マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問13

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

Aが、Bとの間で、甲マンションの404号室を代金1,500万円でBに売却する旨の契約を結んだ場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだときは、Aは、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、404号室を保存すれば足りる。
  • BがAの債務の履行を受けることを拒んだことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、Bの負担となる。
  • Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Aは、Bに対し、代金の支払を請求することができない。
  • Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Bは、Aの債務の履行不能を理由として契約を解除することができない。

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この過去問の解説 (2件)

01

物の移動を表す図として、「A→B」のように簡単なメモを心がけましょう。

選択肢1. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだときは、Aは、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、404号室を保存すれば足りる。

正。「自己の財産に対するのと同一の注意」が正肢として登場するのは稀ですが、本肢については民法413条1項の通りです。

なお、以下の規定に出てくるような「善管注意義務」と区別して覚えておきましょう。

 

【民法644条】

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

選択肢2. BがAの債務の履行を受けることを拒んだことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、Bの負担となる。

正。民法413条2項の通りです。

たとえば、買主Bが売主Aから鍵の引き渡しを拒んでしまったら、売主Aは無駄足となってしまい、交通費などが余計にかかってしまうかもしれません。

そういった費用の増加額は、拒んでしまった買主Bの負担となります。

選択肢3. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Aは、Bに対し、代金の支払を請求することができない。

誤。債権者Bが債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者Bの責めに帰すべき事由によるものとみなします(民法413条の2第2項)。

 

本肢「404号室が滅失したとき」

条文「債務の履行が不能となったとき」

 

にあたるため、「債権者Bの責めに帰すべき事由によるもの」とみなします。

そうなると、債権者Bは反対給付の履行を拒むことができなくなるので、債権者Aは、債権者Bに対し、代金の支払を"請求することができます"(民法536条2項)。

選択肢4. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Bは、Aの債務の履行不能を理由として契約を解除することができない。

正。本肢も債権者Bの責めに帰すべき事由によるものとみなします(民法413条の2第2項)。

そうなると、債権者Bは、債務者Aの債務の履行不能を理由として契約を解除することができなくなります(民法543条)。

まとめ

民法の条文は回りくどく書かれていて分かりづらいかもしれませんが、実生活に当てはめて考えるとごく当たり前のルールであることが分かります。

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02

売主Aと買主Bとで、甲マンション404号室の売買契約をした場合の「民法」の問題です。

 

誤った肢を選ぶ問題なので、問題文に「誤っているものはどれか」と下線を引くなど対策しましょう。

選択肢1. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだときは、Aは、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、404号室を保存すれば足りる。

正しい肢です。

 

民法413条第1項では、"債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。"と規定されています。

 

問題文に「Bがその債務の履行を受けることを拒んだ」とあり、これは「受領遅滞」と呼ばれる状況です。

条文青字部分の通り、正しい肢となります。

選択肢2. BがAの債務の履行を受けることを拒んだことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、Bの負担となる。

正しい肢です。

 

民法第413条2項では、"債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。"と規定されています。

 

Bは債権者です。青字部分どおり債権者Bの負担となります。

選択肢3. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Aは、Bに対し、代金の支払を請求することができない。

誤った肢です。

 

民法413条の2第2項では、"債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。"と規定されています。

 

問題文では、「Aが自己の債務について履行の提供をした」「Bがその債務の履行を受けることを拒んだ」とあります。

条文どおり、例えば大災害などで404号室が滅失した場合、Bの責めに帰すべき事由によるものとみなされます。

 

Aは代金の請求をすることができます。

選択肢4. Aが自己の債務について履行の提供をしたにもかかわらず、Bがその債務の履行を受けることを拒んだ場合において、履行の提供があった時以後にAB双方の責めに帰することができない事由によって404号室が滅失したときは、Bは、Aの債務の履行不能を理由として契約を解除することができない。

正しい肢です。

 

民法第543条では"債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。"と規定されています。

 

債務の不履行が債権者Bの責めに帰すべき事由によるものなので、条文通り債権者Bは契約の解除をすることができません。

まとめ

設問の契約の中身は下記の通りとなります。

 

所有権移転:A(売主、債務者)→B(買主、債権者)

代金支払 :B(買主、債務者)→A(売主、債権者)

 

所有権移転と代金支払いで債権者・債務者が逆になります。

債権者と債務者を取り違わないようにしましょう。

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