マンション管理士 過去問
令和3年度(2021年)
問12
問題文
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問題
マンション管理士試験 令和3年度(2021年) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)
- AがBの詐欺によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合であっても、Bの詐欺によって意思表示をしたことについてAに過失があったときは、Aは詐欺を理由として自己の意思表示を取り消すことができない。
- Aが第三者Cの詐欺によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合には、Bがその事実を知っていたか、知ることができたときに限り、Aは詐欺を理由として自己の意思表示を取り消すことができる。
- AがBの強迫によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合であっても、Bの強迫によって意思表示をしたことについてAに過失があったときは、Aは強迫を理由として自己の意思表示を取り消すことができない。
- Aが第三者Dの強迫によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合には、Bがその事実を知っていたか、知ることができたときに限り、Aは強迫を理由として自己の意思表示を取り消すことができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
詐欺、強迫に関する基本的な出題です。心裡留保、虚偽表示、錯誤と併せて勉強することで、理解を深めてください。
民法96条1項によると、「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」とされているので誤りです。
なお、同法95条3項では、「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは錯誤による意思表示の取り消しをすることができない。」という規定がありますので、混同しないようにしてください。
民法96条2項によると、「民法相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」とされているので正しいです。
つまり、相手方が善意の場合は、その意思表示を取り消すことができません。
民法96条1項によると、「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」とされているので誤りです。
なお、同法95条3項では、「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき、相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときは、錯誤による意思表示の取り消しをすることができない。」という規定がありますので、混同しないようにしてください。
民法96条2項によると、「民法相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」とされていますが、強迫については当該規定はされていないので、反対解釈として、相手方に対する意思表示について第三者が強迫を行った場合においては、相手方が善意であっても、その意思表示を取り消すことができるので誤りです。
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02
正解は「Aが第三者Cの詐欺によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合には、Bがその事実を知っていたか、知ることができたときに限り、Aは詐欺を理由として自己の意思表示を取り消すことができる。」です。
誤りです。民法96条1項の通り、詐欺による意思表示は、取り消すことができます。表意者に過失があったても契約を取り消すことができます。
正しいです。民法96条2項の定めの通り、第三者が詐欺を行った場合においては、その意思表示を取り消すことができます。
誤りです。民法96条1項の定めの通り、強迫による意思表示は、取り消すことができます。表意者に過失があったとしても契約を取り消すことができます。
誤りです。第三者の強迫については、特に相手方を保護する規定はありません。
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03
表意者Aがマンションの一室をとんでもない安値で相手方Bに売却してしまいました。
しかし、表意者Aが「安値で売ろうかな」という意思に至ったプロセスに、
何らかの問題があったことが各選択肢でそれぞれ示されています。
誤。詐欺又は強迫による意思表示は、
取り消すことができます(民法96条1項)。
本肢のAのように、
表意者の過失の状況によって取り消しの可否が異なるのは、
以下の通り「錯誤」の場合です。
【民法95条3項】
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、
原則として意思表示の取消しをすることができない。
正。相手方Bに対する意思表示について、
第三者Cが詐欺を行った場合においては、
相手方Bがその事実を知り(悪意)、
又は知ることができた(善意有過失)ときに限り、
表意者Aはその意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。
なお、これを言い換えると、
第三者Cの詐欺について相手方Bが善意無過失であれば、
表意者Aはその意思表示を取り消すことができない、
ということです。
誤。詐欺又は強迫による意思表示は、
取り消すことができます(民法96条1項)。
本肢のAのように、
表意者の過失の状況によって取り消しの可否が異なるのは、
以下の通り「錯誤」の場合です。
【民法95条3項】
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、
原則として意思表示の取消しをすることができない。
誤。たしかに、仮に表意者Aが第三者の詐欺によって本件売買契約をする意思表示をしていた場合には、
相手方Bがその事実を知っていたか(悪意)、
知ることができた(善意有過失)ときに限り、
表意者Aは詐欺を理由として自己の意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。
しかし、「強迫」についてこのような規定はありません。
第三者Dの強迫について、
相手方Bが悪意か善意有過失かに限らず、
仮に善意無過失であったとしても、
表意者Aは強迫を理由として自己の意思表示を取り消すことができます(民法96条2項)。
騙された者、脅された者、善意無過失の者、
それぞれ誰を保護すべきかという優先順位を考えた結果、
民法では以下のような差ができたことを覚えておきましょう。
詐欺:善意無過失の者には対抗できない
強迫:善意無過失の者にも対抗できる
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