マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問15
問題文
甲マンションの202号室を所有するAが、202号室をBに賃貸して引き渡し、その後、Bが、Aの承諾を得て202号室をCに転貸して引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
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問題
マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
甲マンションの202号室を所有するAが、202号室をBに賃貸して引き渡し、その後、Bが、Aの承諾を得て202号室をCに転貸して引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- Aは、AB間の賃貸借に基づいてBがAに対して負う債務の範囲を限度として、Cに対し、BC間の転貸借に基づいてCがBに支払うべき賃料をAに直接支払うよう請求することができる。
- 202号室が修繕を要する状態になった場合には、Cは、Aに対し、修繕義務の履行を請求することができる。
- Cは、202号室についてBの負担に属する必要費を支出したときは、Bに対し、直ちにその償還を請求することができる。
- Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除された場合には、Aは、Cに対し、202号室の明渡しを請求することができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
A→B→C
のような図を書いて整理しましょう。
正。賃借人Bが適法に賃借物を転貸したときは、転借人Cは、賃貸人Aと賃借人Bとの間の賃貸借に基づく賃借人Bの債務の範囲を限度として、賃貸人Aに対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負います(民法613条1項)。
よって、賃貸人Aは転借人Cに対し、本肢のように請求することができます。
誤。202号室が修繕を要する状態になった場合には、転借人Cは、"転貸人B"に対し、修繕義務の履行を請求することができます(民法607条の2)。
転借人Cはたしかに「転貸借に基づく債務を直接履行する"義務"」を負ってはいますが、修繕義務の履行を請求する"権利"はありません(民法613条1項)。
正。賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます(民法608条1項)。
この規定は転貸借関係においても同様です。
正。賃借人Bが適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人Aは、賃借人Bとの間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人Cに対抗することができません。
ただし、その解除の当時、賃貸人Aが賃借人Bの債務不履行による解除権を有していたときは、転借人Cに対抗することができます(民法613条3項)。
よって、賃貸人Aは転借人Cに対し、202号室の明渡しを請求することができます(最判昭37.3.29)。
転借人Cが一見気の毒に思えますが、債務不履行に陥るような賃借人(転貸人)Bから又借りしていたことに落ち度があったと判断され、賃貸人Aの保護を優先するという趣旨の規定です。
誰を守ろうとしているルールなのかをイメージしながら解くことを心がけましょう。
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02
賃貸人A→賃借人(転貸人)B→転借人C
用語が似ていて混乱しそうですが、しっかり区別して問題に挑みましょう。
誤った肢を選択する問題なので、「民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。」のように、下線を引くなどして間違わないようにしましょう。
正しい肢です。
民法第613条第1項では"賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。"と規定されています。
条文赤字部分どおり、正しい肢となります。
誤った肢です。
民法第613条第1項は、転借人Cの賃貸人Aへの義務を規定した条文です。
権利についての条文ではなく、転借人Cは直接賃貸人Aに修繕義務の履行の請求はできません。
民法第606条に"賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。"と規定されています。
転借人Cが転貸人Bへ修繕請求、賃借人Bが賃貸人Aに修繕請求という可能性はあります。
正しい肢です。
民法第608条第1項では"賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。"と規定されています。
問題文で「202号室についてBの負担に属する必要費を支出したときは」となっており、正しい肢となります。
正しい肢です。
民法613条第3項では"賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。"と規定されています。
問題文では「Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除された場合」とあるため、青字部分通り賃貸人Aは転借人Cに対抗できることとなります。
なお、賃貸人Aと転貸人Bが合意解約した場合は、賃貸人Aは転借人Cに対抗できません。
解約事由が「債務不履行」か「合意」かによって結論が逆になるのでしっかり押さえましょう。
法的には賃借人Bの債務不履行によってAB間の賃貸借契約が解除された場合、賃貸人Aは転借人Cに対して202号室の明渡しを請求することができます。
ただ、悪いのは債務不履行を行ったBであって、AやCには落ち度はありません。
不動産実務では、AB間の賃料よりBC間の賃料の方が高いことが一般的です。
AC間で話し合い、AC間で新しく賃貸借契約を結びなおすこともあります。
こうすると、Cは退去しなくてすみます。
Aは空室にならずに賃料収入を得ることができます。しかも話し合い次第では賃料が上がる可能性も十分にあります。
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