マンション管理士 過去問
令和7年度(2025年)
問3 (マンションの管理に関する法令及び実務 問3)
問題文
一部共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
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問題
マンション管理士試験 令和7年度(2025年) 問3(マンションの管理に関する法令及び実務 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
一部共用部分に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
※ 令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる解答選択肢を一部修正しました。
- すべての一部共用部分について、その管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体は存在しない。
-
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しない事項について区分所有者全員の規約に定めがある場合、この規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときであっても、変更することができる。
- 各共有者の共有持分の割合を定める場合、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積を、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入する。
- 一部共用部分は、規約で定めることによって、管理者が所有して管理するものとすることができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
2〜10階には止まらず11階以上の高層階に直通するエレベーターや、2階の店舗部分にのみ通じる外階段は、区分所有法(以下、単に法と略します)で<一部共用部分>と言います。法第3条が「一部の区分所有者のみの共用に供されることが明らかな共用部分」と定義しており、その構造に着目した用語です。
一方、通常のエレベーター・階段・廊下は構造上、区分所有者全員で共用する全体共用部分です。全員で共有し、管理するための団体(管理組合)も当然に成立します。では、一部共用部分についてのルールはどうか、が本問のテーマです。
(正しい)法第3条は、区分所有者全員で「管理を行うための団体を構成」、つまり管理組合が当然に成立するという原則を前段で打ち出した上で、一部共用部分については共用すべき「それらの区分所有者が管理するときも、同様とする」と後段で定めています。「管理するとき」という前提条件がポイントです。
本肢の<一部の区分所有者のみで構成される区分所有法第3条に規定される区分所有者の団体>は一部管理組合と言われますが、一部の区分所有者で「管理するとき」にのみ成立します。<管理のすべてを区分所有者全員で行う場合>には、前提条件を満たさないので、一部管理組合は<存在しない>という本肢は正しいです。
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しない事項について区分所有者全員の規約に定めがある場合、この規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときであっても、変更することができる。
(誤り)一部共用部分に関する事項について、規約でどう定めるかは、法第30条第2項と第31条第2項を整理すると、次の3パターンに分かれます。
①区分所有者全員の利害に関係する場合
②区分所有者全員の利害に関係せず、全員の規約に定めがない場合
③区分所有者全員の利害に関係しないが、全員の規約で定める場合
①必ず全員の規約で定めます。全員の利害に関係する以上、例外はありません。
②第30条第2項が原則として「これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる」としています。
③第30条第2項が例外として「区分所有者全員の規約に定めがある場合」を認めていて、この「全員の規約の設定、変更又は廃止」については第31条第2項が<当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したとき>は「することができない」と定めています。<変更することができる>という本肢は誤りです。
(正しい)共用部分の持分の割合について、法第14条は第1項で「専有部分の床面積の割合による」という大原則を示した上で、第2項で「床面積を有する」一部共用部分の取り扱いを定めています。この法第14条第2項と全く同じ内容を記述しているので、本誌は正しいです。
(正しい)共用部分は、区分所有者全員の共有に属しますが「規約で別段の定めをすること」ができます(法第11条)。そして管理者は、法第27条第1項により「規約に特別の定めがあるときは」共用部分を所有することができます。管理をしやすくするために便宜上、特定の者を所有者にする「管理所有」の制度です。
この仕組みは、一部共用部分も対象なので<規約で定めることによって、管理者が所有して管理するものとすることができる>という本肢の記述は正しいです。
