マンション管理士 過去問
令和6年度(2024年)
問50

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問題

マンション管理士試験 令和6年度(2024年) 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち、マンション管理適正化法(この問いにおいて「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。ただし、当該マンション管理業者は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いないものとする。
ア  マンション管理業者は、法第72条に定める重要事項を記載した書面を作成するときは、マンション管理士をして、当該書面に記名させなければならない。
イ  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したとき、当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合には、法第73条に定める契約成立時の書面を交付する必要はない。
ウ  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、毎月、当該管理者等に対し、法第77条に定める管理事務の報告を行わなければならない。
エ  マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
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この過去問の解説 (3件)

01

マンション管理業者の業務に関する問題です。

なお、肢ア〜エについてそれぞれ解説します。

選択肢1. 一つ

ア  マンション管理業者は、法第72条に定める重要事項を記載した書面を作成するときは、マンション管理士をして、当該書面に記名させなければならない。

 

誤。マンション管理業者は、法第72条に定める重要事項を記載した書面を作成するときは、管理業務主任者をして、当該書面に記名させなければなりません(マンション管理適正化法72条5項)。

 

なお、マンション管理士とは、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいいます(マンション管理適正化法2条5号)。

 

上記の通り、マンション管理業者と直接的な関わりはありません。

選択肢2. 二つ

イ  マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したとき、当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合には、法第73条に定める契約成立時の書面を交付する必要はない。

 

誤。マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等※に対し、遅滞なく、法第73条に定める契約成立時の書面を交付しなければなりません(マンション管理適正化法73条1項)。

 

【※例外:管理者以外に書面交付するパターン】

(1)当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合

(2)当該管理組合に管理者等が置かれていない場合

(1)又は(2)の場合、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対して交付必要

 

特に(1)のように、マンション管理業者が管理者に選任されているときこそ、区分所有者全員によるチェック体制が必要であるため、上記のような規定が設けられています。

選択肢3. 三つ

ウ  マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、毎月、当該管理者等に対し、法第77条に定める管理事務の報告を行わなければならない。

 

誤。マンション管理業者は、法第77条の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければなりません(マンション管理適正化法施行規則88条1項)。

 

なお、毎月交付が必要なのは以下の書面なので区別しましょう(マンション管理適正化法施行規則87条5項)。

 

【管理組合の収支状況について】

マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合の対象月における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければならない。

選択肢4. 四つ

エ  マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。 

 

正。マンション管理適正化法79条の通りです。

なお、本肢の具体的な書類は以下の通りです(マンション管理適正化法施行規則90条1項)。

 

【業務状況調書等】

(1)①業務状況調書※受託組合数などが記載

     ②貸借対照表

     ③損益計算書

     又は

(2)(1)に代わる書面

まとめ

マンション管理士にとっては不得手な論点ですが、ほとんどの受験生が管理業務主任者と同時受験しているため、たとえ個数問題でも正解しておきたい基本論点です。

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02

マンション管理業者が守らなければいけないルールについて、正しい説明がいくつあるかを確かめます。

 

選択肢1. 一つ

 マンション管理業者は、「重要事項の書面を作るときにマンション管理士に記名させる必要がある」という説明です。
これは誤りです。
書面に記名するのは「マンション管理士」ではなく、「管理業務主任者」という別の資格を持つ人です。

選択肢2. 二つ

 管理業者自身が管理者であれば、「契約成立時に渡すべき書面は必要ない」という説明です。
これは誤りです。
管理業者自身が管理者であっても、契約成立時の書面は必ず渡す必要があります。

選択肢3. 三つ

管理業者は管理者がいる場合、「毎月管理事務の報告をしなければならない」という説明です。
これは誤りです。
法律では報告は「年に1回以上」と決まっていて、「毎月」の報告までは義務づけられていません。

選択肢4. 四つ

管理業者は、「業務や財産の状況を書いた書類を事務所に置き、関係者から求められれば見せなければいけない」という説明です。
これは正しいです。
法律で事務所ごとに書類を置いて、関係者がいつでも確認できるようにしなければいけません。

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03

マンション管理適正化法のマンション管理業者に関し、正しい肢の個数を問う問題です。

 

「個数問題ドンと来い!」の心構えで行きましょう!

 

なお、問題本文「ただし、当該マンション管理業者は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いないものとする。」は読み落とさないように気を付けましょう。

選択肢1. 一つ

ア 誤った肢です。

 

マンション管理業者側の資格者は、「管理業務主任者」です。

「管理業務主任者」と「マンション管理士」を入れ替えた単純な問題です。

 

したがって、誤った肢となります。

選択肢2. 二つ

イ 誤った肢です。

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律第73条第1項では、

"マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合又は当該管理組合に管理者等が置かれていない場合にあっては、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員)に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。"と規定されています。

 

イでは、「当該マンション管理業者が当該管理組合の管理者等である場合」ですので、「当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員」に対して所定の書面を交付しないといけません。

 

したがって、誤った肢となります。

選択肢3. 三つ

ウ 誤った肢です。

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則第88条第1項では、

"マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。"と規定されています。

 

一見、ウと基本的には同じように見えるかもしれません。

ウは「毎月」となっているところ、赤字下線部分では「管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後」となっており、ここを入れ替えてきています。

 

したがって誤った肢となります。

選択肢4. 四つ

エ 正しい肢です。

 

マンションの管理の適正化の推進に関する法律第79条では、

"マンション管理業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。"と規定されています。

 

条文通りであり、正しい肢となります。

まとめ

マンション管理士勉強を一通りされた方は、過去問等を50問通しで解く場合、どれくらいの点数が取れるか腕試ししてください。苦手分野を徹底的に洗い出し、分野別問題集の答練をしてください。

 

そして、「過去問等を試してどれくらい点数が取れるか試す→苦手分野の洗い出し→分野別問題での答練」を繰り返してください。

そうすると合格はすぐそこに来ます。10回20回と繰り返せればなおよいです。

 

 

一通りの勉強をする時間がなかなか取れない方は、参考書、条文等を見ながら良いので、全肢の正誤判断をパーフェクト正解で解いてください。49点ではなく50点満点を取ってください。

 

この方法だと、50問通しを1回するのに時間はかなりかかります。ただし、自力で根拠を調べながら解くのは、相当な実力が付き、先行勉強者との差を埋められます。

 

 

ーーーー

マンション管理士試験は、1,000人受験して約920人を落とす難関試験です。

 

ただ、合格に満点は必要ありません。30問確実に取れ残りすべてを2択に絞る実力があれば、得点期待値は40点です。

難問は必ずありますが、少なくとも2択に絞れるまで実力をつけておきましょう。

 

試験で難問にあたったら、取り合えず保留にして次の問題に進みましょう。

「取れる問題を確実に取る」ことは、間違いなく合格への近道です。

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