マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問12

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、B及びCとともに甲マンションの102号室を共有しており、その共有持分は、Aが2分の1、B及びCがそれぞれ4分の1となっている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • Aは、B及びCの同意を得なければ、102号室の全体を使用することができない。
  • Aは、102号室を使用する場合には、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その使用をすれば足りる。
  • Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。
  • Aは、B及びC双方の同意を得なければ、102号室の管理者を選任することができない。

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この過去問の解説 (3件)

01

共有に関する問題なので、円グラフなどの図を書いて状況を整理しましょう。

選択肢1. Aは、B及びCの同意を得なければ、102号室の全体を使用することができない。

誤。各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。

たとえば、Aは春夏、Bは秋、Cは冬にそれぞれ別荘を自由に使うなどです。

選択肢2. Aは、102号室を使用する場合には、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その使用をすれば足りる。

誤。共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければなりません(民法249条3項)。

「自己の財産に対するのと同一の注意」が正肢として出題されることは稀ですが、以下の規定と区別しておきましょう。

 

【民法940条1項】

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

選択肢3. Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。

正。保存行為については各共有者が単独ですることができます(民法252条5項)。

選択肢4. Aは、B及びC双方の同意を得なければ、102号室の管理者を選任することができない。

誤。共有物の管理に関する事項(共有物の管理者の選任及び解任等)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します(民法252条1項)。

Aともう一人いれば過半数となるため、本肢は誤りとなります。

まとめ

昨今の空き家問題の解決に向けて、民法の共有は2023年ごろから随時法改正されています。

最新情報をチェックしながら問題演習に取り組みましょう。

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02

本問は、共有に関する民法の規定の理解を問う問題です。
区分所有法には民法の共有に関する規定の特則が置かれていますが、特則の前提として民法の原則規定は理解しておく必要があります。

 

と言ってもそれほど難しい話はありません。
基本知識として、
 

保存行為は各人が単独でできる。
管理行為は持分の過半数で決する。管理者の選任は管理行為に含む。
形状又は効用に著しい変更を加える場合は全員の同意が必要。
④各人は自己の持分を自由に処分できる。
⑤使用は各人が持分割合に応じて全体を使用することができる。
⑥持分割合を超える使用については、他の共有者に対して利得償還するのが原則。
⑦使用に際しては善管注意義務を負う。
持分の放棄、相続人がいない場合には、持分は他の共有者にその持分割合で按分して帰属する。
⑨共有者が共有物について他の共有者に対して有する債権は、持分の譲渡により持分を取得した特定承継人に対しても行使できる。←区分所有法第7条にも同様の規定がある。

 

くらいは憶えておきましょう。

選択肢1. Aは、B及びCの同意を得なければ、102号室の全体を使用することができない。

「正しいもの」ではありません。

 

共有者の一人は、その共有物の"全部”を使用することができます。
この際に、持分割合は関係ありませんから、持分が過半に満たないとしても単独で「当然に」全部を使用することができます。

 

民法第249条第1項「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」

 

もっとも、全部を使用することができると言ってもそれは持分割合に応じてです。
例えば問題の物件がリゾートマンションであったとして、1年のうち半分を持分の半分を有するAが単独で全部を使用し、残りの半年をさらに3か月ずつ、B、Cがそれぞれ単独で全体を使用するなどということです(あくまで理屈上の例です。実際にそんな風にするかどうかは別論です)。

 

そして、例えばAの使用が8か月に及んだ場合には、民法の原則としては、超過した2ヶ月分について、B,Cに対して対価を支払う義務を負います。

 

同条第2項「共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。」

選択肢2. Aは、102号室を使用する場合には、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その使用をすれば足りる。

「正しいもの」ではありません。

 

共有者は共有物の使用について、善良なる管理者の注意義務(善管注意義務)を負います。

 

民法第249条第3項「共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。」

 

共有物は、共有持分については自分の物ですが、他の共有者の持分については他人の物です。
ですから、自己の財産と同一というわけにはいかないのは容易に理解できると思います。

選択肢3. Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。

「正しいもの」です。よってこの肢が正解です。

 

共有物の保存行為(大雑把に言うと目的物の価値を維持するための最低限の行為のことです)については、各共有者が単独で判断して行うことができます。

 

民法第252条第5項「共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。」

 

