を団地管理組合の規約による管理の対象とするための規約改正が必要です。
適切です。
一括建替え決議における議決権は、通常の団地管理に関する議決権とは異なり、団地内建物の敷地である土地について、それぞれが持っている持分の割合によって決まります。
団地管理組合の規約に、通常の集会における議決権について別の割合が定められていても、一括建替え決議では、その定めは使いません。
例えば、規約で各住戸に1つずつ議決権を与えている場合でも、一括建替え決議では、原則として土地の持分割合に応じて議決権を計算します。
適切です。
一括建替え決議に反対し、売渡請求によって区分所有権などを失った人は、決議の日から2年以内に取壊し工事が始まらなかった場合、原則として権利の買戻しを求めることができます。
ただし、一括建替えでは、A棟とB棟をまとめた一つの建替え事業として工事を行います。
このため、A棟の取壊し工事に着手すれば、一括建替えにおける取壊し工事に着手したことになります。各棟について、それぞれ決議の日から2年以内に工事を始めなければならないわけではありません。
したがって、B棟の取壊し工事がまだ始まっていないことだけを理由として、買戻しを求めることはできません。
一括建替え決議は、各棟の集会で別々に決議するのではなく、団地管理組合の集会で行います。
ただし、その前提として、団地内のすべての建物が団地管理組合の規約による管理の対象となっていることが必要です。棟ごとの規約だけで管理している場合は、規約を改正しなければなりません。
また、一括建替え決議における議決権は土地の持分割合によって決まり、買戻しが問題となる2年の期間については、各棟ではなく、一括建替え事業全体として取壊し工事に着手したかどうかで判断します。
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