マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問7 (マンションの管理に関する法令及び実務 問7)

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問題

マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問7(マンションの管理に関する法令及び実務 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

Aが、甲マンションの一室を所有するBとの間で賃貸借契約を締結して占有している場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、正しいものはどれか。
  • AB間の賃貸借契約でペット飼育可と合意されていた場合、Aは、甲マンションが規約でペット飼育を禁止している場合であっても、ペットを飼うことができる。
  • Bが管理費を滞納している場合、Bが建物に備え付けた動産をAが占有し使用している場合であっても、その動産の上に区分所有法第7条の先取特権が成立する。
  • Aによって区分所有者の共同生活上の利益が著しく害されたことにより、B以外の区分所有者がAB間の賃貸借契約の解除及びAの賃借部分の引渡しの請求を行うには、事前にBの同意を得なくてはならない。
  • Aは、集会の議題に利害関係を有する場合には、自ら集会に出席し、意見を述べ、議決権を行使することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

マンションの一室の賃借人である本問のAは、区分所有法(以下、単に法と略します)では「占有者」(法第6条第3項)となります。占有者の法的地位に関する横断的な知識を問う問題です。

選択肢1. AB間の賃貸借契約でペット飼育可と合意されていた場合、Aは、甲マンションが規約でペット飼育を禁止している場合であっても、ペットを飼うことができる。

(誤り)法第46条第2項により、占有者は「建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法」に限っては、「規約又は集会の決議」に基づく区分所有者の義務と同一の義務を負います。占有者は「規約又は集会の決議」の当事者ではありませんが、専有部分を使用する以上は、少なくとも使用方法に関するルールには従うべきだからです。

 本肢では使用方法に関して<規約でペット飼育を禁止している>ので、Aも従う義務があります。Bとの賃貸借契約を理由に<ペットを飼うことができる>とする本肢は誤りです。

選択肢2. Bが管理費を滞納している場合、Bが建物に備え付けた動産をAが占有し使用している場合であっても、その動産の上に区分所有法第7条の先取特権が成立する。

(正しい)賃貸人であり区分所有者である<Bが管理費を滞納している場合>、B以外の区分所有者はBに対して、滞納管理費を支払えと請求できる債権を持っています。この権利は「規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」に当たりますから、区分所有法第7条に基づいて、以下の2つの財産権を対象に先取特権が成立します。

 ①債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む)

 ②建物に備え付けた動産

 本肢の<Bが建物に備え付けた動産>は②に当たります。占有者Aが使用中であっても、Bの所有物である以上は<その動産の上に区分所有法第7条の先取特権が成立する>という本肢は正しいです。

選択肢3. Aによって区分所有者の共同生活上の利益が著しく害されたことにより、B以外の区分所有者がAB間の賃貸借契約の解除及びAの賃借部分の引渡しの請求を行うには、事前にBの同意を得なくてはならない。

(誤り)義務違反者に対する措置のうち、占有者に対する引渡し請求については法第60条が以下のような手続きを定めています。しかし、賃貸人である区分所有者Bに関して<事前にBの同意を得なくてはならない>などという定めはなく、本肢は誤りです。

 法第60条第1項は「集会の決議に基づき、訴えをもって」と定めており、必ず訴訟上で請求しなければなりません。集会の決議について第2項は特別多数決議(出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上)が必要で、集会に先立ちAに「弁明する機会を与えなければならない」としています。

 ハードルが高い手続きになっている理由は、<AB間の賃貸借契約の解除及びAの賃借部分の引渡しの請求>が認められると、Aは住まいを失うという重大な影響が生じますから、慎重な判断が必要なためです。

選択肢4. Aは、集会の議題に利害関係を有する場合には、自ら集会に出席し、意見を述べ、議決権を行使することができる。

(誤り)法第44条は、集会における占有者の意見陳述権を認めています。会議の目的たる事項、つまり<集会の議題>に「利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができ」ます。しかし、あくまでも意見を述べる権利に過ぎません。区分所有者ではない占有者が<議決権を行使することができる>とする本肢は誤りです。

