マンション管理士 過去問
令和3年度(2021年)
問9

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問題

マンション管理士試験 令和3年度(2021年) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションの建替え決議及びその後の手続に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を、決議の日から2月以内に書面で催告しなければならない。
  • 建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(区分所有法第63条第4項に規定する買受指定者をいう。この問いにおいて同じ。)(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなされる。
  • 建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者は、建替え決議で建替えに反対する旨の投票をし、その後建替えに参加するか否かの書面による催告に対し無回答で催告期間を終えた区分所有者(その承継人を含む。)に対して、催告期間満了の日から2月以内に、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
  • 売渡請求権の行使により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、正当な理由もなく建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事が着手されない場合には、この期間の満了の日から6月以内に、その区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に対して、買主が支払った代金に相当する金銭を提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解 1

1 誤りです。区分所有法63条3項の定めの通り、建替え決議があったときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければなりません。この催告をする期限については、催告を受けた日から2月以内に回答しなければならないとされています。

2 正しいです。区分所有法64条の定めの通り、建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなします。

3 正しいです。区分所有法63条5項定めの通り、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者は、建替え決議に参加するかどうかの催告に対して、その期間の満了の日から2月以内に、「建替えに参加しない旨を回答」した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができます。そして、「建替えに参加するか否かの書面による催告に対し無回答で催告期間を終えた区分所有者」は、「建替えに参加しない旨を回答したものとみなされる」ので、この者に対して売渡し請求をすることができます。

4 正しいです。区分所有法63条7項の定めの通り、建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から6月以内に、買主が支払った代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができます。ただし、建物の取壊しの工事に着手しなかったことにつき正当な理由があるときは、この限りではありません。

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02

長文の問題ではありますが、マンションの建替え決議等に関する基本的な出題です。

選択肢1. 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を、決議の日から2月以内に書面で催告しなければならない。

 区分所有法63条1項3項によると、「建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。当該区分所有者は、当該催告を受けた日から2月以内に回答しなければならない。」とされます。

 つまり、決議の日からという部分が誤りです。

選択肢2. 建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(区分所有法第63条第4項に規定する買受指定者をいう。この問いにおいて同じ。)(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなされる。

 区分所有法64条によると、「建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす」とされているので正しいです。

 したがって、建替えに関する合意の後に建替え不参加の意思表示をすることは認められません

選択肢3. 建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者は、建替え決議で建替えに反対する旨の投票をし、その後建替えに参加するか否かの書面による催告に対し無回答で催告期間を終えた区分所有者(その承継人を含む。)に対して、催告期間満了の日から2月以内に、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

 区分所有法63条1項3項4項により、「建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。当該区分所有者は、当該催告を受けた日から2月以内に回答しなければならず、当該期間内に回答しなかつた当該区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。」とされ、同条5項により、「当該期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者は、当該期間の満了の日から2月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」とされるので正しいです。売渡し請求に関する規定です。

選択肢4. 売渡請求権の行使により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、正当な理由もなく建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事が着手されない場合には、この期間の満了の日から6月以内に、その区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に対して、買主が支払った代金に相当する金銭を提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。

 区分所有法63条7項によると、「建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、売渡請求権の行使により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から6月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。」とされているので正しいです。買戻し請求(再売渡し請求)に関する規定です。

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03

誰が

誰に対して

いつまでに

何をしようとしているのか

意識して解きましょう。

選択肢1. 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を、決議の日から2月以内に書面で催告しなければならない。

誤。建替え決議があったときは、

集会を招集した者は、遅滞なく

建替え決議に賛成しなかった区分所有者(その承継人を含む。)に対し、

建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければなりません(区分所有法63条1項)。

 

必ずしも「決議の日から2月以内に」催告する必要はありません。

なお、「2月以内」という期間の定めがどのタイミングで出てくるかについては、

別肢で解説しています。

選択肢2. 建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(区分所有法第63条第4項に規定する買受指定者をいう。この問いにおいて同じ。)(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなされる。

正。建替え決議に賛成した各区分所有者、

建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、

建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなします(区分所有法64条)。

選択肢3. 建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者は、建替え決議で建替えに反対する旨の投票をし、その後建替えに参加するか否かの書面による催告に対し無回答で催告期間を終えた区分所有者(その承継人を含む。)に対して、催告期間満了の日から2月以内に、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

正。建替え決議で建替えに反対する旨の投票をした区分所有者は、

別肢で解説した「建替えに参加するか否かを回答すべき旨」の催告を受けた日から、

2月以内に回答しなければなりません(区分所有法63条1,3項)。

 

なお、上記の2月以内に回答しなかった区分所有者は、

建替えに参加しない旨を回答したものとみなします(区分所有法63条4項)。

 

そして、上記の2月を経過したときは、

建替え決議に賛成した各区分所有者若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又は買受指定者※は、

上記の2月を経過した日からさらに2月以内に、

建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、

区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができます(区分所有法63条5項)。

 

【※ 買受指定者とは】

建替えに参加する区分所有者の全員の合意により、

区分所有権及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者

ex)マンションの建替えを生業とするデベロッパー

選択肢4. 売渡請求権の行使により区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、正当な理由もなく建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事が着手されない場合には、この期間の満了の日から6月以内に、その区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に対して、買主が支払った代金に相当する金銭を提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。

正。建替え決議の日から2年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、

区分所有権又は敷地利用権を売り渡した者は、

この期間の満了の日から6月以内に、

買主が支払った代金に相当する金銭をその区分所有権又は敷地利用権を現在有する者に提供して、

これらの権利を売り渡すべきことを請求することができます(区分所有法63条7項)。

 

これはいわゆる「再売渡請求」といいます。

建替えると聞いたからしぶしぶ手放したのに、

2年も工事に着手しないのであれば、

「もらった代金は返すから101号室を売り渡してよ」と言いたくなります。

 

なお、建物の取壊しの工事に着手しなかったことにつき正当な理由があるときは、

再売渡請求をすることができません(区分所有法63条7項但書)。

 

本肢には「正当な理由もなく」とあるので、

この点についても問題なく正しい選択肢です。

まとめ

マンション管理士として活動していくのであれば、

マンションの建替えに関する相談は今後増えていきます。

何とか踏ん張ってほしい分野ですが、

区分所有法の前提知識があって初めて理解できる部分もあります。

まずは基礎知識を固めましょう。

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