マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問29

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)

理事会及び理事長の権限等に関する次のマンション管理士の意見のうち、区分所有法の規定及び令和7年10月17日改正の標準管理規約(単棟型)によれば、適切なものはいくつあるか。ただし、管理組合において電磁的方法が利用可能であるものとする。
ア  小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨あらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。

イ  理事長は、共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金等の請求及び受領について、理事会の決議を経なければ区分所有者及び旧区分所有者を代理することができません。
ウ  窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請してきた場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認・不承認を決めることができます。

エ  集中豪雨により、窓が開いたままになっている専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる解答選択肢を一部修正しました。

<参考>

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この過去問の解説 (3件)

01

理事会及び理事長の権限等に関して、マンション管理士としてどう意見すべきかが問われています。

なお、肢ア〜エについてそれぞれ解説します。

選択肢3. 三つ

ア 小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨をあらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。

適切。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができます。

この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければなりません(標準管理規約45条2項)。

本肢の賃借人は、小型犬を飼育しており、「ペット飼育細則改定の件」について利害関係を有すると考えられます。

また、この出席は標準管理規約45条2項に基づくものであり、理事会が必要と認めた者として出席する場合ではありません。

したがって、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。

 

イ 理事長は、共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金等の請求及び受領について、理事会の決議を経なければ区分所有者及び旧区分所有者を代理することができません。

不適切。区分所有者は、共用部分等に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認します(標準管理規約24条)。

そして理事長は、その契約に基づく保険金等の請求及び受領について、区分所有者及び旧区分所有者を代理します(標準管理規約24条の2第1項)。

この請求及び受領について、理事会の決議を経なければ代理することができないわけではありません。

理事会の決議が必要になるのは、保険金等の請求及び受領に関し、区分所有者及び旧区分所有者のために訴訟で原告又は被告となる場合や、その他の法的措置をとる場合です(標準管理規約24条の2第2項)。

 

ウ 窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について、区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請した場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認又は不承認を決めることができます。

適切。原則として、共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に役立つものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕として実施します(標準管理規約22条1項)。

しかし、管理組合がその工事を速やかに実施できない場合には、区分所有者は、あらかじめ理事長に申請して承認を受けることにより、自己の責任と負担で当該工事を実施することができます(標準管理規約22条2項)。

そして、理事会は、第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認を決議します(標準管理規約54条1項5号)。

さらに、この承認又は不承認については、理事の過半数の承諾があれば、書面又は電磁的方法による決議で行うことができます(標準管理規約53条2項)。

 

エ 集中豪雨により、窓が開いたままになっている専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

適切。理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施をしなければ、共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、自らその専有部分又は専用使用部分に立ち入り、又は保存行為を実施することができます(標準管理規約23条4項)。

本肢では、集中豪雨により、窓が開いたままになっている専有部分が水浸しになっています。

そのまま放置すると、下階にも重大な影響が出るおそれがあるため、緊急性があると考えられます。

したがって、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

 

まとめ

個数問題ではありますが、いずれも頻出の論点です。

参考になった数39

02

適切なのは、ア、ウ、エです。

この問題では、賃借人が総会で意見を述べられる場合、理事長が保険金等を請求・受領できる場合、窓ガラス等の改良工事を区分所有者が行う場合、緊急時に理事長が専有部分へ立ち入り、又は必要な保存行為を実施できる場合を整理する必要があります。

選択肢3. 三つ

ア 小型犬を飼育している賃借人は、「ペット飼育細則改定の件」が議題になっている総会で意見を述べる旨あらかじめ理事長に通知すれば、理事会の承認なしに総会に出席して意見を述べることができます。

これは適切な記述です。

賃借人は、区分所有者から部屋を借りて住んでいる人なので、標準管理規約上の占有者にあたります。

標準管理規約では、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有している人は、会議の目的について利害関係がある場合、総会に出席して意見を述べることができます。この場合、あらかじめ理事長へ通知する必要があります。

ペット飼育細則の改定は、小型犬を飼っている賃借人の生活に直接関係します。そのため、利害関係があるといえます。

また、この場合は標準管理規約45条2項に基づく出席です。理事会が必要と認めた者として出席する場合ではないため、理事会の承認は不要です。

 

イ 理事長は、共用部分等に関する損害保険契約に基づく保険金等の請求及び受領について、理事会の決議を経なければ区分所有者及び旧区分所有者を代理することができません。

これは不適切な記述です。

共用部分等に関する損害保険契約について、理事長は、保険金等の請求と受領について、区分所有者及び旧区分所有者を代理します。これは、標準管理規約上、理事長に認められている権限です。

理事会の決議が必要になるのは、保険金等の請求や受領そのものではなく、保険金等に関して訴訟を起こすなど、法的措置をとる場合です。標準管理規約24条の2第2項では、理事長が訴訟その他の法的措置をとる場合に理事会の決議が必要とされています。

したがって、保険金等の請求と受領について、理事会の決議を経なければ代理できない、という部分が誤りです。

 

ウ 窓ガラスの断熱性能を向上させる改良工事について、区分所有者が自己の責任と負担で行う旨を理事長に申請した場合、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事会は、理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法による決議で承認又は不承認を決めることができます。

これは適切な記述です。

窓枠や窓ガラスなどの開口部は、各住戸に付いていても共用部分にあたる部分です。そのため、防犯、防音、断熱などの性能を高める改良工事は、原則として管理組合が計画修繕として行います。

ただし、管理組合がその工事を速やかに実施できない場合、区分所有者は、あらかじめ理事長に申請し、承認を受けることで、自己の責任と負担で工事を実施できます。標準管理規約22条2項にその定めがあります。