保存行為は、基本的にその物の性状等を変えずに現状を維持するものなので、他の共有者の同意を得ずにするとしても、それほど大きな問題はありません。
また、単独で実施できるのであれば、機動的に行うことができます。
保存行為が急を要することもありうることを考えれば、また、当事者間で揉めることが起こる可能性もあることを考えても、価値を維持するために機動的な対応を可能にしておく必要性もあります。

 

※法律解釈では、必要性と許容性という二つの観点がよく出てきます。
すなわち、妥当な結論を導くためにそのように考える必要性があり、また、そのように考えるても(大きな)問題がないという点で許容できるという発想です。
解釈論はもちろんのこと、実定法の規定自体もこの発想でできていることは普通のことです。
言い換えれば、法律というのは対立利害の調整を重要な目的としているものですから、必要性と許容性という二つの観点で対立利害の調整を行っているということです。

ですから、その二つの観点からとらえることで、その規定の趣旨を、単なる棒暗記ではなく、理解して憶えることができます。

選択肢4. Aは、B及びC双方の同意を得なければ、102号室の管理者を選任することができない。

「正しいもの」ではありません。

 

民法第252条第1項前段かっこ書きにより共有物の管理者の選任は、管理に関する事項に含まれます。
そして同条に規定する通り、持分の価格の過半数により決することができます。
すなわち、AはB,C"双方"の同意を取り付けなくとも一方の同意を得れば持分の価格の3/4となり、管理者を選任することができます。

 

民法第252条第1項「共有物の管理に関する事項(次条第1項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。」

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03

正しい選択肢は、「Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。」です。

この問題は、マンションの1室を複数人で共有している場合に、共有者がどこまで単独で行動できるかを問う問題です。民法では、共有者は共有物の全部を持分に応じて使うことができます。また、共有物を守るための保存行為は、各共有者が単独ですることができます。

選択肢1. Aは、B及びCの同意を得なければ、102号室の全体を使用することができない。

これは誤った記述です

共有者は、共有物の全部について、持分に応じて使用することができます。

Aの持分は2分の1ですが、だからといって102号室の半分の場所しか使えないわけではありません。共有物は、物理的に線を引いて使うものではないため、Aも102号室全体を使うことができます。

ただし、Aが102号室を独占的に使うなど、自己の持分を超えて使用する場合には、他の共有者に対して使用の対価を支払う必要が出ることがあります。

選択肢2. Aは、102号室を使用する場合には、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その使用をすれば足りる。

これは誤った記述です

共有物は、自分だけのものではありません。BやCの持分も含まれているため、Aは102号室を大切に扱う必要があります。

民法では、共有者は、共有物を使用するときに善良な管理者の注意をもって使用しなければならないとされています。

「自己の財産に対するのと同一の注意」は、それより軽い注意義務を意味します。そのため、この記述は正しくありません。

選択肢3. Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。

これは正しい記述です

保存行為とは、共有物の現状を保つための行為です。たとえば、壊れた部分を修理する、雨漏りを直す、不法に占有している人に明渡しを求める、といった行為がこれにあたります。

保存行為は、共有物を守るための行為なので、各共有者が単独ですることができます。

したがって、AはB及びCの同意を得なくても、102号室について保存行為を行うことができます。

 

選択肢4. Aは、B及びC双方の同意を得なければ、102号室の管理者を選任することができない。

これは誤った記述です

共有物の管理に関する事項は、共有者全員の同意ではなく、持分の価格の過半数で決めます。共有物の管理者の選任も、管理に関する事項に含まれます。

本問では、Aの持分は2分の1、BとCの持分はそれぞれ4分の1です。

Aだけでは2分の1なので、過半数には足りません。しかし、AがBまたはCのどちらか一方の同意を得れば、合計4分の3となり、過半数を超えます。

したがって、AがB及びCの双方の同意を得なければならない、という記述は正しくありません。

 

まとめ

この問題で正しいものは、「Aは、B及びCの同意を得ずに、102号室の保存行為を行うことができる。」です。

覚えておくポイントは、次のとおりです。

 

・共有者は、共有物の全部を持分に応じて使用できます。

・共有物を使用するときは、善良な管理者の注意が必要です。

・共有物の保存行為は、各共有者が単独で行うことができます。

・共有物の管理者の選任は、共有者全員の同意ではなく、持分の価格の過半数で決めます。

 

共有の問題では、「使用」「保存」「管理」「変更」を分けて考えることが大切です。特に、保存行為は単独でできる、管理は持分の過半数で決める、と整理しておくと判断しやすくなります。

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