マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問25

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

居住者の高齢化が進んでいるマンションに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、当該マンションの管理規約は、令和7年10月17日改正のマンション標準管理規約(単棟型)のうち、外部専門家を役員として選任できる規定を採用していない内容と同一であるものとする。

令和8年(2026年)4月1日に改正区分所有法が施行されました。これに伴い、現行法に合わせて、元となる設問文及び解答選択肢を一部修正しました。

<参考>

  • 住戸を単独で所有している高齢の組合員に代わって、区分所有者ではない同居の配偶者が理事又は監事となることができる。

  • 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。
  • 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。
  • 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

リード文にあるマンションの規約が「もし『標準管理規約』と同じだったら」という設定の問題です。

選択肢1.

住戸を単独で所有している高齢の組合員に代わって、区分所有者ではない同居の配偶者が理事又は監事となることができる。

不適切。外部専門家を役員として選任できることとしていない標準管理規約では、理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任します(標準管理規約35条2項)。

本肢では、住戸を単独で所有しているのは高齢の組合員本人です。そのため、同居している配偶者は、その住戸の区分所有者ではなく、通常は組合員に当たりません。

したがって、区分所有者ではない同居の配偶者が、配偶者というだけで理事又は監事となることはできません。

なお、現行の標準管理規約36条の2では、役員となることができない者として、破産者で復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられ一定期間を経過しない者、暴力団員等が定められています。

選択肢2. 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。

適切。階段は共用部分に当たるため、階段にスロープを併設したり、手すりを追加したりする工事は、共用部分に関する工事です。

ただし、本肢では、建物の基本的構造部分の加工を伴わないとされています。そのため、建物の形や働きを大きく変える工事ではなく、普通決議により実施可能と考えられます(標準管理規約47条関係コメント8ア)。

一方で、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりしてエレベーターを新たに設置する工事は、より大きな変更になります。このようなバリアフリー化の工事は、標準管理規約47条4項1号ロに該当し、一定の定足数を満たした総会で、出席組合員及びその議決権の各3分の2以上の賛成により実施可能と考えられます。

選択肢3. 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。

不適切。区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替えであって、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けなければなりません(標準管理規約17条1項)。

また、電磁的方法が利用可能な管理組合では、書面又は電磁的方法による承認を受ける形になります。

「修繕等」の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管の枝管や配線の枝線の取付け・取替え、間取りの変更等が挙げられます(標準管理規約17条関係コメント2)。

本肢のように、高齢者仕様のユニットバスを設置する工事も、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがあります。そのため、あらかじめ理事長の承認を受けることが必要です。

選択肢4. 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

不適切。組合員が代理人によって議決権を行使しようとする場合、その代理人は、標準管理規約46条5項各号に掲げる者でなければなりません。

代理人になれる者は、次のとおりです。

一 その組合員の配偶者又は一親等の親族

二 その組合員の住戸に同居する親族

三 他の組合員

四 国内管理人

本肢の孫は二親等の親族です。また、外部に居住しているため、「その組合員の住戸に同居する親族」にも当たりません。

したがって、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することはできません。

ただし、総会に出席できない場合でも、標準管理規約に従い、書面によって議決権を行使する方法はあります。

まとめ

いずれの選択肢も、マンション管理士試験で出題されやすい論点です。

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02

本問は、標準管理規約について、統一的テーマが特にない雑多な知識を問う問題です。
肢相互に関連がないのでそれぞれ個別に正誤を判断しなければなりませんが、内容自体は基本的ですからきちんと押さえておきたいところです。

選択肢1.

住戸を単独で所有している高齢の組合員に代わって、区分所有者ではない同居の配偶者が理事又は監事となることができる。

「適切なもの」ではありません。

 

理事又は幹事となる資格は「組合員」であることです。
組合員は区分所有者です。
外部専門家を役員として選任できる旨の規約の定めがない本問では、区分所有者でない同居の配偶者は組合員でないので理事又は監事となることはできません

 

標準管理規約(単棟型)第35条第2項「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する。」

 


なお、区分所有法第49条の3により、規約で禁止していない限り、理事は特定の行為の代理を他人に委任することができます。
しかし本問の場合、代理ではなく役員そのものに就任するという話なので、本条の適用はありません。

 

区分所有放題49条の3「理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。」

 

ちなみに理事の職務代行者については、本年度の第7問に出題があります。
そちらも確認しておくと良いでしょう。

選択肢2. 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。

「適切なもの」です。よってこの肢が正解です。

 

共用部分の改修工事については、原則としては、出席組合員の頭数及び議決権の各3/4以上の特別多数による決議が必要ですが、「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」は除外されます。

 

標準管理規約(単棟型)第47条第3項「次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前2項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)」

 

そこで本問のスロープ及び手すりの設置が「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」であるかどうかですが、問題文にわざわざ「建物の基本的構造部分の加工を伴わず」と書いてあるのは、「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」であると言いたいからなわけです。

厳密なことを言えば、個別具体的な事例判断になるのでどちらとも言えないのですが、出題意図としては、標準管理規約に目を通しているか?ですから、最後の決め手はコメントも含めた標準管理規約に何と書いてあるかです。
そしてコメントでは、本問の事例を普通決議によることができる例として挙げています。

 

標準管理規約(単棟型)コメント第47条関係「⑧ (略)各工事に必要な総会の決議に関しては、例えば次のように考えられる。ただし、基本的には各工事の具体的内容に基づく個別の判断によることとなる。 
ア)バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により(略)実施可能と考えられる」

 