そして、標準管理規約では、第17条、第21条、第22条に定める承認又は不承認は、理事会の決議事項とされています。

また、この承認又は不承認については、理事の過半数の承諾があれば、書面又は電磁的方法による決議で行うことができます。

したがって、この記述は適切です。

 

エ 集中豪雨により、窓が開いたままになっている専有部分が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

これは適切な記述です。

通常、他人が管理する専有部分に入るには、必要な手続が必要です。

しかし、災害や事故などが発生し、すぐに専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施しなければ、共用部分や他の専有部分に重大な影響が出るおそれがある場合があります。このような緊急時には、理事長は、その専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

本肢では、集中豪雨により室内が水浸しになり、放置すると下階にも重大な影響が出るおそれがあります。そのため、緊急性があります。

したがって、理事長は、理事会の決議なしにその専有部分に立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

まとめ

覚えておくポイントは、次のとおりです。

・賃借人などの占有者でも、総会の議題について利害関係がある場合は、あらかじめ理事長に通知すれば、総会で意見を述べることができます。

・理事長は、共用部分等に関する保険金等の請求と受領について、区分所有者及び旧区分所有者を代理できます。理事会の決議が必要になるのは、訴訟などの法的措置をとる場合です。

・窓ガラスの断熱改良工事は、原則として管理組合が行います。ただし、管理組合が速やかに実施できない場合は、区分所有者が申請し、承認を受けて自己負担で行うことができます。

・集中豪雨などの緊急時に、放置すると下階などに重大な影響が出るおそれがある場合、理事長は理事会の決議なしに専有部分へ立ち入り、又は必要な保存行為を実施することができます。

 

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03

本問は、理事会の承認に関して、建物の区分所有等に関する法律(以下、区分所有法)及び標準管理規約の規定の知識を問うものです。
一応、標準管理規約の前提となる区分所有法の規定がありますが、標準管理規約だけで正誤の判断ができます。
 


アは「適切なもの」です。

 

ペットを飼育している賃借人はペット飼育細則の改定につき利害関係を有すると言えますから、総会に出席して意見を述べることができます
この場合には、あらかじめその旨の通知を理事長にする必要があります理事会の承認は不要です。

 

標準管理規約(単棟型)第45条「組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。 
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。」

 

第2項は理事会の承認を要件としていません。

ちなみに第1項は、マンション管理業者のフロントマン(物件担当者)、管理員、管理組合から委託を受けたマンション管理士などを想定した規定です。

 


イは「適切なもの」ではありません。

 

標準管理規約では、理事長は、共用部分に関する損害保険契約に基づく保険金の請求及び受領について、区分所有者(及び旧区分所有者)を代理します。
この代理行為に理事会の承認は不要です。

 

標準管理規約(単棟型)第24条の2第1項「理事長は、前条の契約に基づく保険金並びに敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金(以下「保険金等」という。)の請求及び受領について、区分所有者及び区分所有者であった者(以下「旧区分所有者」という。)を代理する。」

 

※本条は、2026年(令和8年)4月1日施行の改正区分所有法に対応して改正されています。
しかし、本問の解答には影響がありません。

 


ウは「適切なもの」です。

 

窓ガラスは共用部分なのでその改良工事は原則として、管理組合が計画修繕で行うものです。

 

標準管理規約(単棟型)第22条第1項「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。

 

しかし、当該工事を管理組合が速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して承認を受ければ、区分所有者は自らの責任と負担において実施することができます
この申請に対する承認又は不承認の決議は理事会が行います。

 

電磁的方法が利用可能ではない場合の同条第2項「区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。」

 

同規約コメント第22条関係「④第2項は、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸において緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることに鑑み、計画修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、専有部分の修繕等における手続と同様の手続により、各区分所有者の責任と負担において工事を行うことができるよう規定したものである。 
承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである(第54条第1項第5号参照)。」

 

理事会の決議は理事会の会議で行うのが原則ですが、上記第22条に規定するガラスの改良に関しては理事の過半数の承諾があれば書面又は電磁的方法により決議することができます

 

同規約第53条「理事会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第5号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。」

 

同第54条第1項「理事会は、次の各号に掲げる事項を決議する。 
(第1号ないし第4号略)
五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
(第6号以下略)」

 

同規約コメント第53条関係「⑥第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第5号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法による決議を可能とするものである。

 


エは「適切なもの」です。

 

理事長は、災害、事故等が発生した場合で緊急を要するときは専有部分に立ち入ることができます。

この場合に理事会の決議は必要ありません

 

標準管理規約(単棟型)第23条第4項「前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施をしなければ、共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、自らその専有部分又は専用使用部分に立ち入り、又は保存行為を実施することができる。この場合において、理事長は、委任した者にこれを行わせることもできる。」

 

同規約コメント第23条関係「①本条で想定される他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施とは、ある区分所有者の専有部分内の配管から漏水が発生し、共用部分に被害が生じているような場合において、漏水発生元の専有部分に立ち入るとともに、漏水発生元の専有部分の区分所有者に代わって漏水箇所の補修を行う場合等が想定される。

②第4項の緊急の立入り又は保存行為が認められるのは、災害時等における共用部分に係る緊急的な工事に伴い必要な場合や、専有部分における大規模な水漏れ等、そのまま放置すれば、他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがある場合に限られるもの である。」

 

※本条は、2026年(令和8年)4月1日施行の改正区分所有法に対応して改正されています。
しかし、本問の解答には影響がありません。

 

 

以上、「適切なもの」はアウエの3つです。

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