マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問11

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、区分所有建物の全部が滅失した場合において、区分所有建物の敷地利用権を有する者(この問いにおいて「敷地共有者等」という。)が開く敷地共有者等集会(この問いにおいて「集会」という。)に関する次の記述のうち、被災区分所有法の規定によれば、
誤っているものはどれか。ただし、区分所有建物の敷地利用権は数人で有する所有権その他の権利とする。
  • 集会の招集者は、敷地共有者等に対して、書面又は電磁的方法によらずに、口頭によって招集通知を行うことができる。
  • 集会の招集の通知は、敷地共有者等が政令で定める災害が発生した時以後に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる。
  • 滅失した区分所有建物の専有部分を区分所有者の承諾を得て占有していた者は、集会に出席して意見を述べることができる。
  • 区分所有建物の全部が滅失した後の敷地を保存し、及び集会の決議を実行するため、集会の決議によって、管理者を選任することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

区分所有建物が全部滅失してしまうと区分所有法の規定が使えなくなってしまうため、被災区分所有法の規定で考える必要があります。

選択肢1. 集会の招集者は、敷地共有者等に対して、書面又は電磁的方法によらずに、口頭によって招集通知を行うことができる。

正。敷地共有者等集会については区分所有法の規定を準用します(被災区分所有法3条)。

そして、「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない」という規定に留まっているため、いずれの法律においても、口頭による通知で問題ありません(区分所有法35条)。

選択肢2. 集会の招集の通知は、敷地共有者等が政令で定める災害が発生した時以後に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる。

正。敷地共有者等集会については区分所有法の規定を準用します(被災区分所有法3条)。

そして、「区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に(中略)あててすれば足りる」という規定に留まっているため、災害発生以後の届出でも問題ありません(区分所有法35条3項)。

選択肢3. 滅失した区分所有建物の専有部分を区分所有者の承諾を得て占有していた者は、集会に出席して意見を述べることができる。

誤。敷地共有者等集会とは異なり、滅失した専有部分の占有者の意見陳述権に関する区分所有法の規定は準用しません(被災区分所有法3条)。

区分所有法上も大規模修繕の集会決議における占有者には「利害関係がない」とされており、意見陳述権は認められていないので、その知識があれば発想を広げて回答できたかもしれません(区分所有法44条)。

選択肢4. 区分所有建物の全部が滅失した後の敷地を保存し、及び集会の決議を実行するため、集会の決議によって、管理者を選任することができる。

正。区分所有建物が全部滅失してしまうと区分所有法で規定されていた管理者は地位を失いますが、集会の決議によって改めて選任することができます(被災区分所有法2条)。

まとめ

まずは区分所有法を基礎知識として固めましょう。

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02

マンションが全部滅失したときの、被災区分所有法について問われています

選択肢1. 集会の招集者は、敷地共有者等に対して、書面又は電磁的方法によらずに、口頭によって招集通知を行うことができる。

正しい肢です。

 

被災区分所有法第3条第1項は、区分所有法35条第1項を準用しています。

区分所有法第35条第1項では、"集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。"と規定されていますが、その方法については特段規定がなく、書面だけでなく口頭での通知も認められています。

選択肢2. 集会の招集の通知は、敷地共有者等が政令で定める災害が発生した時以後に管理者に対して通知を受けるべき場所を届け出ていた場合には、その場所に宛ててすることができる。

正しい肢です。

 

被災区分所有法第3条第1項は、区分所有法35条第3項を準用しています。

区分所有法35条第3項では、"第一項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。"と規定されています。青字部分の通り、通知は通知を受けるべき場所に宛ててすることができます

選択肢3. 滅失した区分所有建物の専有部分を区分所有者の承諾を得て占有していた者は、集会に出席して意見を述べることができる。

誤った肢です。

 

区分所有法第44条第1項では、確かに"区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。"との規定があります。

しかし、被災区分所有法第3条1項では、区分所有法第44条第1項を準用していないため、誤りとなります。

選択肢4. 区分所有建物の全部が滅失した後の敷地を保存し、及び集会の決議を実行するため、集会の決議によって、管理者を選任することができる。

正しい肢です。

 

被災区分所有法第2条では、"大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項に規定する専有部分が属する一棟の建物(以下「区分所有建物」という。)の全部が滅失した場合(その災害により区分所有建物の一部が滅失した場合(区分所有法第六十一条第一項本文に規定する場合を除く。以下同じ。)において、当該区分所有建物が第十一条第一項の決議又は区分所有者(区分所有法第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)全員の同意に基づき取り壊されたときを含む。)において、その建物に係る敷地利用権(区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権をいう。以下同じ。)が数人で有する所有権その他の権利であったときは、その権利(以下「敷地共有持分等」という。)を有する者(以下「敷地共有者等」という。)は、その政令の施行の日から起算して三年が経過する日までの間は、この法律の定めるところにより、集会を開き、及び管理者を置くことができる。"と規定されています。

 

長い条文ですが、青字部分のとおり正しい肢となります。

まとめ

問題文に「区分所有建物の全部が滅失した場合」とあります。そのような状況で専有部分の占有者に何の利害関係があるのかという観点から正答(この問題の場合は誤まった肢)を導き出せると思います。

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