マンション管理士 過去問
平成29年度(2017年)
問1

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問題

マンション管理士試験 平成29年度(2017年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体(この問いにおいて「3条の団体」という。)に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立し、権利能力のない社団が存在する。
  • 3条の団体は、区分所有権を有する者がその構成員となる団体であり、区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、集会の決議及び規約に拘束されることはない。
  • 特定の区分所有者が、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為による共同生活上の障害が著しい場合には、その区分所有者について、区分所有権を保持させたままで3条の団体の構成員の資格を失わせることができる。
  • 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)があっても、区分所有者全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される3条の団体は存在しない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.誤り
一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立しますが、その場合は、権利能力のない社団としては存在しません。
権利能力のない社団の要件は、①団体としての組織がある、②多数決の原則、③構成員の変更があっても団体が存続する、④代表の方法・総会の運営・財産の管理その他団体としての主な点が確定している、との判例があります。

2.誤り
区分所有権を有さずにマンションに居住している、賃貸等で借りている占有者も、集会の決議や規約に拘束されます。すなわち、区分所有者と同一義務を負う事となります。
ただし、その占有者は利害関係がある時のみ集会への出席や意見を述べる事は可能ですが、その場合でも議決権はありません。

3.誤り
区分所有権を保持している者、すなわち区分所有者は必ず3条の団体の構成員となるため、区分所有権を保持したまま資格を失わせることはできません。
資格を失わせるためには、区分所有権を手放す必要があります。

4.正しい
記載のとおりです。
一部区分所有者のみの共有に供されることが明らかな共有部分(一部共用部分)は、一部共有部分を所有する区分所有者のみで構成される3条の団体で管理する事となりますが、それを区分所有者全員で管理を行う3条の団体でも管理する事が可能です。
その場合、一部共用部分の全てを管理する事となりますから、一部共用部分を所有する区分所有者で管理する事がなく、そのような3条団体は存在し得ないこととなります。

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02

正解は4です。

1.誤っている。
区分所有法第3条前段では、以下の通りに規定しています。
「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地
及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、
この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、
及び管理者を置くことができる。」
また、権利能力なき社団とは、
以下のようにいくつかの要件を満たす必要があります。

団体としての組織を備えること、多数決の原理で運営され、
構成員が変更されても団体が存在し、
組織の代表の方法、総会の運営、財産管理など
団体としての主要な点が確定していることが必要です。
最判例昭和39年10月15日参照


2.誤っている。
区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、占有者にあたります。

区分所有法第6条第1項では、
「区分所有者は、建物の保存に有害な行為
その他建物の管理又は使用に関し
区分所有者の共同の利益に
反する行為をしてはならない。」
と定めています。

3.誤っている。
選択肢1で触れた区分所有法第3条前段により、
「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地
及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」
とあります。

団体を構成するのは強制なので、区分所有者である限りは、
団体の構成員です。

4.正しい。
区分所有法第3条後段では、以下の通りに規定しています。

「一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分
(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、
同様とする。」

しかし、一方で、第16条では、
「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの
又は第三十一条第二項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、
その他のものはこれを共用すべき区分所有者のみで行う。」
と定めています。

以上より、正解は4です。

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03

(区分所有者の団体)

第三条 区分所有者は、全員で、

建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、

この法律の定めるところにより、

集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、

同様とする。

選択肢1. 一棟の建物に二以上の区分所有者が存する場合には、管理者が定められず、かつ、規約が設定されていなくても、3条の団体が成立し、権利能力のない社団が存在する。

誤。たしかに、「規約を定め、及び管理者を置くこと」は任意なので、

両者がなくとも3条の団体は成立します。

しかし、「権利能力のない社団」が存在するためには、

以下四つの要件が求められます(最判昭39.10.15)。

 

(1)団体としての組織をそなえること

(2)多数決の原則が行われていること

(3)構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続していること

(4)その組織によって代表の方法、総会の運営、

財産の管理その他団体としての主要な点が

確定していること

 

管理者の定めも規約の設定もないのであれば、

本肢は上記の(4)を満たしているとはいえません。

選択肢2. 3条の団体は、区分所有権を有する者がその構成員となる団体であり、区分所有権を有さずにマンションに居住している者は、集会の決議及び規約に拘束されることはない。

誤。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、

区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います(区分所有法46条2項)。

 

「区分所有権を有さずにマンションに居住している者」は占有者なので、

集会の決議及び規約に拘束されます。

選択肢3. 特定の区分所有者が、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、その行為による共同生活上の障害が著しい場合には、その区分所有者について、区分所有権を保持させたままで3条の団体の構成員の資格を失わせることができる。

誤。区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません(区分所有法6条1項)。

 

上記の行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、

他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、

他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、

集会の決議に基づき、訴えをもつて、

当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができます(区分所有法60条1項)。

 

裏返せば、「3条の団体の構成員の資格を失わせるためには、

区分所有権を手放してもらう必要がある」ということです。

選択肢4. 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(この問いにおいて「一部共用部分」という。)があっても、区分所有者全員の利害に関係する一部共用部分の管理のすべてを区分所有者全員で行う場合には、一部の区分所有者のみで構成される3条の団体は存在しない。

正。一部共用部分を管理するとき、

本来であれば、

一部の区分所有者で管理を行うための団体を構成します(区分所有法3条)。

 

しかし、一部共用部分の管理のうち、

区分所有者全員の利害に関係するものは区分所有者全員で行います(区分所有法16条)。

 

したがって、管理のすべてを区分所有者全員で行うのであれば、

一部の区分所有者のみで構成される3条の団体は存在しません。

まとめ

本問における「3条の団体」とは、

標準管理規約における「管理組合」を指します。

関連付けて覚えておきましょう。

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