マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問5 (マンションの管理に関する法令及び実務 問5)
問題文
甲マンションは、同一床面積の11の専有部分からなり、Aが5戸、Bが3戸、C、D、Eがそれぞれ1戸を所有している。甲マンションの規約では、一の専有部分は一の議決権を有するものとされ、また、すべての専有部分を専ら住宅として使用するものとされており、集会の決議については他に区分所有法と異なる特段の定めがない。甲マンションにおいて次のような集会の決議がされた場合に、区分所有法の規定によれば、有効に成立しないものの組合せはどれか。
ア Aが自己の所有する専有部分を住宅宿泊事業に使用しており、区分所有者の共同生活上の障害が著しい。Aに対して専有部分の使用禁止を求める訴えを提起するための決議について、B及びCは賛成したが、D及びEは反対した。
イ Cの専有部分を賃借しているFが、毎晩夜遅くまで騒いで騒音を発生させている。Fに対して迷惑行為の停止を求める訴えを提起するための決議について、A、B、Eは賛成したが、CとDは反対した。
ウ マンション管理士Gを甲マンションの管理者に選任することを決議することとなった。A、D、Eは賛成したが、BとCは反対した。
エ 甲マンションが地震により建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したため、共用部分の復旧を決議することとなった。A、C、Dは賛成したが、BとEは反対した。
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問5(マンションの管理に関する法令及び実務 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
甲マンションは、同一床面積の11の専有部分からなり、Aが5戸、Bが3戸、C、D、Eがそれぞれ1戸を所有している。甲マンションの規約では、一の専有部分は一の議決権を有するものとされ、また、すべての専有部分を専ら住宅として使用するものとされており、集会の決議については他に区分所有法と異なる特段の定めがない。甲マンションにおいて次のような集会の決議がされた場合に、区分所有法の規定によれば、有効に成立しないものの組合せはどれか。
ア Aが自己の所有する専有部分を住宅宿泊事業に使用しており、区分所有者の共同生活上の障害が著しい。Aに対して専有部分の使用禁止を求める訴えを提起するための決議について、B及びCは賛成したが、D及びEは反対した。
イ Cの専有部分を賃借しているFが、毎晩夜遅くまで騒いで騒音を発生させている。Fに対して迷惑行為の停止を求める訴えを提起するための決議について、A、B、Eは賛成したが、CとDは反対した。
ウ マンション管理士Gを甲マンションの管理者に選任することを決議することとなった。A、D、Eは賛成したが、BとCは反対した。
エ 甲マンションが地震により建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したため、共用部分の復旧を決議することとなった。A、C、Dは賛成したが、BとEは反対した。
※ 令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い元となる設問文を一部改題し、現行法に沿う形に修正しました。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
- アとイ
- イとウ
- ウとエ
- エとア
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この過去問の解説 (1件)
01
令和8年4月1日施行の改正区分所有法(以下、単に法と略します)は集会の決議に関し「出席した区分所有者及びその議決権」を母数とするなどの新しいルールを導入しました。本問は改正に対応して改題した上で、新ルールに基づく計算ができるか、を問うています。
1)前提条件を整理します。
●総区分所有者数 :5人(A、B、C、D、E)
●総議決権数 :11個(A=5、B=3、C=1、D=1、E=1)
本問の<甲マンションの規約では、一の専有部分は一の議決権を有するものとされ>ており、いわゆる1戸1議決権なので、議決権の総数は11です。5人がそれぞれ意思表示をしているので、書面や代理人による議決権行使を含めて、全員が「出席」したものとして計算します。従って、出席した区分所有者数の分母は5、その議決権の分母は11となります。
2)各選択肢を検討する際は、まず決議内容に応じて普通決議か特別決議かを見極めます。本問では<集会の決議については他に区分所有法と異なる特段の定めがない>ので、法が定める原則の多数を満たしていれば、決議は有効に成立します。
ア(有効に成立しない)
法第58条第2項により、本肢の<Aに対して専有部分の使用禁止を求める訴えを提起するための決議>は「出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数」が必要です。
被告となるべきA自身の賛否が明示されていませんが、仮に賛成だったとしても、区分所有者数でみれば賛成は5分の3(60%)にとどまり「四分の三以上」(75%)に達しません。議決権数の計算をするまでもなく、本肢の決議は有効に成立しません。ちなみに議決権数ではAが賛成だったなら11分の9(約82%)と 「四分の三以上」(75%)を上回ります。
念のためですが、義務違反者であるAも議決権を行使することはできます。なぜなら議決権行使を制限する規定がないからです。
イ(有効に成立する)
本肢の賃借人(占有者)Fに対して<迷惑行為の停止を求める訴えを提起するための決議>は普通決議で足ります。法第57条第2項は、このケースで「訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない」と定めており、特別の定数を定めてはいませんから、過半数で足ります。
区分所有者数では5分の3(60%)、議決権数では11分の9(約82%)が賛成していて、いずれも過半数を満たすので、本肢の決議は有効に成立します。
ウ(有効に成立する)
管理者について法第25条第1項は、規約の定めか集会の普通決議により選任・解任すると定めており、本肢の<マンション管理士Gを甲マンションの管理者に選任することを決議>するには過半数の賛成が必要です。
区分所有者数では5分の3(60%)、議決権数では11分の7(約63%)が賛成していて、いずれも過半数を満たすので、本肢の決議は有効に成立します。
エ(有効に成立しない)
本肢の<地震により建物の価格の2分の1を超える部分が滅失>、すなわち大規模滅失の場合、法61条第5項により「各三分の二以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすること」ができます。
区分所有者数でみれば賛成は5分の3(60%)にとどまり「三分の二以上」(約67%)に達しません。議決権数の計算をするまでもなく、本肢の決議は有効に成立しません。ちなみに議決権数でも賛成は11分の7(約63%)で、わずかながら「三分の二以上」には届きません。
なお、本肢のケースでは従来、「四分の三以上」の賛成が必要でしたが、26年4月の改正により「三分の二以上」に緩和されました。
1)本問は全員「出席」を前提としたので、各選択肢の解説では「定足数」には触れませんでした。26年4月の法改正は定足数についても、原則過半数の出席が必要と定めました。規約により過半数を上回る割合を定めた場合はその割合以上でなければなりません。また、裁判で除外決定されて議決権を有しない区分所有者は計算から除きます。除外決定の仕組み(法第38条の2)は必ず確認しておきましょう。
2)有効に成立しない選択肢について「議決権数の計算をするまでもなく」と解説しました。集会の決議は、区分所有者数と議決権数のそれぞれについて一定の賛成があって初めて成立します。言い換えれば、どちらか一方でも必要数に達していなければ、その段階で決議は成立しません。本試験の本番では時短を図りましょう。
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