マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問31
問題文
専有部分のある建物であるA棟、B棟及びC棟からなる団地における団地総会又は棟総会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び令和7年10月17日改正の標準管理規約(団地型)によれば、適切なものはどれか。
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問題
マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問31 (訂正依頼・報告はこちら)
専有部分のある建物であるA棟、B棟及びC棟からなる団地における団地総会又は棟総会に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び令和7年10月17日改正の標準管理規約(団地型)によれば、適切なものはどれか。
※ 令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる設問文及び解答選択肢を一部修正しました。
- 一括建替え決議においては、組合員総数の5分の4以上及び議決権(各団地内建物の共用部分の共有持分割合による。)総数の5分の4以上の賛成がなければならない。
- A棟の棟総会は、A棟の区分所有者が当該棟の区分所有者の総数の5分の1以上及び当該棟における議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。
- B棟の建替えを行うための建替え承認決議においては、団地総会の出席組合員の4分の3以上及び出席組合員の議決権の4分の3以上の賛成を要する。
- C棟の各棟修繕積立金の滞納者に対して、当該滞納金を請求する訴訟を提起する場合には、C棟の棟総会の決議を要する。
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この過去問の解説 (3件)
01
A〜C棟いずれも専有部分のある建物であるため、一括建替え決議の前提条件を満たしています。
誤。一括建替え決議においては、原則として、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上の賛成が必要です。
ただし、この場合の議決権は、「各団地内建物の共用部分の共有持分割合」ではなく、「当該団地内建物の敷地の持分の価格の割合」によります(標準管理規約団地型49条8項)。
団地全体の一括建替えは、各棟の共用部分をどうするかだけの問題ではなく、団地内建物の敷地を含めて建替えを進める問題だからです。
また、現行の標準管理規約では、一括建替え決議について、団地内建物のうちいずれか1棟以上につき、それぞれの組合員又は議決権総数の3分の1を超える反対があった場合は、一括建替え決議を行うことができないとされています(標準管理規約団地型49条9項)。
なお、全ての団地内建物が区分所有法62条2項各号に掲げる一定の事由に該当する場合は、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上で行うことができます。
正。棟総会は、その棟の区分所有者が、当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び当該棟における議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集します(標準管理規約団地型68条2項)。
棟総会は、団地全体の総会ではなく、その棟だけの区分所有者で組織される集会です。
A棟の棟総会であれば、A棟の区分所有者を基準にして、招集に必要な同意の数を判断します。
A棟の管理組合に管理者が選任されているとは限らないため、標準管理規約(団地型)では、棟総会の招集についてこのようなルールが定められています。
誤。建替え承認決議においては、議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の4分の3以上で行います(標準管理規約団地型49条5項)。
本肢は、「議決権総数の過半数を有する組合員が出席する」という点は正しいです。
しかし、「出席組合員の4分の3以上」の賛成まで必要としている点が誤りです。
建替え承認決議で必要なのは、出席組合員の人数の4分の3以上ではなく、出席組合員の議決権の4分の3以上です。
なお、建替えを行う特定の建物が、区分所有法62条2項各号に掲げる一定の事由に該当する場合は、出席組合員の議決権の3分の2以上で行うことができます。
また、「出席組合員」という言葉は、普通決議だけでなく、現行の建替え承認決議の規定にも出てきます。そのため、単に「出席組合員」とあるから普通決議の話だと判断しないように注意が必要です。
誤。団地管理組合の理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、団地管理組合を代表して、訴訟その他の法的措置を行うことができます(標準管理規約団地型62条4項)。
各棟修繕積立金も、標準管理規約上の管理費等に含まれます。
そのため、C棟の各棟修繕積立金の滞納であっても、滞納金を請求する訴訟を提起するために、C棟の棟総会の決議が必要になるわけではありません。
なお、棟総会で決議するものとしては、区分所有法で棟ごとに適用される事項があります。たとえば、義務違反者に対する措置、復旧、1棟ごとに行う建替え、建物の更新又は取壊しなどです(標準管理規約団地型全般関係コメント5)。
本肢のような滞納金の請求は、これらとは異なり、理事会の決議により理事長が進めることができます。
