マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問27
問題文
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問題
マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問27 (訂正依頼・報告はこちら)
- 機械式立体駐車場を撤去し、そこに平面駐車場を設けるには、区分所有者全員の賛成が必要である。
- 管理組合と駐車場使用契約を締結している区分所有者が他に転居し、その専有部分に新たに入居してきた第三者は、当該契約に基づき、自ら所有する車両のために、駐車場を使用することができる。
- 空いている駐車場に無断で駐車し続けている近隣住民に対し、管理組合は、区分所有法第57条に基づいてその無断駐車に対する法的措置を採ることはできない。
- 管理組合との駐車場使用契約に基づき平面駐車場の所定の区画に駐車していた車両が盗難にあった場合、管理組合は責任を負わなければならない。
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この過去問の解説 (2件)
01
「駐車場」という一つの題材で、区分所有法と標準管理規約を横断的に理解しておく必要があります。
不適切。集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事(充電設備の設置工事等他の工事に伴って行われる場合も含む。)などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、実施可能と考えられます(標準管理規約47条関係コメント6ク)。
したがって、区分所有者全員の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決します(標準管理規約47条3項)。
なお、以下の通り民法に「全員」の同意が必要なものもありますが、区分所有法のような特別法や、規約のような特約に定めがある場合はそれらが優先されるので、混同しないように注意しましょう。
【民法251条1項】
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。
不適切。区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失います(標準管理規約15条3項)。
したがって、本肢の第三者は改めて契約を巻き直す必要があります。
適切。区分所有者又は占有者が、共同の利益に反する行為をした場合には、他の区分所有者の全員は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができます(区分所有法57条1,4項)。
しかし、本肢の近隣住民は区分所有者でも占有者でもないため、区分所有法57条に基づく法的措置を採ることはできません。
不適切。車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定することが望ましいです(標準管理規約15条関係コメント7)。
したがって、必ずしも管理組合が責任を負うわけではありません。
何十台も停まっている車両のトラブルの責任を毎回負っていては、管理組合の財政を圧迫してしまいます。
通常の試験問題はある程度条文のまとまりで構成されているので、本問のような出題形式の対策は容易ではありません。
まずは基礎知識を抑えることが大切ですが、時勢を捉えた題材の深掘りは有効かもしれません。
たとえば、コロナ禍の試験では「電磁的●●」の題材で横断的な問題が多数出題されました。
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02
マンションの駐車場に関する設問です。
民法の要素もあるのですが、落ち着いて解きましょう。
不適切な肢です。
標準管理規約47条関係コメント⑥クによると
"その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事(充電設備の設置工事等他の工事に伴って行われる場合も含む。)などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。"とされています。
「機械式立体駐車場を撤去し、そこに平面駐車場を設ける」工事は大規模なものであると考えられますが、特別多数決議によりますので、全員の賛成は必要ありません。
したがって、誤った肢となります。
不適切な肢です。
標準管理規約第15条では、
"管理組合は、別添の図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。"とされています。
同条第3項により、管理組合と駐車場使用契約を締結している区分所有者が他に転居し、その専有部分に新たに入居してきた第三者は当該駐車場を使用することができません。
したがって、誤った肢となります。
適切な肢です。
区分所有法第57条では、
"区分所有者が第6条第1項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。"と規定されています。
この規定は「区分所有者」だけでなく「占有者」にも準用されているのですが、「近隣住民」つまり「部外者」には適用がありません。
したがって、適切な肢であり、正答となります。
不適切な肢です。
標準管理規約15条関係コメント⑦では、
"車両の保管責任については、管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定することが望ましい。"とされています。
「管理組合が負わない旨を駐車場使用契約又は駐車場使用細則に規定」していれば、もちろん責任は負わないのが原則です。
当該文言を入れていない場合でも、「駐車場使用契約」であって「自動車保管契約(寄託契約)」ではありませんので、やはり、原則として管理組合は責任を負いません。
したがって、誤った肢となります。
マンションの敷地内駐車場は数が足りないマンションが多いのが実情です。
車両の保管責任については、原則として管理組合は負いませんが、駐車場使用契約などに入れておいた方が無難です。
実務上は細則にいれるか、個別の使用契約書の条項に入れている管理組合が多いです。
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