 本肢で問われているのは、占有者固有の議決権、すなわち占有者だからという理由だけで認められる議決権の有無です。本肢のAが、区分所有者である賃貸人Bから委任を受けてBの代理人の立場で集会に出席した場合には、もちろん議決権を行使することができます。

まとめ

 法第6条第3項は占有者について、単に「区分所有者以外の専有部分の占有者」と定義しており、法的な権原には言及していません。つまり事実上支配している限りは、不法占拠者であっても占有者となり、使用方法のルールを守る義務が課されます(法第46条第2項)。

 これに対して、意見陳述権(法第44条)が認められる占有者は「区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者」に限られています。

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02

正しいのは、Bが建物に備え付けた動産をAが占有し、使用している場合でも、その動産の上に先取特権が成立するという記述です。

賃借人であるAも、マンションの使用方法について定めた規約を守らなければなりません。また、Aは利害関係のある議題について集会で意見を述べることはできますが、区分所有者ではないため、自分の議決権を持っているわけではありません。

選択肢1. AB間の賃貸借契約でペット飼育可と合意されていた場合、Aは、甲マンションが規約でペット飼育を禁止している場合であっても、ペットを飼うことができる。

誤りです。

専有部分を借りて使用している人にも、建物や敷地などの使用方法に関する規約を守る義務があります。

そのため、AとBとの賃貸借契約でペットの飼育を認めていても、マンションの規約でペットの飼育が禁止されていれば、Aはその規約に従わなければなりません。

AとBの間だけで交わした約束によって、マンション全体の規約を無視することはできません。

選択肢2. Bが管理費を滞納している場合、Bが建物に備え付けた動産をAが占有し使用している場合であっても、その動産の上に区分所有法第7条の先取特権が成立する。

正しい記述です。

管理費などを滞納している区分所有者がいる場合、管理組合などは、その区分所有者の区分所有権や、建物に備え付けた動産について先取特権を持ちます。

先取特権とは、財産を売却した代金などから、ほかの一般の債権者より先に支払いを受けられる権利です。

本肢の動産はBが建物に備え付けたものであり、Aが占有して使用していても、Bの所有物であることに変わりはありません。

したがって、Aが実際に使用しているというだけで、Bの動産に対する先取特権が成立しなくなるわけではありません。

 

選択肢3. Aによって区分所有者の共同生活上の利益が著しく害されたことにより、B以外の区分所有者がAB間の賃貸借契約の解除及びAの賃借部分の引渡しの請求を行うには、事前にBの同意を得なくてはならない。

誤りです。

賃借人であるAの行為によって共同生活に著しい障害が生じ、ほかの方法ではその障害をなくすことが難しい場合、集会の決議に基づき、訴えによって賃貸借契約の解除と専有部分の引渡しを求めることができます。

この請求について、貸主であるBの事前の同意は必要ありません。

Bが同意しなければ請求できないとすると、迷惑行為を行う賃借人に対して、ほかの区分所有者が必要な対応を取れなくなるおそれがあるためです。

ただし、この請求をするには、法律で定められた集会の決議が必要であり、あらかじめAに弁明する機会を与えなければなりません。

選択肢4. Aは、集会の議題に利害関係を有する場合には、自ら集会に出席し、意見を述べ、議決権を行使することができる。

誤りです。

専有部分を借りているAは、集会の議題について利害関係を持つ場合、集会に出席して意見を述べることができます。

しかし、議決権を持つのは、原則として区分所有者であるBです。賃借人であるAが、自分の権利として議決権を行使することはできません。

なお、Bから正式に代理権を与えられた場合には、AがBの代理人としてBの議決権を行使できることがあります。しかし、それはA自身の議決権を行使するものではありません。

まとめ

マンションの専有部分を借りている人は、区分所有者ではありませんが、マンションの規約と無関係ではありません。

建物の使用方法に関する規約は賃借人にも及ぶため、貸主との契約だけを理由に規約に反する使い方はできません。

また、賃借人は利害関係のある議題について集会で意見を述べることはできますが、自分の議決権は持ちません。

管理費などが滞納された場合の先取特権は、滞納した区分所有者が建物に備え付けた動産にも成立します。その動産を賃借人が使用しているだけでは、先取特権の成立は妨げられません。

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