マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問25

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問25 (訂正依頼・報告はこちら)

居住者の高齢化が進んでいるマンションに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、当該マンションの管理規約は、外部専門家を役員として選任できることとはしていない標準管理規約と同一の内容であるものとする。
  • 住戸を単独で所有している高齢の組合員が精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないときは、同居している配偶者が理事又は監事となることができる。
  • 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。
  • 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。
  • 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

リード文にあるマンションの規約が「もし『標準管理規約』と同じだったら」という設定の問題です。

選択肢1. 住戸を単独で所有している高齢の組合員が精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないときは、同居している配偶者が理事又は監事となることができる。

不適切。精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産者で復権を得ない者は、役員となることができません(標準管理規約36条の2第1号)。

 

そして、理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任するため、同居している配偶者が理事又は監事となることはできません(標準管理規約35条2項)。

選択肢2. 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。

適切。バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、実施可能と考えられます(標準管理規約47条関係コメント6ア)。

 

一方で、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別決議により実施可能と考えられるため、区別しましょう。

選択肢3. 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。

不適切。区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面又は電磁的方法による承認を受けなければなりません(標準管理規約17条1項)。

 

「修繕等」の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等が挙げられるため、本肢の場合もあらかじめ理事長の承認を得ることが必要です(標準管理規約17条関係コメント2)。

選択肢4. 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

不適切。組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければなりません(標準管理規約46条5項各号)。

一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族

二 その組合員の住戸に同居する親族

三 他の組合員

 

本肢の孫は外部に居住しており、二親等であるため、いずれにも当てはまりません。

まとめ

いずれの選択肢も頻出の論点です。

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02

問題文の条件"当該マンションの管理規約は、外部専門家を役員として選任できることとはしていない標準管理規約と同一の内容であるものとする。"は読み飛ばしせず、きちんと下線でも入れておきましょう。

選択肢1. 住戸を単独で所有している高齢の組合員が精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないときは、同居している配偶者が理事又は監事となることができる。

誤った肢です。

 

マンション標準管理規約第36条の2では、

"次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。

一 精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産者で復権を得ない者"と規定されています。

 

このため、当該高齢の組合員は役員になることはできません。

 

 

マンション標準管理規約第35条の「外部専門家を役員として選任できることとする場合」があり、この場合の標準管理規約を採用した管理組合では、マンション管理士等専門家を役員にすることが可能です。

 

選択肢の高齢の組合員の配偶者がマンション管理士等であった場合、役員にすることができるのか?という発想が出てきますが、問題文の条件「ただし、当該マンションの管理規約は、外部専門家を役員として選任できることとはしていない」に反しますので、やはりこの配偶者は役員にはなれません。

 

したがって、誤った肢となります、

選択肢2. 共用部分のバリアフリー化を図るため、建物の基本的構造部分の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は、総会における普通決議により実施することができる。

正しい肢です。

 

標準管理規約47条関係コメント⑥アによると、"バリアフリー化の工事に関し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事は普通決議により、階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事は特別多数決議により実施可能と考えられる。"とされています。

 

赤字下線部分より、選択肢は正しく、正答となります。

選択肢3. 区分所有者が従前の浴室をリフォームして高齢者仕様のユニットバスを設置しようとするときは、あらかじめ理事長の承認を得ることなく、当該設置工事を実施することができる。

誤った肢です。

 

標準管理規約第17条1項にて、"区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。"と規定されています。

 

また、同上コメントでは"専有部分の修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え」の工事の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。"とされています。

 

単に「ユニットバスの設置」とされていて、高齢者仕様であるか否かは定められていません。

従って、高齢者仕様のユニットバスの設置工事であってもユニットバスの設置工事である以上、理事長に申請して書面による承認を受ける必要があります。

 

したがって、誤った肢となります。

選択肢4. 住戸を単独で所有し、単身で居住している高齢の組合員が総会に出席できないときは、外部に居住している孫を代理人として議決権を行使することができる。

誤った肢です。

 

標準管理規約第46条第5項で、

"組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。 

一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族 

二 その組合員の住戸に同居する親族 

三 他の組合員"

選択肢の孫は、「配偶者でない」「二親等であって、一親等の親族でない」「その住戸に同居していない」ため、代理人としての議決権行使はできないと考えられます。

 

この孫が他の組合員であるかどうかは明記されておりません。

しかし、明らかに正しい選択肢がありますので、「孫は他の組合員ではない」と判断し、誤った肢であると判断せざるを得ません。

 

したがって、誤った肢となります。

まとめ

問題としては標準的なレベルのものです。

 

孫が出てくる選択肢で、「孫が他の組合員であったらどうしよう」と気になっても、試験時間に制限があります。

他に明らかに正しい選択肢がありますので、そちらを優先してマークし、次に進みましょう。

 

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