マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問18

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

不動産登記の権利部の所有権に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び不動産登記法(平成16年法律第123号)の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 区分建物の所有権の登記名義人が死亡し、相続による所有権の移転が生じた場合、当該区分建物の所有権を取得した相続人は、相続人名義への所有権移転の登記申請義務がある。
  • 区分建物の表題部所有者から当該区分建物の所有権を売買により取得した者が、自己名義の所有権保存登記未了の間に当該区分建物を転売した場合、転売により所有権を取得した者は、自己名義の所有権保存登記を申請することはできない。
  • 規約により一部共用部分とされ、共用部分である旨の登記がされた区分建物においては、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が所有権の登記名義人として登記される。
  • 区分建物の所有権の登記名義人が相続人無くして死亡した場合、相続財産清算人に就任した者は、当該区分建物につき、相続財産法人名義への所有権登記名義人表示変更の登記申請をすることができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

不動産登記法においては、「区分建物≒専有部分」と読み替えるとイメージしやすくなります。

選択肢1. 区分建物の所有権の登記名義人が死亡し、相続による所有権の移転が生じた場合、当該区分建物の所有権を取得した相続人は、相続人名義への所有権移転の登記申請義務がある。

正。所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければなりません(不動産登記法76条の2)。

これが、2023年4月1日より施行された「相続登記の義務化」です。

選択肢2. 区分建物の表題部所有者から当該区分建物の所有権を売買により取得した者が、自己名義の所有権保存登記未了の間に当該区分建物を転売した場合、転売により所有権を取得した者は、自己名義の所有権保存登記を申請することはできない。

正。区分建物にあっては、表題部所有者(A)から所有権を取得した者(B)は、所有権保存登記を申請することができます(不動産登記法74条2項)。

しかし、Bから転売により所有権を取得した者(C)は、自己名義の所有権保存登記を申請することはできません。

選択肢3. 規約により一部共用部分とされ、共用部分である旨の登記がされた区分建物においては、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が所有権の登記名義人として登記される。

誤。建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨を建物の表示に関する登記の登記事項とします(不動産登記法44条1項6号)。

権利に関する登記ではないため、所有権について触れている本肢は誤りです。

なお、上記の規定は一部共用部分においても同様です。

選択肢4. 区分建物の所有権の登記名義人が相続人無くして死亡した場合、相続財産清算人に就任した者は、当該区分建物につき、相続財産法人名義への所有権登記名義人表示変更の登記申請をすることができる。

正。相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人となります(民法951条)。

その場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければなりません(民法952条)。

そして、上記の通り選任された相続財産の清算人は、保存行為をする権限を有します(民法28,103,953条)。

本肢の申請は保存行為にあたるため、正しい肢です。

まとめ

「相続登記の義務化」については2024年試験で初出題となりましたが、法改正自体は2023年に行われたものです。

過去問を優先的に学習することはもちろんですが、近年の法改正情報にもアンテナを張りましょう。

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02

「民法」「区分所有法」「不動産登記法」それぞれの知識を問う難しい問題です。

もし迷ったら、保留にして次の問題に進み、後で戻ってくることをお勧めます。

選択肢1. 区分建物の所有権の登記名義人が死亡し、相続による所有権の移転が生じた場合、当該区分建物の所有権を取得した相続人は、相続人名義への所有権移転の登記申請義務がある。

正しい肢です。

 

不動産登記法第76条の2には"所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。"と規定されています。

 

問題文通りであり、正しい肢となります。

選択肢2. 区分建物の表題部所有者から当該区分建物の所有権を売買により取得した者が、自己名義の所有権保存登記未了の間に当該区分建物を転売した場合、転売により所有権を取得した者は、自己名義の所有権保存登記を申請することはできない。

正しい肢です。

 

不動産登記法第74条第2項では"区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。"と規定されています。

 

青字部分「前項の登記」というのが、「所有権の保存の登記」のことです。

「①表題部所有者」→「②表題部所有者より売買により所有権取得した者」→「③転売により所有権を取得した者」との流れになるのですが、①②は保存登記ができますが、③は保存登記はできません。

選択肢3. 規約により一部共用部分とされ、共用部分である旨の登記がされた区分建物においては、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が所有権の登記名義人として登記される。

誤った肢です。

 

規約による一部共用部分は、専有部分に関する表題部に「一部共用部分」である旨の記載がされます。

所有権の移転登記などは、表題部ではなく権利部になされます。

 

このため、誤った肢となります。

選択肢4. 区分建物の所有権の登記名義人が相続人無くして死亡した場合、相続財産清算人に就任した者は、当該区分建物につき、相続財産法人名義への所有権登記名義人表示変更の登記申請をすることができる。

正しい肢です。

 

民法第951条"相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。"の規定により、本例では、相続財産は法人となります。

相続財産法人の清算人には民法第27条~29条の管理人の規定は清算人に準用されます。

 

民法第103条により、権限の定めのない代理人(ここでは清算人のこと)は保存行為をすることができるため、「相続財産清算人に就任した者は、当該区分建物につき、相続財産法人名義への所有権登記名義人表示変更の登記申請をすることができる。」こととなります。

まとめ

マンションの全部事項証明書(いわゆる謄本)を一度見ることをお勧めします。

 

一度見てみることで、表題部、敷地権、権利部など理解が進むと思います。

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