一部共用部分の存在と一部管理組合の成立はイコールではありません。前年度(令和6年度)の問1でも出題された論点です。
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02
誤っているのは、一定数の区分所有者が反対している場合でも、区分所有者全員の規約を変更できるという記述です。
一部共用部分とは、一部の区分所有者だけが利用する廊下や階段などをいいます。一部共用部分に関することを区分所有者全員の規約で定める場合でも、その部分を利用する区分所有者の意見を無視することはできません。
適切です。
区分所有法では、一部共用部分を利用する一部の区分所有者が、その部分を管理するときは、その区分所有者による団体が構成されます。
しかし、すべての一部共用部分について、管理のすべてを区分所有者全員で行う場合、一部の区分所有者だけで管理するものがありません。
そのため、一部共用部分を管理するための一部の区分所有者による団体は構成されません。
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しない事項について区分所有者全員の規約に定めがある場合、この規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときであっても、変更することができる。
不適切です。
一部共用部分に関する事項のうち、区分所有者全員の利害に関係しないものでも、区分所有者全員の規約で定めることができます。
ただし、その規約の設定、変更または廃止について、次のいずれかに当たる反対があるときは、行うことができません。
・その一部共用部分を共用すべき区分所有者のうち、議決権を有する者の4分の1を超える者が反対した場合
・その一部共用部分についての議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対した場合
したがって、一定数の反対がある場合でも規約を変更できるとしている点が誤りです。
なお、令和8年4月1日施行の改正後は、人数を数える際、議決権を有しない区分所有者は除かれます。
適切です。
共用部分の持分は、原則として、それぞれの区分所有者が持つ専有部分の床面積の割合によって決まります。
床面積のある一部共用部分については、その床面積を、利用する各区分所有者の専有部分の床面積の割合に応じて分けます。そして、分けた床面積を各区分所有者の専有部分の床面積に加えて、持分を計算します。
例えば、2人の区分所有者だけが利用する廊下がある場合、その廊下の床面積は、2人の専有部分の床面積の割合に応じて配分されます。
適切です。
規約に特別な定めがある場合、管理者は共用部分を所有して管理することができます。これを管理所有といいます。
この制度は、区分所有者全員が利用する共用部分だけでなく、一部の区分所有者だけが利用する一部共用部分にも適用できます。
したがって、規約によって、一部共用部分を管理者が所有して管理するものとすることができます。
一部共用部分は、一部の区分所有者だけが利用する共用部分です。誰が管理するかによって、一部の区分所有者による団体が構成されるかどうかが決まります。
また、一部共用部分に関する事項を区分所有者全員の規約で定めることはできますが、その部分を共用する区分所有者のうち一定数が反対した場合は、規約の設定、変更または廃止をすることができません。
一部共用部分についても、床面積を使った持分の計算や、管理者による管理所有が認められることをあわせて覚えておきましょう。
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03
本問は、一般の共用部分と一部共用部分の違いに関する理解を問う問題です。
基本的には一部共用部分であっても共用部分であることに違いはないのですが、一部であるが故の特殊性があるので、その違いの部分を理解しているかどうかということです。
「誤っているもの」ではありません。
すべての一部共用部分の管理をすべての区分所有者全員で行う場合、当該一部共用部分の区分所有者のみで構成される管理のための団体は存在しません。
存在させる意味がないからです。
区分所有法第3条「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」
後段にある通り、一部共用部分についての管理のための団体(一部管理組合と呼ぶことがあります)が存在するのは、「それらの区分所有者が管理するとき」だけです。
管理を行うための団体なのですから、他に管理を行う団体が存在するならば必要がないのは当然でしょう。
一方、前段に定める全員で構成する団体(一般に言う管理組合のことです)については、活動実態にかかわらず、他に管理を行うことができる団体が存在しないのですから、必ず存在させる必要があります。
条文上も、前段において「構成し」は「できる」には係りません。
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しない事項について区分所有者全員の規約に定めがある場合、この規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときであっても、変更することができる。
「誤っているもの」です。よってこの肢が正解です。
一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものであっても、区分所有者全員の規約に定めがある場合、この定めは区分所有者全員による集会の特別決議で変更することができます。
