マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問10

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションにおいて、建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧の決議(この問いにおいて「復旧決議」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 復旧決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも2月前に招集通知を発しなければならない。
  • 復旧決議の日から4月を経過したときは、決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。この問いにおいて「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者又は買取指定者(区分所有法第61条第8項に規定する買取指定者をいう。この問いにおいて同じ。)に対して、自己の建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができない。
  • 買取指定者が買取代金に係る債務の全部又は一部を弁済しない場合において、決議賛成者(買取指定者となったものを除く。)が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明できないときは、決議賛成者は連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。
  • 各区分所有者が、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるのは、建物の一部が滅失した日から2年を経過しても復旧決議又は建替え決議がなされなかったときである。

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この過去問の解説 (2件)

01

区分所有法の大規模滅失に関する問題です。

選択肢1. 復旧決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも2月前に招集通知を発しなければならない。

誤。"建替え"決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも2月前に招集通知を発しなければなりません(区分所有法62条)。

「建物の価格の2分の1を超える部分が滅失」するほどの大損害が発生しているのに、2ヶ月も待たされるようでは困りますので、通常の集会と同じく"1週間前"の招集通知となります(区分所有法35条)。

選択肢2. 復旧決議の日から4月を経過したときは、決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。この問いにおいて「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者又は買取指定者(区分所有法第61条第8項に規定する買取指定者をいう。この問いにおいて同じ。)に対して、自己の建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができない。

誤。「復旧決議の日から」起算して買取請求ができなくなるわけではありません。

買取請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告された決議反対者は、 "催告されてから"4月以上で定められた期間を経過したときは、決議賛成者又は買取指定者に対して、自己の建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができなくなります(区分所有法61条13項)。

選択肢3. 買取指定者が買取代金に係る債務の全部又は一部を弁済しない場合において、決議賛成者(買取指定者となったものを除く。)が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明できないときは、決議賛成者は連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。

正。大規模滅失の復旧決議賛成者全員による合意で買取指定者が指定されているため、責任をもって弁済する必要があります。

ただし、以下のどちらも証明できれば決議賛成者は責任を免れます(区分所有法61条10項)。

 

買取指定者に…

(1)資力があること

(2)執行が容易であること

 

本肢では(2)を証明できていないため、決議賛成者は責任を免れることができず、選択肢の内容は正しいと言えます。

選択肢4. 各区分所有者が、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるのは、建物の一部が滅失した日から2年を経過しても復旧決議又は建替え決議がなされなかったときである。

誤。各区分所有者が、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるのは、建物の一部が滅失した日から6月を経過しても復旧決議又は建替え決議がなされなかったときです(区分所有法61条14項)。

まとめ

復旧・建替えは難解な分野なので、前半の基礎的な分野をまずは固めましょう。

また、復旧・建替え分野を理解しておかないと、団地、被災区分所有法、建替え円滑化法等でさらに苦戦してしまうため、踏ん張りどころです。

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02

区分所有法第61条の「建物の一部が滅失した場合の復旧等」の正確な知識を問う問題です。

 

61条は15項まであり項数が多いですが、しっかりと把握しましょう。

 

選択肢1. 復旧決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも2月前に招集通知を発しなければならない。

誤りです。

 

区分所有法第35条では、

"集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。"

と規定されています。

 

区分所有法第62条4項の建替決議の規定条項で、

"第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸長することができる。"

とされており、建替決議の要件と入れ替えた誤った肢となります。

 

 

選択肢2. 復旧決議の日から4月を経過したときは、決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。この問いにおいて「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者又は買取指定者(区分所有法第61条第8項に規定する買取指定者をいう。この問いにおいて同じ。)に対して、自己の建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができない。

誤りです。

 

区分所有法第61条では、

"第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者。次項において同じ。)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。"

と規定されています。

 

赤字部分四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。」に対して、問題文では「復旧決議の日から4月を経過したときは」となっています。」

復旧決議の日から4月」ではなく「四月以上の期間を定めて」ですので、誤りとなります。

選択肢3. 買取指定者が買取代金に係る債務の全部又は一部を弁済しない場合において、決議賛成者(買取指定者となったものを除く。)が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明できないときは、決議賛成者は連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。

正しい肢です。

 

区分所有法第61条第10項では、

"買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十五項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。"

と規定されています。

 

問題文で「決議賛成者(買取指定者となったものを除く。)が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明できないとき」と条件が指定されているので、条文赤字部分通りの正しい肢となります。

選択肢4. 各区分所有者が、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるのは、建物の一部が滅失した日から2年を経過しても復旧決議又は建替え決議がなされなかったときである。

誤りです。

 

区分所有法第61条第14項で、

"第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。"

と規定されています。

 

青字部分の通り"六月以内"が正しく、問題文の「2年を経過しても」は誤りです。

まとめ

区分所有法第61条は15項まであり、項数が多い条文です。

項数が多いからと読み流すと落とす危険があります。

 

項数が多い条文ほどしっかり読み込みをして1点でも多く獲得できるようにしましょう。

 

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