マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問8 (マンションの管理に関する法令及び実務 問8)

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問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問8(マンションの管理に関する法令及び実務 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合う形に解答選択肢を修正しました。

<参考>

  • 管理組合法人の集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって、議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数の決議があれば、管理組合法人を解散することができる。

  • 管理組合法人には、理事を置かなければならず、その任期は、2年とされているが、規約又は集会の決議により3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
  • 管理組合と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任された特別代理人が管理組合法人を代表する。
  • 監事が事務を行えなくなった場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、理事が仮監事を選任することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

区分所有法(以下、単に法と略します)の管理組合法人に関する複合問題です。26年4月1日施行の改正法で、集会の決議について意思決定のルールが大幅に変わったことに伴い、改題しています。

選択肢1.

管理組合法人の集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって、議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数の決議があれば、管理組合法人を解散することができる。

(正しい)管理組合法人の解散事由は法第55条で3つに限定されており、その一つが本肢の「集会の決議」です。

 集会の決議を巡っては26年4月1日施行の改正法により、全区分所有者から「出席した区分所有者」ベースに緩和された一方、本肢のような特別決議では原則「過半数」の定足数の縛りが設けられました。

 本肢の前半は定足数の定め、後半の<出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数>が決議に必要な要件です。改題により、いずれも改正法第55条第2項と同内容なので、本肢は正しいです。第2項は別段の定めを認めておらず、規約によって4分の3という多数の要件を緩和することはできません。

 なお、3つの解散事由は改正法第55条第1項が次の通り定めています。

 ①建物(一部共用部分を共用すべき区分所有者で構成する管理組合法人にあっては、その共用部分)の全部が滅失した場合

 ②建物に専有部分がなくなった場合

 ③解散に関する集会の決議が成立した場合

選択肢2. 管理組合法人には、理事を置かなければならず、その任期は、2年とされているが、規約又は集会の決議により3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

(誤り)法第49条第6項によれば、理事の任期は原則2年で、例外的に「規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間」となります。本肢は<規約又は集会の決議>としていますが、任期の伸長は規約でのみ可能なので、誤りです。

選択肢3. 管理組合と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任された特別代理人が管理組合法人を代表する。

(誤り)<利益が相反する事項については>理事が管理組合法人を代表することはできませんから、法第51条により「監事が管理組合法人を代表」します。<裁判所により選任された特別代理人>ではないので本肢は誤りです。

 ここで問題となる理事は代表権を持つ者に限られます。代表権のない理事について利益相反がある場合には、代表権を持つ別の理事が法人を代表すれば済むからです。

 余談ですが<特別代理人>とは、親権者とその子との利益相反のケースで家庭裁判所に選任を請求する民法の仕組みです。

選択肢4. 監事が事務を行えなくなった場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、理事が仮監事を選任することができる。

(誤り)監事について規定する法第50条は仮理事の規定(法第49条の4)を準用していて、監事が欠けた場合に「事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により」仮監事を選任しなければなりません。選任するのは裁判所で、具体的には「管理組合法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所」になります。本肢の<理事が仮監事を選任することができる>という仕組みはありませんので、誤りです。

 仮とはいえ、理事の見張り役である監事を、理事が選任できるとすると、自らに都合のいい見張り役しか選ばないでしょうから、不適切です。

まとめ

集会の決議は、26年4月施行の改正法で最大の変更点です。円滑な決議の妨げにならないよう、所在などが分からない区分所有者を決議の分母から外す仕組み(所在等不明区分所有者の除外、改正法第38条の2)も創設されました。

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02

正しい記述は、所定の人数と議決権を持つ区分所有者が集会に出席し、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上の賛成があれば、管理組合法人を解散できるというものです。

令和8年4月1日に施行された改正区分所有法により、管理組合法人の解散は、原則として一定数の区分所有者が出席した集会において、出席者を基準とした特別決議で決めることになりました。

選択肢1.

管理組合法人の集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって、議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数の決議があれば、管理組合法人を解散することができる。

適切です。

管理組合法人を集会の決議によって解散するには、まず、原則として次の両方を満たす人が集会に出席しなければなりません。

・議決権を持つ区分所有者の過半数

・議決権の過半数を持つ区分所有者

規約で過半数より高い出席割合を定めている場合は、その割合以上の出席が必要です。

そのうえで、出席した区分所有者の4分の3以上と、出席者が持つ議決権の4分の3以上の賛成があれば、管理組合法人を解散できます。

選択肢2. 管理組合法人には、理事を置かなければならず、その任期は、2年とされているが、規約又は集会の決議により3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

不適切です。

管理組合法人には、理事を置かなければなりません。理事の任期は、原則として2年です。

ただし、規約で3年以内の別の期間を定めた場合は、その期間が任期となります。

単に集会で決議しただけでは、理事の任期を変更できません。集会の決議によって規約そのものを変更することはできますが、任期の変更内容は規約に定める必要があります。

選択肢3. 管理組合と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任された特別代理人が管理組合法人を代表する。

不適切です。

利益が相反する事項とは、管理組合法人と理事の利益がぶつかり、理事に法人を代表させることが適切でない事項です。

このような場合に管理組合法人を代表するのは、監事です。裁判所が選任した特別代理人ではありません。

例えば、管理組合法人が理事本人に対して損害賠償を請求する場合に、その理事が法人側も代表すると、公平な対応ができなくなるおそれがあります。そのため、監事が管理組合法人を代表します。