しかし、一部共有者のうち議決権を有しないものを除いた頭数の1/4超える、又は一部共有者の議決権の1/4を超える反対があった場合は、変更することができません。
区分所有法第30条第2項「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。
同法第31条第2項「前条第2項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。」
簡単に整理しておきましょう。
一部共用部分に関する事項は、
・当該一部共用部分を共有する区分所有者で決めるのが原則。
・例外①全員の利害に関係する場合は、全員で決める。
・例外②全員の利害に関係しないとしても、全員の規約に定めがあるならば、全員で決める。ただし、当該共有者の頭数又は議決権の1/4を超える反対がある場合は、決めることができない。
です。
1/4を超える反対というのは反対でない人が3/4以上でないことの裏返しです。
規約の変更は特別決議であり、出席組合員の頭数で3/4以上かつ議決権の3/4以上の賛成がなければ決議できません。
その3/4以上の賛成と同様に、少なくとも積極的に反対しない人が3/4以上でなければ、一部共用部分の共有者の保護を優先し、規約の設定変更廃止を認めないと思えば良いでしょう。
ちなみになぜわざわざ裏返して、反対の数を基準にしたかと言えば、棄権を賛成扱いにできるからです。
「積極的反対」以外は賛成としてしまう方が決議が成立しやすくなります。
最高裁判所裁判官の国民審査と同じ構図ですね。
なお、規約を定める前提として、
同法第16条「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第31条第2項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」
という条文があります。
この条文もよく出ますから内容を併せて憶えておきましょう。
「誤っているもの」ではありません。
共用部分の持分割合は、専有部分の床面積の割合によります。
そこで区分所有建物自体に床面積のある一部共用部分が存在する場合、その一部共用部分は、一部共用部分の共有者以外の区分所有者の所有に属さないのですから、一部共用部分の共有者以外の区分所有者者との関係では一部共用部分の共有者の専有部分とみることができます。
そこで、専有部分の床面積の計算においては、一部共用部分をその各共有者の専有部分の面積の割合で按分し、按分した面積は、その各共有者の専有部分の面積に算入します。
なお、専有部分はもともと区分所有建物の内部にしかないので、一部共用部分が附属の建物である場合は、区分所有建物とは別の建物である以上、専有部分と同視することはできません。
ですから、条文でも()書きで除外しています。
区分所有法第14条「各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前2項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前3項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。」
なお、第3項の「内側線で囲まれた」というのは専有部分の床面積は内法計算によるということを意味します。
通常、床面積の計算は壁芯計算なのですが、区分所有建物だけは例外で、内法計算になっています。
内法計算は実測で寸法を求める必要がありますが、壁芯計算は図面でできて楽なので一般には壁芯計算です。
しかし、区分所有建物では、「壁芯計算をすると共用部分である壁の一部が専有部分の床面積に算入されてしまい不都合」なので内法計算です。
これは常識にしておくべきなのでついでに憶えましょう。
また、第4項の、規約で変更できるということもついでに憶えておきましょう。
「誤っているもの」ではありません。
管理者は、規約の定めにより共用部分を所有することができますが、一部共用部分は除くという規定はありません。
一部共用部分であっても規約の定めにより全体で管理することができますが、同様に必要ならば一部共用部分を規約により管理所有とすることもできます。
区分所有法第11条「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
(第3項略)」
同法第27条第1項「管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。」
第1項ただし書きの「一部共用部分」が、同項本文の「共用部分」に含まれるのは明らかです。
そして、第2項ただし書きで第1項の「共用部分」をそのまま管理所有の目的とする場合の話をしていますが、特に「一部共用部分」を除外していません。
なお余談ですが、管理所有というのは、所有という形式ですが、実質的には所有ではありません。
ですから、所有権があるわけではありません。登記もできません。
あくまでも管理権を有する者を規約上、「形式的に所有者」とすることで、管理権行使の便宜を図るものにすぎません。
所有という言葉を便宜的に使っているだけで、所有とは異質な「管理所有」という独立した概念だと思った方が良いと思います。
機能的には信託同様と考えても良いかも知れません。ただし、信託は登記できます。
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