団地の建替えや管理では、団地全体の合意と各棟ごとの事情の両方が大切になります。特に建替えに関する決議では、各棟の意見の差が大きいと手続が進みにくくなるため、慎重に話し合いを進める必要があります。
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02
適切なものは、A棟の棟総会は、A棟の区分所有者が当該棟の区分所有者の総数の5分の1以上及び当該棟における議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する、という記述です。
団地型マンションでは、団地全体で決める「団地総会」と、各棟ごとに決める「棟総会」があります。
この問題では、一括建替え決議、棟総会の招集、建替え承認決議、滞納金請求の訴訟について、どの総会で、どのような条件で決めるのかを整理することが大切です。
これは適切でない記述です。
一括建替え決議では、原則として、組合員総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上の賛成が必要です。
ただし、この場合の議決権は、通常の議決権割合ではなく、当該団地内建物の敷地の持分の価格の割合によります。
この記述は、議決権について「各団地内建物の共用部分の共有持分割合による」としている点が誤りです。
一括建替えは団地全体の敷地にも大きく関係するため、敷地の持分の価格の割合を基準にする点を押さえておく必要があります。
棟総会は、その棟の区分所有者全員で組織される集会です。
A棟の棟総会であれば、A棟の区分所有者が中心となって開くものです。
標準管理規約では、棟総会は、その棟の区分所有者が、当該棟の区分所有者総数の5分の1以上、さらに当該棟の議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て招集するとされています。
つまり、A棟の問題について話し合う棟総会は、A棟の区分所有者が、一定数以上の同意を集めて開くことができます。
これは適切でない記述です。
団地内の一部の建物を建替える場合、その建物だけで決めればよいわけではありません。他の棟の日照、景観、敷地利用などにも影響するため、団地総会で建替え承認決議を行う必要があります。
標準管理規約では、建替え承認決議は、議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の4分の3以上で行うとされています。
この記述のように、出席組合員の人数についても4分の3以上の賛成が必要とされているわけではありません。
必要なのは、出席組合員の議決権の4分の3以上の賛成です。
これは適切でない記述です。
各棟修繕積立金も、管理費等に含まれます。
標準管理規約では、未納の管理費等や使用料の請求について、理事長は、理事会の決議により、管理組合を代表して訴訟その他の法的措置を進めることができるとされています。
そのため、C棟の各棟修繕積立金の滞納者に対して滞納金を請求する訴訟を起こす場合に、必ずC棟の棟総会の決議が必要になるわけではありません。
この記述は、棟総会の決議を要するとしている点が誤りです。
この問題では、団地型マンションにおける団地総会と棟総会の役割を分けて理解することが大切です。
覚えておくポイントは、棟総会は、その棟の区分所有者総数と議決権総数の各5分の1以上の同意を得て招集できるという点です。
一方で、一括建替え決議では、議決権の基準が敷地の持分の価格の割合になる点に注意が必要です。
また、建替え承認決議では、出席組合員の人数ではなく、出席組合員の議決権の割合が重要です。
さらに、管理費等の滞納金を請求する訴訟は、通常、理事会の決議により理事長が管理組合を代表して進めることができます。
団地型では、「団地全体のことか」「その棟だけのことか」「理事会で対応できることか」を分けて考えると、判断しやすくなります。
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03
本問は、団地総会及び棟総会に関する建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)及び標準管理規約(団地型)の規定の知識を問う問題です。
議決権についての規定は細かいので憶えるのが面倒なのですが、こればっかりは憶えるしかありません。
なお、2026年(令和8年)4月1日施行の改正区分所有法で一部の決議要件が変わっていますから、知識をアップデートしておきましょう。
「適切なもの」ではありません。
一括建替え決議は、組合員総数の4/5以上で議決権総数の4/5以上の特別多数により議決するというのは正しいです。
しかし、議決権の算定は、共用部分の持分割合ではなく、団地内の建物の敷地の持分の価格の割合によります。
標準管理規約(団地型)第49条第8項本文「一括建替え決議及び団地内建物敷地売却決議は、第2項にかかわらず、組合員総数及び議決権(前条第1項にかかわらず、当該団地内建物の敷地の持分の価格の割合による。)総数の各5分の4以上で行う。」
区分所有法第70条第1項本文「団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地(略)が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第68条第1項(第1号を除く。)の規定により第66条において準用する第30条第1項の規約が定められているときは、第62条第1項の規定にかかわらず、当該団地内建物の敷地の共有者である当該団地内建物の区分所有者で構成される第65条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において、当該団地内建物の区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)及び議決権の各5分の4以上の多数で、当該団地内建物につき一括して、その全部を取り壊し、かつ、当該団地内建物の敷地(これに関する権利を除く。以下この項において同じ。)若しくはその一部の土地又は当該団地内建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地(第4項第1号においてこれらの土地を「再建団地内敷地」という。)に新たに建物を建築する旨の決議(以下この条において「一括建替え決議」という。)をすることができる。」
