マンション管理士 過去問
令和3年度(2021年)
問16
問題文
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問題
マンション管理士試験 令和3年度(2021年) 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
- Bが賃料の支払を怠り、Aから保証債務の履行を請求されたCは、Aに対し、まずBに対して賃料支払の催告をするよう請求することはできない。
- AB間の賃貸借契約において賃料債務についての遅延損害金の定めがない場合には、AC間の連帯保証契約において保証債務についてのみ遅延損害金を定めることはできない。
- Bの賃料支払債務が時効により消滅した場合、Bが時効の利益を放棄しても、Cは自ら賃料支払債務の消滅時効を援用し、保証債務を免れることができる。
- AがCに対して保証債務の履行を請求し、その時効の更新が生じても、AとBが別段の意思表示をしない限り、Bに対する時効更新の効力は生じない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は2です。
1 正しいです。民法454条の定めの通り、保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、抗弁権を有しません。
2 誤りです。民法447条2項の定めの通り、保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができます。
3 正しいです。民法145条の定めの通り、時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることはできません。当事者とは、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含みます。
4 正しいです。民法458条の定めの通り、債権者が連帯保証人に対して履行の請求をしても、それは主たる債務者に効力を生じません。
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02
民法の保証債務等に関する基本的な出題です。
保証債務の補充性として、民法452条により、「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」とされる催告の抗弁権と、同法453条により、「債権者が催告の抗弁権の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」とされる検索の抗弁権がありますが、同法454条により、「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権と検索の抗弁権の権利を有しない。」とされ、保証債務の補充性がないので正しいです。
民法447条2項によると、「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」とされています。連帯保証契約でも同様です。
つまり、保証債務についてのみ遅延損害金を定めることはできないという部分が誤りです。
民法145条によると、「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」とされているので正しいです。
民法458条によると、「(弁済等、)更改、相殺、混同、相対的効力の原則の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。」とされています。
したがって、履行の請求については、主たる債務者に影響を及ぼすことになる絶対的効力である、弁済等、更改、相殺、混同ではなく、相対的効力の原則により、主たる債務者に影響を及ぼさないので正しいです。
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03
以下のような図を描いて整理しましょう。
A→B
\
C
正。たしかに、債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、
保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができます(民法452条)。
これを「催告の抗弁権」といいます。
しかし、連帯保証人に催告の抗弁権はありません(民法454条)。
したがって、主たる債務者Bが賃料の支払を怠り、
債権者Aから保証債務の履行を請求された連帯保証人Cは、
債権者Aに対し、
まず主たる債務者Bに対して賃料支払の催告をするよう請求することはできません。
誤。保証人は、その保証債務についてのみ、
違約金又は損害賠償の額を約定することができます(民法447条2項)。
これは、連帯保証人についても同様です。
したがって、AB間の賃貸借契約において賃料債務についての遅延損害金の定めがあろうとなかろうと、
AC間の連帯保証契約において保証債務についてのみ遅延損害金を定めることはできます。
正。時効は、当事者が援用しなければ、
裁判所がこれによって裁判をすることができません(民法145条)。
この「当事者」とは、
消滅時効にあっては、
保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含み、
連帯保証人も含むといえます。
上記を踏まえれば、
主たる債務者Bの賃料支払債務が時効により消滅した場合、
たとえその後に主たる債務者Bが時効の利益を放棄したとしても、
連帯保証人Cは自ら賃料支払債務の消滅時効を援用し、
保証債務を免れることができます。
正。たしかに、連帯保証人と債権者との間に(弁済等・)更改・相殺・混同があったときは、
債権は、主たる債務者の利益のために消滅します(民法438-440,458条)。
これはいわゆる「絶対効」です。
しかし、それ以外の連帯保証人について生じた事由は、
主たる債務者に対してその効力を生じません(民法441,458条)。
これがいわゆる「相対効」です。
そして、本肢のような「履行の請求」は相対効にあたります。
よって、債権者Aが連帯保証人Cに対して保証債務の履行を請求し、
その時効の更新が生じても、
債権者Aと主たる債務者Bが別段の意思表示をしない限り、
主たる債務者Bに対する時効更新の効力は生じません。
保証と連帯保証、
連帯保証と連帯債務、
そして連帯債務と連帯債権は、
それぞれ関連付けたり区別したりする必要があります。
特に連帯保証については、
通常の保証と異なり以下三つがないことを覚えておきましょう。
(1)催告の抗弁権(別肢解説参照)
(2)検索の抗弁権(民法453,454条)
(3)分別の利益(大判大6.4.28)
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