選択肢4. 監事が事務を行えなくなった場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、理事が仮監事を選任することができる。

不適切です。

監事が欠けた場合に、事務が遅れることで損害が生じるおそれがあるときは、裁判所が仮監事を選任します。

仮監事の選任を裁判所に求めることができるのは、利害関係人または検察官です。理事が自ら仮監事を選任できるわけではありません。

仮監事は理事の仕事を監査する立場にあるため、監査を受ける理事が自由に選任できる仕組みにはなっていません。

まとめ

管理組合法人を集会の決議によって解散する場合は、原則として過半数の出席が必要であり、その集会で出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上の賛成を得なければなりません。

また、理事の任期を2年以外にする場合は、3年以内の期間を規約に定める必要があります。

管理組合法人と理事の利益が相反する事項では監事が法人を代表し、監事が欠けた場合の仮監事は、利害関係人または検察官の請求により裁判所が選任します。

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03

本問は管理組合法人について建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)の諸規定の知識を問う問題です。
とりとめのない選択肢なので、憶えているかどうかだけの話です。
細かい引っ掛けもあるので漫然と解くと間違える可能性はありますが、難易度自体はそれほど高くありません。

 

なお、特別決議事項は数も限られているので、しっかり憶えておきましょう。

選択肢1.

管理組合法人の集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって、議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数の決議があれば、管理組合法人を解散することができる。

「正しいもの」です。よってこの肢が正解です。

 

管理組合法人は集会の決議で解散(法人格を喪失させるという意味であって、団体の実体をなくすという意味ではありません)できます。
この解散決議は特別決議によります。
 

すなわち、議決権を有する区分所有者の過半数で議決権の過半数を有するものが出席した集会で、出席者の頭数及び議決権の3/4以上により議決します。

 

区分所有法第55条「管理組合法人は、次の事由によつて解散する。
(第1号及び第2号略)
三 集会の決議
2 前項第3号の決議は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数でする。」

 

これは、管理組合法人になる場合と同じです。

法人になるのもやめるのも特別多数です。

選択肢2. 管理組合法人には、理事を置かなければならず、その任期は、2年とされているが、規約又は集会の決議により3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。

「正しいもの」ではありません。

 

管理組合法人には、理事が必須です。
そしてその任期は原則2年ですが、規約により3年以内の期間を定めることができます(3年以内なら良いので、2年より短くても構いません)。
この任期の変更は集会の決議によることはできません

 

区分所有法第49条「管理組合法人には、理事を置かなければならない
(第2項乃至第5項略)
6 理事の任期は、2年とする。ただし、規約で3年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
(第7項以下略)」

 

 

なお、管理組合法人には管理者を置くことができません。

これは、理事が管理者の職務を執行するので、置く意味がないからです。

 

理事の代表権については、

 

①管理組合の理事は、各自代表権を有するのが原則。

②例外として、規約又は集会の決議により代表理事を置いて平理事の代表権をなくすことができる。

 規約により(集会の決議はダメです)、理事の互選により代表理事を選ぶこともできる。

③同じく例外として、規約又は集会の決議により各自ではなく共同代表とすることもできる。

④理事の代表権に加えた制限は、その制限を知らない第三者に対抗できない。

 

くらいは最低限の常識として憶えておきましょう。

 

同条第4項及び第5項「4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。

5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。」

 

同法第49条の2「理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」

選択肢3. 管理組合と理事との利益が相反する事項については、裁判所により選任された特別代理人が管理組合法人を代表する。

「正しいもの」ではありません。

 

管理組合法人と理事の利益相反となる事項については、理事に代わって監事が管理組合を代表します。
特別代理人の選任はできません。

 

区分所有法第51条「管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。」

選択肢4. 監事が事務を行えなくなった場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、理事が仮監事を選任することができる。

「正しいもの」ではありません。


管理組合法人の監事が事務を行えなくなったために事務が遅滞して損害を生ずる恐れがあるとしても理事が仮監事を選任することはできません。

監事は理事の監視役であり、その選解任が集会の権能であることを考えても、たとえ「仮」にしても理事が選ぶというのはおかしいとピンとくるでしょう。

 

そもそも「欠けた」とは通常その地位に就く者がいなくなることを言うので、いるけれど事務を行えなくなった場合が「欠けた」に該当するかどうかからして怪しいです。
出題ミスではないかとは思いますが、仮に「欠けた」に該当するのとすれば、裁判所に対して仮監事選任を請求することはできます。

集会で仮監事を選ぶことはできません。

集会で選べるなら正監事を選べばいいのですから。

 

区分所有法第50条第4項「第25条、第49条第6項及び第7項並びに前条の規定は、監事に準用する。

 

同法第49条の4第1項「理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。」
 

余談ですが、もしも職務不能が実際の事例で問題になったとすれば、職務遂行ができなくなったのは「欠けた」には当たらないが、「事務が遅滞することにより損害を生ずる恐れがある」限りは、仮監事を選任する必要性があることに変わりはなく、この場合にも区分所有法第49条の4第1項を類推適用(若しくは準用又は同条の同項の趣旨に照らして)仮監事を選任できると解するのが相当とかなんとかそんな判断になるのではないかと妄想します。

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