「例えば」と書き、さらにただし書で「個別の判断」と書いている通り、断定できるものではないということは理解しておいた方が良いと思います。

選択肢3. 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。

「適切なもの」ではありません。

 

高齢者仕様のユニットバス設置を内容とする専有部分の改修工事であったとしても、共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものである以上は、理事長の承認(*)が必要です。

 

電磁的方法が利用可能でない場合の標準管理規約(単棟型)第17条「区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。」

 

標準管理規約(単棟型)コメント第17条関係「②修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。その範囲、承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2に考え方を示している。」

 

およそ承認なしでやれる設備のリフォーム(リノベーション)は実際上ほぼないと思って構いません。

 

(*)理事長の承認
一般には理事長の承認と言いますが、実質的な承認は理事会の権限です。
理事長は、理事会の承認決議を単に形式として理事長の名において実行するだけです。
理事長が承認、不承認を決めるのではありません。

選択肢4. 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

「適切なもの」ではありません。

 

標準管理規約では、代理人の資格は以下の4つです。
①配偶者(事実婚を含む)又は一親等の親族
②同居の親族
③他の組合員
④国内管理人

孫は2親等の親族であり、同居していれば2号に該当しますが、同居していない本問では代理人となることができません。

 

標準管理規約(単棟型)第46条第5項「組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
二 その組合員の住戸に同居する親族
他の組合員
国内管理人

 

 

なお、親族とは、配偶者、6親等内の血族及び3親等内の姻族です。

 

民法第725条「次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族」

 

また、第4号の国内管理人は、令和8年4月1日施行改正区分所有法で新たに追加されたものです(区分所有法第6条の2)。
国内管理人とは、要するに、海外に転居した区分所有者が国内にいる誰かに専有部分等の管理を委任したその誰かのことです。
国内管理人は、区分所有者に代わって専有部分等を管理する者ですから、区分所有者の代理人として認める必要があるので、標準管理規約に代理人として追加されました。
この規定は本問の出題当時はありませんでしたが、本問の解答には影響しません。

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03

適切な選択肢は「共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。」です。

マンションの共用部分を変更する工事でも、建物の形や働きを大きく変えない軽い変更であれば、普通決議で実施できます。階段にスロープを併設したり、手すりを追加したりする工事は、建物の基本的構造部分を加工しないものであれば、通常は軽い変更として扱われます。

選択肢1.

住戸を単独で所有している高齢の組合員に代わって、区分所有者ではない同居の配偶者が理事又は監事となることができる。

これは不適切な記述です。

このマンションの管理規約では、外部専門家を役員として選任できる規定を採用していません。そのため、理事や監事は、原則として組合員のうちから選ばれます。

住戸を単独で所有しているのが高齢の組合員本人である場合、同居している配偶者は、その住戸の区分所有者ではありません。つまり、通常は組合員ではありません。

したがって、区分所有者ではない配偶者が、配偶者というだけで理事又は監事になることはできません。

選択肢2. 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。

これは適切な記述です。

階段は共用部分にあたります。そのため、階段にスロープを併設したり、手すりを追加したりする工事は、共用部分に関する工事です。

ただし、この選択肢では、建物の基本的構造部分の加工を伴わないとされています。つまり、建物を大きく壊したり、構造に大きな影響を与えたりする工事ではありません。

このような工事は、共用部分の形や働きを大きく変えるものではないため、普通決議で実施できます。

高齢者が安全に移動しやすくするためのバリアフリー工事であっても、工事の内容によって必要な決議は変わります。この選択肢のように、軽い変更にとどまる場合は普通決議で足ります。

選択肢3. 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。

これは不適切な記述です。

浴室は専有部分の中にあるため、一見すると自由に工事できるように思えます。しかし、浴室のリフォームでは、配管、防水、床、壁、騒音、振動などが関係します。そのため、共用部分や他の住戸に影響を与えるおそれがあります。

標準管理規約では、専有部分の修繕や模様替えなどを行う場合でも、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれがあるときは、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受ける必要があります。

高齢者仕様のユニットバスにする目的がよいものであっても、手続を省略して工事をしてよいわけではありません。

選択肢4. 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

これは不適切な記述です。

標準管理規約では、総会で代理人になれる人の範囲が決められています。

代理人になれるのは、たとえば、配偶者、一親等の親族、その住戸に同居する親族、他の組合員、国内管理人などです。

孫は二親等の親族です。また、この選択肢では、孫は外部に居住しているため、「その住戸に同居する親族」にもあたりません。

したがって、外部に住んでいる孫を代理人として、総会で議決権を行使させることはできません。

ただし、本人が総会に出席できない場合でも、書面によって議決権を行使する方法などは考えられます。

まとめ

この問題では、高齢化が進むマンションで起こりやすい場面について、管理規約上のルールを確認することが大切です。

覚えておくポイントは、役員になれる人、工事に必要な承認、総会の代理人の範囲です。

外部専門家を役員にできる規定を採用していない管理規約では、理事や監事は原則として組合員から選ばれます。そのため、区分所有者ではない同居の配偶者は、当然には役員になれません。

共用部分のバリアフリー工事でも、建物の基本的構造部分を加工せず、形や働きを大きく変えない工事であれば、普通決議で実施できます。

浴室のリフォームのように専有部分内の工事であっても、共用部分や他の住戸に影響するおそれがある場合は、理事長への申請と書面による承認が必要です。

総会の代理人になれる人は、管理規約で決められた範囲に限られます。外部に住んでいる孫は、標準管理規約上の代理人の範囲には入りません。

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