マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問29
問題文
ア 小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨あらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。
イ 理事長は、共用部分に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、理事会の承認を経なければ区分所有者を代理することができません。
ウ 窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請してきた場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認・不承認を決めることができます。
エ 集中豪雨により、窓が開いたままの専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入ることができます。
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問題
マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
ア 小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨あらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。
イ 理事長は、共用部分に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、理事会の承認を経なければ区分所有者を代理することができません。
ウ 窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請してきた場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認・不承認を決めることができます。
エ 集中豪雨により、窓が開いたままの専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入ることができます。
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この過去問の解説 (2件)
01
理事会及び理事長の権限等に関して、マンション管理士としてどう意見すべきかが問われています。
なお、肢ア〜エについてそれぞれ解説します。
ア 小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨あらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。
適切。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができます。
この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければなりません(標準管理規約45条2項)。
上記の手順を踏んでいる本肢は正しいです。
イ 理事長は、共用部分に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、理事会の承認を経なければ区分所有者を代理することができません。
不適切。区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認します(標準管理規約24条1項)。
そして理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理します(標準管理規約24条2項)。
上記に「理事会の承認」を経る必要はありません。
ウ 窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請してきた場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認・不承認を決めることができます。
適切。原則として、共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとします(標準管理規約22条1項)。
しかし、区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面又は電磁的方法による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができます(標準管理規約22条2項)。
そして、理事会は、理事長宛に申請された上記の工事に関する承認又は不承認を決議することになります(標準管理規約54条1項)。
エ 集中豪雨により、窓が開いたままの専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入ることができます。
適切。理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入ることができます(標準管理規約23条4項)。
上記に「理事会の決議」は必要ありません。
個数問題ではありますが、いずれも頻出の論点です。
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02
適切な肢の個数を解答する問題です。
「とにかく個数問題は後回し」という方がいらっしゃるかもしれませんが、とりあえず、ざっと目を通してみてから、「後回し」にするかどうか検討しましょう。
ア
適切な肢です。
標準管理規約第45条2項では、
"区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。"と規定されています。
賃借人(占有者)は、意見を述べようとする場合、あらかじめ理事長にその旨を通知すれば足り、理事会の承認を受けることまでは必要ありません。
イ
不適切な肢です。
標準管理規約第24条2項では、
"理事長は、前項の契約に基づく保険金額の請求及び受領について、区分所有者を代理する。"と規定されています。
イの「理事長は、共用部分に関する損害保険契約に基づく保険金額の請求及び受領について、理事会の承認を経なければ区分所有者を代理することができません。」の「理事会の承認」は不要です。
したがって不適切な肢となります。
ウ
適切な肢です。
標準管理規約第22条では、
"共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。"と規定されています。
同2項において、
"区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面又は電磁的方法による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。"とされています。
したがって適切な肢となります。
エ
適切な肢です。
標準管理規約第23条第4項では、
"前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。"と規定されています。
エの「集中豪雨により、窓が開いたままの専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入ることができます。」
理事会の決議が必要との用件は標準管理規約にはないため、適切な肢となります。
適切な肢は3個となります。
個数問題は後回しにしたい気持ちは分かりますが、この問題は比較的平易であり、後回しにするかどうかの判断は、問題文・選択肢にざっと目を通してからにしましょう。
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