同法第70条第3項「前条第2項の規定は、第1項本文の各区分所有者の議決権について準用する。この場合において、同条第2項中「当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)」とあるのは、「当該団地内建物の敷地(団地内建物が所在する土地及び第5条第1項の規定により団地内建物の敷地とされた土地をいい、これに関する権利を含む。)」と読み替えるものとする。」
同法第69条第2項「前項の集会における各団地建物所有者の議決権は、第66条において準用する第38条の規定にかかわらず、第66条において準用する第30条第1項の規約に別段の定めがある場合であつても、当該特定建物の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の価格の割合によるものとする。」
一括建替え決議は団地総会で行いますが、団地の各建物はそれぞれ異なるので、建物を基準にした共用部分の共有持分割合では都合が悪いのは判ると思います。
区分所有法では、議決権割合は基本的に「何を共有しているのか」によって決まります。
各棟ごとの話であれば、各棟の区分所有者が共有する共用部分の持分割合でいいのですが、団地全体となると各棟の共用部分は団地の全区分所有者が共有はしていません。
そして団地は必ずしも敷地が共有とは限らず、附属施設が共有の場合もあります。
附属施設が共有の団地関係の場合には、附属施設の共有持分割合で議決権が決まります。
もっとも、一括建替え決議の場合には、敷地が共有であることが前提条件なので敷地の持分割合で議決権を決められます。
「適切なもの」です。よってこの肢が正解です。
団地においては、各棟の管理組合は通常は活動しておらず、必要なときだけ棟総会を招集します。
つまり、総会の招集権者である管理者がいません。
ですから、管理者のいない管理組合の集会の招集規定に則って招集手続きを行います。
その要件は、棟総会を招集する棟の区分所有者の頭数及び議決権の各1/5以上の同意です。
標準管理規約(団地型)第68条第2項「棟総会は、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。」
区分所有法第34条第5項「管理者がないときは、区分所有者の5分の1以上の者であつて議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」
「適切なもの」ではありません。
建替え承認決議の決議要件は、出席組合員の議決権の3/4以上の多数で決議します。
出席組合員の頭数要件はありません。
標準管理規約(団地型)第49条第5項本文「建替え承認決議は、第1項及び第2項にかかわらず、議決権(前条第1項にかかわらず、建替えを行う団地内の特定の建物(以下「当該特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)の持分の価格の割合による。第7項において同じ。)総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員の議決権の4分の3以上で行う。」
区分所有法第69条第1項「一団地内にある数棟の建物(以下「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(以下この条において「特定建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属する場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める要件に該当する場合であつて当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である当該団地内建物の団地建物所有者で構成される第65条に規定する団体又は団地管理組合法人の集会において議決権の過半数(これを上回る割合を第66条において準用する第30条第1項の規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有する団地建物所有者が出席し、出席した団地建物所有者の議決権の4分の3以上の多数による承認の決議(以下この条において「建替え承認決議」という。)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができる。」
なお、本条は2026年(令和8年)4月1日施行改正区分所有法で改正されています。
本肢の正誤に影響はありませんが、従来は、議決権総数の3/4以上だったところ、改正により、議決権の過半数を有する区分所有者が出席した集会で、出席区分所有者の議決権の3/4以上となりました。
「適切なもの」ではありません。
修繕積立金の滞納者に対して支払請求訴訟を提起する場合、理事会の決議があれば良く、総会の決議は不要です。
標準管理規約(団地型)第62条第4項「理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。」
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